おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
10/15は、監督が脚本も担当した各国の衝撃作3本をご紹介。
1本目は、宮沢りえ主演、タブーとされる領域の奥深くへ大胆に踏み込んだ世に問うべき問題作『月』

原作は、実際の障害者殺傷事件に着想を得て2017年に発表された辺見庸さんの同名小説です。
『新聞記者』や『空白』など、現代社会に鋭い眼差しを向ける話題作を手掛けてきたスターサンズの故・河村光庸プロデューサーが、生前「命の尊厳について今一度向き合いたい」と語っていた作品です。
クランクイン直前に急逝した河村氏から直接オファーを受けた『舟を編む』などの石井裕也監督が、「撮らなければならない作品だと覚悟を決めた」と、脚本も担当しました。

舞台は、深い森の奥にある重度障害者施設。
ここで新しく働くことになった堂島洋子は、“書けなくなった”元・有名作家。彼女を“師匠”と呼ぶ人形アニメーション作家の夫・昌平と2人、慎ましく暮らしています。
施設では、同僚の作家を目指す坪内陽子や絵の好きな青年さとくんと親しくなり、光の届かない部屋でベッドに横たわったまま動かない、同じ誕生日の入所者“きーちゃん”と出逢います。
そして、堂島洋子は、施設で、他の職員の入所者への心ない扱いや暴力を目のあたりにしますが、それを訴えても聞き入れてもらえません。
そんな世の理不尽に誰よりも憤っているのは、さとくんでした。彼の中で増幅する正義感や使命感が、やがて怒りを伴う形で徐々に頭をもたげていくのです……。

河村氏からプロデュースを引き継いだ長井龍氏は「本作の挑戦とは、日本社会に長らく根付く労働や福祉、生活の根底に流れるシステム自体を問い、複眼的に人間の尊厳を描くことだった」と話しています。
つまり、ずっと社会が、個人が、“問題に対して見て見ぬふりをしてきた”という現実をさらけ出すことで、人間の尊厳について考えざるを得ない状況を作るということではないでしょうか。

そんな思いに賛同し、答えの出ない“命の尊厳”に向き合う覚悟で参加した俳優陣は、主役の堂島洋子に宮沢りえさん、夫の昌平はオダギリジョーさん、坪内陽子役は二階堂ふみさん、そして、さとくんに磯村勇斗さんという押しも押されぬ豪華なメンバー。
それぞれ、適材適所という言葉がピッタリの配役、これ以上ないという渾身の演技を見せてくれました。
この作品の前提は、当事者と一緒に主題に向き合っていくこと、そこで、施設利用者の役は実際に障害がある方も出演しています。

問題を隠蔽し、蓋をする行為は、社会の至る所に潜んでいるのでしょう。
社会の矛盾を目の当たりにした時、自分はどうするのか?もう他人事ではありません。
磨かれた鏡のようにしんと澄んだ月に、自分の心を映してみる…答えは出ないかもしれない、きっと出ない、でも考えることが大切なのだと教えてくれる作品です。

『月』
10月13日(金)新宿バルト9、ユーロスペースほか全国公開
公式サイト:10月13日公開、映画「月」オフィシャルサイト (tsuki-cinema.com)
配給:スターサンズ
©2023『月』製作委員会

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