今年の年間ベストセラーの総合1位は石原慎太郎さんの「天才」でした。田中角栄元首相の生涯を田中角栄氏とは仲がよかった石原さんが書いたと話題になりました。
ロッキード事件はアメリカの策謀であったなど、興味深い話を角栄氏が「俺」という言葉で語ってゆく形式です。
発行部数は92万部とのことですが、私は随分遅れて図書館で借りて読みましたが、何の手違いか返却したにもかかわらず、返却をお願いしますと連絡がきて驚いたことを思い出しました。
「借りた本ベスト賞!」ということなら、知人から「これは絶対読んでください!」と貸してくれたのが恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」〈幻冬舎1800円+税〉です。
日本で行われるピアノの国際コンクールに参加する4人のピアニストとその周辺の人々の物語が、第一次審査から第2審査、第三審査そして本選と進みながら語られます。
ピアノのコンクールなんて全く縁のない私ですし、クラシック音楽に関しても素人でありますが、いやもう読み出したら止まらない本の典型でありました。
かつて天才少女と言われたが、コンクールを途中で逃げ出した過去を背負うが数年間のブランクの後、再び挑戦する20才の女性。
今は楽器店に勤めいるがかつてピアニストを目指した気持ちを忘れられず妻や友人の応援を受けてステージに立つ28才の男性。
もっとも優勝に近いと評される新進気鋭のピアニストでありながら、人間的にも魅了的な19才の青年。
そして父親は養蜂業で、蜜蜂とともに全国を旅しながら、行く先々のピアノを弾くことで音楽を知るという環境にあるにもかかわらず、審査員たちも師事した今は亡き大物ピアニストが推薦状まで書いたという謎の16才の少年。
これらの魅力的な登場人物たちがそれぞれエントリーした曲でステージに挑みます。
恩田陸さんが長い年月の取材と構想の末に生み出した傑作小説でした。
そして知人から「演奏した曲目が一覧表にもなっていますからネットで検索して聞きながら読むといいです」とも言われました。
非常に有名な曲、聞いたことがある曲、人間業とは思えない技術でしか弾きこなせない曲、そして恩田陸さんがこれらの30曲近いピアノ曲を、考えられないような豊かな表現で描ききります。
年末年始に1冊何か読みたいということでしたら、まずこの本をお奨めいたします!
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