【車いすテニス 国枝慎吾選手】
昨年の東京パラリンピック、車いすテニス・男子シングルスで金メダルに輝いた国枝選手。パラリンピックでのシングルス制覇は2大会ぶり3度目で、達成感から大会後は「燃え尽き症候群」のようになったと言います。今年1月の全豪オープンでは、毎試合「これで最後だ」と自分に言い聞かせ、試合に臨んでいました。しかし決勝まで勝ち進み、過去最高のプレーで優勝すると、まだ自分のテニスを追求できると感じ、失いかけていた情熱が蘇ってきました。全豪オープン終了後に、サーブやフォアハンドなど、あらためて技術を一から見直した国枝選手。その効果もあって、6月には全仏オープンを4年ぶりに制覇。勢いに乗って7月のウィンブルドンに挑みます。国枝選手は4大大会のうち、芝のコートで行われるこの大会だけはまだ優勝したことがなく、闘志を燃やすには格好の舞台でした。
ウィンブルドン初制覇に向け、国枝選手を支えてくれた人が2人います。1人は、ウィンブルドン・男子シングルスで歴代最多の優勝8回を誇り、今年引退した“芝の帝王”こと、ロジャー・フェデラー選手。もう1人は、おいしい手料理で国枝選手を支えてきた、妻の愛さんです。国枝選手は、順当に勝ち上がり決勝に進出。地元イギリスのアルフィー・ヒューエット選手との対決は、3時間20分の大熱戦の末国枝選手が初優勝を飾りました。したのです
【レスリング 須﨑優衣選手】
昨年の東京オリンピックでは初戦から決勝まで全4試合を無失点、10点差以上の大差をつけてテクニカルフォール勝ちという圧倒的な強さで金メダルをつかんだ、レスリング女子50キロ級の須﨑選手。今年6月の全日本選抜選手権決勝では、前回の世界選手権チャンピオン・吉元玲美那選手から巧みな動きでポイントを重ね、みごと優勝を飾ります。9月の世界選手権でも絶対女王ぶりは変わらず。初戦は41秒、次の試合は30秒で秒殺。準決勝と決勝戦も無失点のフォール勝ち。4試合すべてを第1ピリオドで退ける圧勝劇で、3度目の世界選手権制覇を果たしました。
今年の春から社会人になった須﨑選手。10月には23歳以下の世界選手権に初めて出場し、初戦から決勝まで全試合で1ポイントも許さない完璧な内容で初優勝を果たします。この優勝で須﨑選手は、ジュニア時代から続く海外選手相手の連勝記録を78に更新。そして17歳以下、20歳以下、23歳以下、シニアの世界選手権にオリンピックと、主要5大会をすべて制する「グランドスラム」を達成したのです。これは男女を通じて、レスリング界で史上初めての大偉業でした。
【車いすバスケ U23日本代表】
昨年9月の東京パラリンピック決勝では、王者・アメリカと最後まで互角に戦い、初の銀メダルに輝いた車いすバスケットボール日本代表。躍進の原動力となった若手選手たちの中心的存在が、現在23歳の鳥海連志選手です。生まれつき両手足に障害を抱え、3歳の時に手術を受け両足を失った鳥海選手。高校生の時に日本代表に選ばれ、2016年にはチーム最年少選手としてリオパラリンピックに出場。昨年の東京パラリンピックでは、驚異的なスピードを武器にコートを駆け回り、主軸の一人として活躍しました。次のパリパラリンピックで悲願の金メダルを獲得するため、日本代表の今後を占う大きな大会が、今年9月にタイで行われた23歳以下の大会「U23車いすバスケットボール世界選手権」でした。
海外の強豪国と比べると、身長が低い日本代表。その体格の差を埋めたのは、日本の持ち味でもある手堅い守備とスピードでした。カギを握ったのが、スピードが武器の鳥海選手です。チームの中心として大車輪の活躍を見せ、遠くから放つスリーポイントシュートは参加12ヵ国の中でトップタイの8本を記録。高さで劣る部分をみごとにカバーしてみせました。そんな鳥海選手の活躍もあって日本は決勝に進出。大柄な選手が多いトルコを相手に、日本は強固なチームワークと手堅い守備で、5点リードで最終第4クォーターを迎えます。試合を決めたのは、赤石竜我選手でした。残り15秒の場面で、赤石選手がフリースローを2本決めて突き放し、日本は優勝。固いチームワークで、日本がこの世代で世界のトップに立ったのです。
【プロ野球 杉谷拳士選手】
今年限りで現役を引退した、北海道日本ハムファイターズの杉谷選手は、高校野球の名門・帝京高校出身。卒業後は社会人野球入りが決まっていましたが、プロへの道を諦めきれず、日本ハムのプロテストを受け合格。2008年のドラフト6位で入団しました。杉谷選手に対して「体力、技術面でプロのレベルには達していないけれど、性格面・精神面は十分プロレベル」という異例の評価をしていた日本ハム。こういう選手がいったいどこまで通用するのか、テストケースの入団でした。杉谷選手は期待に応え、ムードメーカーとしてすぐにファンの注目を集める存在になりました。プロ2年目の10年にはファームで133安打を放ち、イースタン・リーグの最多安打記録を12年ぶりに更新。3年目にはフレッシュ・オールスターