嘉門達夫さんから本を送っていただきました。幻冬舎から出版されている「丘の上の綺羅星」という嘉門さんが書いた自叙伝的青春小説です。
嘉門さんとは1983年に「ヤンキーの兄ちゃんのうた」で歌手デビューしたころからの知り合いです。あれから幾星霜、その芸風は変わることはありません。
芸風が変わらないがゆえに、正直に言って私の中に「おーっ!嘉門達夫だぁ!」という熱いマグマのようなものがこみ上げてくる感じはありませんでした。
いつでも安心して「チャラリー~♪鼻から牛乳♪」なんだろうなぁ的受け止め方をしておりました。
しかし今回この本を読んで私は思いました。「そうだったんだぁ!嘉門達夫って!」と幾度も幾度も思いました。
嘉門さんが笑福亭鶴光師匠の弟子になったものの後に破門される話はあまりにも有名です。その後ブランクがあって嘉門という芸名を桑田佳祐さんからもらい受け面白ソングでデビューを果たすという話も、嘉門さんを紹介するときの枕詞のようなものでした。
当時は「嘉門さんて鶴光師匠に破門されたんですよねぇ」「そうなんですわ!もうえらいこって!」「ワハハハッ!」とこれで終わっていたのです。
私もそれ以上立ち入らないほうがいいと思ったのか、そんなものかと思ってしまったのか「なんで破門に?何があったのですか?どうしてまたこの世界に戻ってこられたのですか?」という話をちゃんと聞いていないのです。
ここに十代の頃の、嘉門達夫になる以前の多感な若者に様々な試練とチャンスがいっぺんに押し寄せて、運命に翻弄されされた物語の数々があったにもかかわらず、「何故?」と伺わないまま時は流れてしまいました。
「丘の上の綺羅星」には鶴光師匠に入門した経緯、思いもかけずラジオのレギュラーが始まった話、そして破門になりその後どのように過ごしていたかが書かれています。
そしてこの本には、いつも嘉門さんを時に温かく、時に厳しく見守り続けた恩人の存在の大きさが根底に流れているのです。
大阪毎日放送の「MBSヤングタウン」という深夜放送は1967年に始まりました。桂三枝、谷村新司、笑福亭鶴光、角淳一、笑福亭鶴瓶、明石家さんま、ダウンタウン等々、まさしく綺羅星の如くラジオスターを生んだ名番組があります。
その伝説的名物番組「ヤンタン」を立ち上げたこれまた伝説的プロデューサーの渡邊一夫さんと嘉門さんの物語でもありました。
新しいものを立ち上げてゆくわくわくするような雰囲気、そしてその中に自分がいることの喜び、そして挫折。そして人生の恩師との羨ましいほどの心の交流が、嘉門達夫さんの確かな筆で描かれている作品です。
ラジオが好きな方ならば、たとえ「ヤンタン」は知らずとも必ずやその世界に引き込まれる物語です。大手の書店では平積みになっているところもありますので是非ご一読の程を。
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