上柳昌彦 ラジオの人

2022.03.05

こんな事ってあるぅ!?

「うえちゃん!こんな事ってあるぅ?」というフレーズはニッポン放送日曜夕方4時からの「笑福亭鶴瓶日曜日のそれ」内の鶴瓶さんのお馴染みのフレーズです。

この世に起こる人との偶然の出会いとそこから派生する「縁」の数々を独り占めし続けている笑福亭鶴瓶さんが、毎週実際に体験した奇跡としか思えないようなエピソードを語る番組なのです。(是非お聴きください!日本民間放送連盟賞ラジオ生ワイド部門優秀賞もいただいた番組でーす!)

その鶴瓶さんのあっちゃこっちゃ飛び回るお話を、わかりやすくお聴きの皆さんのために翻訳することで毎回精一杯なのですよ私はぁ!(あっ!冗談です。あっ、でもちょっとホントかも…)

挙句に「うえちゃんもこんな事ってあるのぉ?」と言われても「ある訳がないでしょ!」答えることしか出来なかった屈辱の十数年が続いていましたが、ついに私にも「こんな事がある?!」という出来事がありましたぁ!

それは3月4日金曜日の読売新聞夕刊の紙面で起こったのでした。

今年の1月に読売新聞の金曜日夕刊の「言葉のアルバム」担当の方から大切にしている言葉について取材をしたいと連絡がありました。

そこで、ヤクルトスワローズの監督時代の野村克也さんがおっしゃっていた「聞く力は偉大なり」というかねてから座右の銘にしている言葉でお願いしてからは、対面とメールと電話でのやり取りを重ねついにそれが記事になったのでした。

その丁寧な取材と私の言葉足らずの説明を見事にまとめて頂いた記事には感謝の言葉しかありません。

裏一面に予想以上に大きく掲載されていたことに興奮しながら拝読し、ふと他の記事に目を移した瞬間に思わず出た言葉は「こんな事ってあるぅ?!」でした。

まずは私の記事の左に私かつて拙文を寄稿したことがある「もったいない語辞典」というコラムの担当が尊敬してやまない毒蝮三太夫さんであったことです。

私が中学生の時から聴かせていただいていたラジオパーソナリティの大先輩である毒蝮さんと同じページに並んで紹介されるとは、それはそれは感慨深いものがありました。

このような偶然があるのだなぁと思いつつ記事の下に目をやるとまたまた「こんな事ってあるぅ?!」という事態が起こりました。

驚くなかれなんとそこには日頃から大変にお世話になっているTHE ALFEEのお三方が好きな楽曲を紹介する「プレイリスト」というコラムが掲載されているではありませんかぁ!

それぞれの記事は別の記者の方が担当してるでしょうから、これはまさに「こんな事ってあるぅ?!」としか思えませんでした。

毒蝮さんが私の事をご存じとは思いませんが、THE ALFEEのお三方かマネージャの棚瀬さんが「あっ!うえちゃんも!」と気付いていただければよいのですが。

記事の中で坂崎さんが「プレイリスト」として挙げていたニューアルバム「天地創造」の中からの「My Life Goes On」は番組でも紹介した私のお気に入りの曲だったのでこれも嬉しかったです!

で、二つだけ私の記事のことで思った事がありました。

記事には私が1986年から4年間担当した深夜の音楽番組で「ミュージシャンと面白くしゃべって盛り上がれば、それでいいや、みたいなところもあった」とありました。

その本意は、同じ時間で番組を担当されていたTBSラジオの松宮一彦さんのような音楽知識が私にはなかったので、トークで盛り上げるしかなかったという事だったのです。

そのために毎晩ライブに足を運んで音楽以外のネタを必死に仕込んでおりました。

また「番組の人気は徐々低迷。番組は終了し」との発言ですが、実際は聴取率はそこそこよかったのですが、スポンサーの日立さんが若者向けのオーディオ機器から徐々に撤退する流れの中で提供を降りたという事が終了の大きな要因でした。

さらに付け加えれば、バブル経済の真っただ中でお金の匂いを嗅ぎつけた人々がバンドブームの中にどんどん入り込んできた雰囲気にも、ちょっともうついて行けないなぁと思っていたため番組終了にはホッとした気持ちも正直ありました。

しかしそのあとしばらくレギュラー番組がまったくなくなってしまったのは相当に辛かったですが、その経験が後に「聞く力は偉大なり」という言葉の重みに気が付くきっかけになったのは確かです。

ということで今回の取材を通じて、当時の事を改めて見つめ直すきっかけを多々頂きました。

心より感謝申し上げます。