【侍ジャパン 甲斐拓也選手】
2019年「プレミア12」での世界一をはじめ、何度も大舞台を経験し、今回のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックでも侍ジャパンの扇の要として活躍が期待される福岡ソフトバンクホークス・甲斐選手。国際大会で甲斐選手が特に存在感を示したのが、悲願の金メダルに沸いた21年の東京オリンピックです。ドミニカ共和国と戦った開幕戦。日本は1点リードを許したまま9回裏、最後の攻撃を迎えるという絶体絶命のピンチに陥ります。ここで1アウト 一・三塁のチャンスを作ると、甲斐選手が決死のスクイズを決め同点に。直後のサヨナラ勝ちにつなげました。極め付きはアメリカと対戦した準々決勝、試合が9回で決着がつかず、タイブレークに突入します。そして延長10回裏、1アウト 二・三塁の場面で打席に立った甲斐選手が、ライトオーバーのサヨナラタイムリーを放ち日本が勝利しました。
守備では東京オリンピックの4試合でスタメンマスクをかぶり、侍ジャパンの投手陣を支えた甲斐選手。初めて対戦するバッターばかりの国際大会で、甲斐選手は対戦国の全選手のデータをファイルにまとめ、ベンチでその“甲斐ファイル”を確認しながら臨機応変のリードで投手陣を支えました。さらに東京オリンピックでは、イニング間の攻守交代に制限時間があったため、リリーフ投手との意思疎通が不十分になると考えた甲斐選手。ベンチとブルペンを結ぶ連絡用の電話で次に投げるピッチャーと事前ミーティングを行いました。今回のWBCでもまた、こんなシーンが見られるかもしれません。
【侍ジャパン 中村悠平選手】
限られた試合で野球世界一を争うWBCでは、短期決戦の戦い方をよく知っている選手が必要です。昨年・一昨年と2年連続で日本シリーズに出場した東京ヤクルトスワローズの正捕手・中村選手は、まさにその一人。2021年の日本シリーズでは、初戦でオリックスの絶対的エース・山本由伸投手から先制のタイムリー。第3戦では、1点を追う5回、ツーアウト満塁のチャンスで打席に立つと、逆転の2点タイムリーを放って勝利に貢献します。守りでは、第2戦で高橋奎二投手をプロ入り初の完封勝利に導くなど、リードでもチームを支え、20年ぶり日本一の立役者となりました。実は、前年の20年は怪我の影響もあり、リーグ戦出場はわずか29試合。復活をかけ、決死の覚悟でシーズンに臨んでいたからこそ、日本シリーズMVPに選ばれた時のお立ち台では思わず涙を流しました。
連覇を目指す22年、中村選手は背番号を27に変更します。ヤクルトの27番は、1978年、球団初のリーグ優勝と日本一を成し遂げた時の正捕手・大矢明彦選手や、90年代の黄金期を牽引した古田敦也選手がつけていた名捕手を象徴する番号です。中村選手はその27番をつけることで、あえて自らにプレッシャーをかけてシーズンに挑み、その決意は見事に結果となって表れます。守備では無失策、守備率10割を達成し、盗塁阻止率はリーグトップの3割6分4厘。バッティングではプロ初の2打席連続ホームランを記録するなど、勝負強さを随所に見せ、セ・リーグ連覇に貢献したのです。今回のWBCでも背番号27で出場する中村選手。攻守にわたって侍ジャパンを支えます。
【大相撲 貴景勝光信関】
一横綱・一大関という、実に125年ぶりの番付で始まった今年1月の大相撲初場所。しかも横綱・照ノ富士関が休場したため、番付最上位力士の重責を担ったのが、大関・貴景勝関でした。昨年11月の九州場所では、優勝者を決める巴戦に進みましたが、阿炎関に敗れ優勝を逃します。初場所は、「高いレベルで優勝したら横綱昇進」という綱取りの場所でもありました。ひとり大関に加え、綱取りという二重のプレッシャーが掛かったせいか、貴景勝関は2日目、翔猿関に敗れてしまいます。しかし、そこから気を引き締めて8連勝。10日目を終えて9勝1敗と、単独トップに立ちました。ところが、11日目に琴ノ若関、12日目は霧馬山関と、小結2人に連敗。貴景勝関は3敗で優勝争いから一歩後退し、綱取りも絶望的になりました。
