おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
1/22は、各国の変わりゆく時代の中で生きる人々を描き出す作品を3本をご紹介。

2本目は、まったく雰囲気が違う作品。
香港と台湾も加えて描く中国の30年、息もつかせぬネオノワールサスペンス
『シャドウプレイ 【完全版】』

広州市の都市再開発で取り残された一画、ビジネス街に囲まれた都会の村・シエン村で2010年に実際に起きた暴動をヒントに描かれたこの作品。
中国が改革開放路線に転じた80年代から2000年代の不動産バブル時期まで、人々の欲望が渦巻く30年間の時代に翻弄される7人の登場人物を描いています。

物語は2006年、広州市内の河川敷で、カップルが遺体を発見するところから始まります。
そして舞台は7年後の2013年、広州市の開発区域の一画、都会の村・シエン村に移ります。立ち退き賠償に不満を抱く住民たちが起こした騒乱の最中、現場を訪れた市の責任者タンが住民たちの説得にあたりますが、ちょっとした隙にタンはビルの5階から転落死してしまいます。
この殺人事件を担当する若手刑事のヤンは、この地区の開発を一手に握る不動産会社の社長ジャン、そして殺されたタンの妻リン、2人の娘ヌオの身元を調べ始めます。

やがて、殺されたタンと妻のリン、ジャン社長の3人は、24年前に出会っていたことが判明。そしてもう一人の重要人物、ジャン社長が台湾で知り合ったホステスのアユンの存在も浮上します。実は、ヤン刑事の父親はアユンの失踪事件を調べていて事故に遭い再起不能になってしまったのです。
調べを進めるうちにヤン刑事はとんでもない事件に巻き込まれ、職を追われ香港に逃げることに！
果たして、タンを殺した犯人は誰なのか？アユンの失踪事件はどうかかわっているのか？ヤン刑事は汚名を返上することができるのでしょうか？

先の読めないストーリー展開、息つく暇もないスピード感、飲み込まれそうな人々のパワー、スクリーンの中の騒乱に巻き込まれてしまいそうです。
監督は、芸術性の高さと個人主義的な視点が特徴といわれる中国映画の“第6世代”を代表するロウ・イエ監督。「映画が完成しても監督には最も手ごわい仕事、検閲への対応がある」と述べていますが、実はこの作品の完成は2017年。その後、当局の審査で繰り返し修正を迫られ、公開されたのは2年後の2019年だったのです。
公開後3日間でおよそ6億5千万円の興行収入を記録し大ヒットとなりました。

バブルの熱狂の渦に巻き込まれていく人々は、夢と現実のはざまに何を見たのでしょうか？

『シャドウプレイ 【完全版】』
1月20日(金)より新宿K’s cinema、池袋シネマ・ロサ、UPLINK吉祥寺ほか全国順次公開

公式サイト：2023年1月20日公開『シャドウプレイ【完全版】』公式サイト (uplink.co.jp)
監督：ロウ・イエ (婁燁 )
出演：ジン・ボーラン (井柏然 )、ソン・ジア (宋佳 )、 チン・ハオ (秦昊 )、 マー・スーチュン (馬思純 )、 チャン・ソンウェン (張頌文 )、 ミシェル・チェン (陳妍希 )、 エディソン・チャン (陳冠希 )
配給：アップリンク
2018 年／ 中国 1 29 分／ 北京語・広東語・台湾語／ DCP 1.85:1／日本字幕：樋口裕子
配給・宣伝：アップリンク
©DREAM FACTORY, Travis Wei