おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
2/20は、3つの国から届いた登場人物がとても魅力的な作品をご紹介。
1本目は、中東イラン。気鋭の女性監督が放つ衝撃の冤罪サスペンス
『白い牛のバラッド』

主人公は、牛乳工場で働きながら耳が聞こえない幼い娘を育てるシングルマザーのミナ。
夫は1年前、殺人罪で死刑になりました。今なお喪失感と深い悲しみの中にいる彼女に、ある日裁判所がとんでもない事実を告げます。
「殺人事件を再精査した結果、真犯人が別にいた」というのです!
国から賠償金が払われるといわれても納得できないミナは、担当判事のアミニへ謝罪を求めますが、彼に会うことさえできません。
理不尽な現実にあえぐミナに、後ろ盾となって救いの手を差し伸べたのは、ある日突然訪ねてきた夫の古い友人だという男性レザでした。だんだんと家族のように親密な関係を育んでいきますが、レザにはある重大な秘密があったのです。
やがて、その真実を知ったミナが下した決断とは?

今でも法律や風習に女性差別が残るイランの現実を描き出したのは、男女2人の監督。
女性監督のマリヤム・モッガダムは、主人公のミナを演じ、圧倒的な演技力を見せつけました。

アムネスティ・インターナショナルの報告書では、イランの死刑執行件数は中国に次いで世界2位。しかも、自白強要の拷問や結論ありきの裁判など、国際社会から大きな批判の対象となっています。
イランでは、近年、死刑制度を扱った映画が相次いで作られていて、大きな反響を呼んでいますが、イラン政府の検閲で弾かれたこの作品は、本国では3回しか上映されていません。
作品に何度か登場する白い牛は、死刑を宣告された無実の人間を暗示。「犯人を探し出すため、モーセがイスラエルの民に雌牛を犠牲に差し出すよう命じた」というコーランに記された古代の寓話に由来していて、宗教的な儀式における牛は生贄とされています。

宗教と法律が深く結びついた国の物語は、驚くことも多いです。特に女性に対する冷酷さ…夫の友達が家を訪ねただけで「ふしだらだ」と部屋を追い出す大家さん、「ペットを飼っている人と麻薬中毒者と未亡人に、家は貸せない」という不動産屋さん、悪いことはすべてミナのせいにして親権を奪おうとする夫の実家…女性にとって酷いことばかりです。

衝撃のラストシーンは、見た人によって解釈が分かれるところ。
愛する人を冤罪で殺されたら…「すべては神の思し召し」あなたはそんな風に思えますか?
死刑制度がある日本人に白い牛は見えるのでしょうか?

『白い牛のバラッド』
2月18日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
公式サイト: https://longride.jp/whitecow/
監督:ベタシュ・サナイハ、マリヤム・モガッダム
出演:マリヤム・モガッダム、アリレザ・サニファル、プーリア・ラヒミサム
2020年/イラン・フランス/ペルシア語/105分/1.85ビスタ/カラー/5.1ch/英題:Ballad of a White Cow/日本語字幕:齋藤敦子 配給:ロングライド

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