13日目の相手は、2敗で単独トップの前頭・阿武咲関。貴景勝関にとっては中学時代からのライバルです。ここで開き直った貴景勝関は立ち合い、頭からぶつかると、激しい突きや押しの応酬の末、阿武咲関を土俵の外に押し出して勝利。自力優勝の可能性を復活させました。貴景勝関は14日目も勝って阿武咲関が敗れたため、優勝争いは3敗で並ぶ貴景勝関と、平幕・琴峰勝関の2人に絞られ、千秋楽は直接対決で勝った方が優勝という大一番になります。貴景勝関は立ち合いから押し込んで快勝。13場所ぶり3度目の優勝を飾りました。この優勝で、義理の父でありかつての名大関・北天佑関の優勝回数・2回を超え貴景勝関。春場所も連覇を目指し、北天佑関が果たせなかった綱取りを目指します。
【大相撲 琴勝峰吉成関】
1999年生まれで、今年8月に24歳の誕生日を迎える琴勝峰関。2020年7月場所で、当時最年少の20歳で新入幕を果たし、いきなり5連勝して注目を浴びました。しかしその後は伸び悩み低迷。怪我にも泣かされ、一時は十両落ちも経験します。昨年3月の春場所でようやく幕内に復帰し9勝を挙げたものの、その後は4場所連続で負け越してしまい、初場所の番付は前頭13枚目。再び十両落ちの危機を迎えていました。昨年11月の九州場所では、琴勝峰関と同学年の豊昇龍関・王鵬関がともに活躍し、優勝争いに絡みます。ライバルの活躍もいい刺激になったのか、初場所の琴勝峰関は初日から5連勝。新入幕の場所以来の快調なスタートを切りました。
6日目に初黒星を喫しましたが、そこからまた連勝。立ち合いから反応の良さが目立ち、落ち着いた取り口も光りました。8日目の時点で7勝1敗と、大関・貴景勝関とトップタイで折り返した琴勝峰関。13日目には前の場所で優勝した阿炎関を撃破し、10勝3敗で再びトップに並びます。14日目も勝って、千秋楽は同じ埼玉栄高校の3年先輩・貴景勝関と3敗同士で直接雌雄を決することになりました。平幕力士が千秋楽で相星決戦に臨むのは、戦後1場所15日制になってから史上初の快挙です。勝った方が優勝という一番は、大関に完敗。悔しさも味わいつつも、琴勝峰関は11勝4敗で初の敢闘賞に輝きました。
【大相撲 落合哲也関】
今年の初場所にデビューしたばかりの力士が、わずか1場所で関取に昇進。そんな史上最速のスピード出世を果たしたのが、宮城野部屋所属の落合関です。鳥取県倉吉市の出身で現在19歳。小学生の頃から全国大会で活躍し、鳥取城北高校時代は2年連続で高校横綱に輝きました。3年生の時、アマチュア日本一を決める全日本相撲選手権でベスト8に進出。卒業後の昨年9月、全日本実業団相撲選手権の個人戦で優勝し、幕下15枚目格付け出しで大相撲入りできる資格を獲得しました。
角界入りにあたり落合関が師匠に選んだのは、元横綱・白鵬の宮城野親方でした。尊敬する師匠の下、落合関は今年の初場所でデビューを果たし、新弟子とは思えない安定感のある取り口で、無傷の7連勝で幕下優勝。場所後に十両昇進が決まりました。デビューからわずか1場所で関取になったのは初めてで、”令和の怪物”と呼ばれる落合関は、史上最速のスピード出世で早くも伝説を作りました。このスピード出世により生じた問題が、髪の毛です。短髪でデビューした初場所から髪の毛の伸びが追いつかず、関取の証であるまげはもちろん、大銀杏もお預けとなってしまいました。春場所に向けた稽古で、関取だけが許される白まわしを初めてつけた落合関。「良い意味で汚して、強くなっていきたい」と、さっそく猛稽古を積みました。目標は「幕内で優勝して師匠を泣かせることと、夢だった横綱になること」。師匠が嬉し泣きする日は、意外と早くやって来るかも知れません。
来週のスポーツ伝説もお楽しみに!!
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