2018年11月02日

ニュースが動く一週間のウラで...

 先週末から今週は、何だかニュースに追いまくられた一週間でした。先週後半にジャーナリストの安田純平さんが拘束されていたシリアで解放、帰国しました。土曜日曜は日中首脳会談。その裏では渋谷を中心にハロウィンの喧騒一色に。週が明けて日印首脳会談から臨時国会代表質問、予算委員会。その一方で、韓国最高裁が戦時中の徴用工の損害賠償訴訟で日本企業に支払いを命ずる判決を出し、紛糾しました。
 ちなみに、ここでよく引き合いに出される日韓請求権協定については、かつてこのブログで分析したことがあります。ご参考まで。


 要するに、この裁判の判決が出てくるまでは国内の問題ですから仕方がない。が、判決を基にして裁判所が財産の差し押さえにかかった瞬間に外国保護権を行使することになり、日韓請求権協定に抵触する。この判決そのものも衝撃的なので報道が過熱していますが、むしろ今後の韓国政府や韓国司法の動きこそが重要だと私は思います。日本としては官民一体となって毅然と対応しなくてはいけません。韓国側が外交保護権を行使するのであれば、こちらも外交保護権を行使して当時支払われた賠償金の返還を求め、それに応じない場合はこちらが外交保護権を行使して韓国の公的資産を差し押さえるようなことも視野に入れなければいけないかもしれません。

 さて、そうした一連のニュースが過熱していたさなかに、日銀は金融政策決定会合を行っていました。

<日銀は31日、金融政策決定会合を開き、併せて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で、2018年度の経済成長率と物価上昇率の見通しをいずれも下方修正した。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、「保護主義的動きは日本経済の先行きのリスクの一つ。注意深くみていきたい」と述べ、米中貿易摩擦が実体経済に与える影響について懸念を示した。>

 物価上昇率の見通しはもともと1%強から1%半ばぐらいの予想と、日銀が政策目標とする物価上昇率2%には及びません。景気が拡大し、賃金が上昇していく中で物価上昇率が大きく上がらないというのは庶民にとってはありがたいことですが、果たしてこの流れがどこまで続くのか?今回日銀は物価上昇率見通しは下方修正したものの、2019年10月に予定される消費税増税が行われて景気へ下押し圧力があった際にも、海外需要がそれを補い経済成長を続けるという、なんとも虫のいいシナリオを変えていません。
 本当にこのまま世界経済は順調に成長してくれるのか?米中の貿易戦争はそのまま米中新冷戦へと突入する気配。さらにイギリスのEU離脱交渉は雲行きが怪しく、さらにさらにここへ来て記者殺害に端を発したサウジアラビアの政情不安が原油価格に影響を及ぼしかけています。黒田総裁も会見で、<一番は米中摩擦だが、その他の海外リスクも注視する必要がある>とも指摘していますから、全幅の信頼を置いているわけでもありません。
 先行きに不安が見え隠れする、ひょっとしたら失速するかもしれない。車を運転していても前に坂が見えてきて減速するかもしれないと思ったら、その前にアクセルをふかしますよね。ところが、日銀はアクセルを踏むどころか密かに減速させているようにも見えるちぐはぐな政策対応をしているフシがあります。日銀の金融緩和のペースが密かに減速している、このブログでは何度も言及している"ステルステーパリング"です。


 原稿執筆時点での最新の数字が10月19日現在の保有残高で、439兆8817億円。一方、今年度はじめ=前年度末の値が3月30日現在の保有残高で、416兆4233億円。差し引きすれば今年度どれだけ買い増したかがわかりますから計算すると、23兆4584億円です。日銀は表向き年間80兆円をメドにとしていますが、実際はこのペースで行くと50兆を割るぐらいの金融緩和しか出来ないということになります。
 市場関係者に取材をすると、それをみんな織り込んで取引しているから日経平均も神経質な値動きを繰り返しているのだとか。しかしながら、言っていることとやっていることが違うというのが最も不信感を呼びます。目先に減速の恐れがあるのであれば、きちんとアクセルを踏み込むことが必要です。物価が安定的に2%上昇するまでは金融緩和をきちんと続けるとコミットメントを改めて出すべきではないでしょうか。
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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