「電波が届いている先に足を運んでそこで見たこと聴いたことをスタジオに戻って話なさい」
師と仰ぐ民俗学者宮本常一さんのこの教えを守り、日本全国を旅をしてその体験をラジオでお話になっていた永六輔さんがご自身のラジオで度々語ってた言葉です。
私もかくあらんと思いつつ、現実はスタジオを出てせいぜい映画館か本屋かジムかママチャリで近所をウロウロするくらいの日々が続いています。
だいたいが世間様とは5時間半から6時間の時差がある日常なのに、そこにコロナがやってきて飲み屋さんにもすっかりご無沙汰という状態です。
ところが珍しいことに福島県南相馬と伊豆下田へと2週続けて小さな旅をすることになりました。
福島はラジオ福島パーソナリティの大和田新さんを訪ねご挨拶だけでもと思ったら、大和田さんが自らハンドルを握り南相馬の今を様々見せて下さることに。
整備されたJR双葉駅や真新しい建物の原子力災害伝承館の周辺には、11年前に倒壊した家屋や震災以来休校が続いている県立双葉高校の校舎がひっそりと建っていました。
また父母そして幼子を二人津波で奪われ、当初大和田さんの取材にもまったく応じることがなかった南相馬の上野さんのご自宅近くにも伺いました。
その後、上野さんは積極的に南相馬の現状を発信されるようになり、大和田さんも参加して追悼の花火大会も開催されるようになりました。
自宅の前には菜の花が植えられ、春には様々な地域から子どもたちが訪れ、上野さんが自ら作った迷路に挑戦したそうです。
これからも東北には伺わせていただきたいと改めて思いました。
当初3か月限定で始まった観音温泉とのご縁はこの春で1年半になりました。
今回は初めて下田の街を観音温泉の女将、鈴木和江会長とさまざま巡り、その模様は毎週木曜日の「るんるんタイム」で随時ご紹介します。
印象的だったのは下田開港の際に来日したアメリカのハリス総領事のお妾さんになった「唐人お吉」のお墓がある宝福寺のご住職竹岡幸徳さんに伺った話。
幕府の名でハリスの妾になったお吉は、唐人(外国人)とそのような関係を持っていたことで生涯差別を受け続け、51歳で自ら命を断った際にそのご遺体の引き取り手がいない中、竹内さんの祖父が手厚く葬ったという貴重な話も聞くことができました。
観音温泉の正面玄関を入った場所には「あさぼらけ」を聴いてい足を運んで下さった皆さんにメッセージを書いて頂こうと「縁ノート」なるものが置かれています。
ゴールデンウィークがあったとはいえ、この1カ月でなんと30組の方々の書き込みがありました。
こう言っては何ですが、もっと近場で料金がリーズナブルな温泉施設が数多くある中で、週一回のコーナーを聴いてわざわざ奥下田まで来て頂いたことにただただ感謝申し上げる次第です。
下田で出会った方々との物語は「るんるんタイム」で順次ご紹介してまいります!
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