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2019.12.06

国立極地研究所 の伊村智さんに聞く 南極北極の世界!

国立極地研究所・副所長で、コケの専門家、伊村智さん登場。

南極や北極の神秘や、生態、そして今後地球はどう変わっていくのか・・・

実際の極地での経験談を交えて伺いました!

国立極地研究所について コチラ

 

荒波を乗り越えて南極へ・・・

南極・北極・高山など地球の極端な場所の研究を行っていて、

風・大気・天気・生物など、それぞれのプロフェッショナルが、

ありとあらゆる自然現象を研究している。

自身はコケの研究を担当していて、南極・北極に何度も足を運んでいる。

元からコケが好きだったわけではない。

森の研究をするために、広島大学に進学したが、

偶然コケの研究室に入ることになり、

いつしかコケを好きになってしまっていた。

コケの一番の特徴は、有性生殖ではなく、無性生殖な点。

単体で増殖する事が出来る変わった生物。

南極へ行くときは、短くても4ヶ月ほど旅になり、

船で渡る事になる。3週間かけ、

10メートルにも及ぶ荒波を乗り越えて

初めて、南極にたどり着く事が出来る。

 

 

南極の神秘

南極は、寒く、夏が短く、とても乾燥している。

生物や植物が生活するには、とても劣悪だが、

池の底には、コケが生えている。

乾燥している地上に比べると、水中は成長しやすく、

池の水分と、夏に入る日光だけで成長する事が出来ている。

今のところ南極には、植物と小さなプランクトン以外だと、

生物はクマムシという生物のみが、発見されている。

自身が命名したコケ「コケボウズ」を

見るためにダイビングライセンスを取得し、

初めて水中で、大きく育ったコケを見たときは、

その神秘的な景色に大きな感動を覚えた。

コケボウズは大きいもので80センチほどになり、

1000年を擁すると言われている。

 

 

誰もが極地へ行ける時代

北極には陸地がなく、自身は地上の生物が専門のため

基本的には、北極の氷の上まで行く事は無く、

北極圏にある、スヴァールバル諸島で研究を行う。

南極とは違い生物も多く、コケや植物の種類も圧倒的に多い。

南極は完全に孤立した島なので、植生が厳しく、

外から新種が入ってくる可能性もとても薄い。

よくメディアなどで、氷が溶けるような映像や

写真がフィーチャーされる事があるが、

氷が溶ける事自体はそこまで問題はないが、

温暖化の影響でその量が一気に増加したり、

早まってしまうと、どこかで影響が出てしまう可能性がある。

南極・北極だけでなく、高山にも調査に行っていて、

富士山の山頂付近でもコケの調査を行なっている。

昔であれば、登山家などのプロが極地に行っていたが

今は一般の方でも観光ツアーなどで、極地に行けるようなっている。

 

 

快適な南極での生活

南極・北極は寒いからこそ、

今のバランスを保つ事が出来ている。

温暖化の影響に敏感な極地の生態系は、

人類にも大きなデータになると考えている。

南極も場所によっては環境がかなり違い、

南極の半島部分は海に囲まれているため、

温暖化の影響で、海水の温度が上昇すると、

生態系が変化する事も、そう遠くはないかもしれない。

そんな極地の研究を通して、地球全体へ警鐘を鳴らしていきたい。

昭和基地のある地域はとても気候が安定していて、

南極の昭和基地では、専属の料理人がいて、

基地の中は暖房・ネットも完備で、

とても快適な生活を送られるようになっている。

 

 

地球の神秘

講演会や学校での授業を通して、

地球にはまだ見ぬ、神秘がたくさんあるという事を

子供達に知って欲しいと考えている。

そして何より人々に、極地研究に限らず、地球の生態、

自然現象に興味を持って欲しい。

実際、自身は年齢的にも、南極に行く事は厳しいため、

この思いを受け継いでいきたい。

極地に行くと、何もない事が新鮮で、だからこそ今の

生活の便利さや凄さ、大切な事が見えてくると考えている。

コケの素晴らしさは、その体のつくりのシンプルさ、

コケは水分が無い時は、睡眠している状態で、

水がある時のみ成長、増殖をする事が出来る。

そのシンプルかつ柔軟な生態が

過酷な極地での生活を可能にしている。

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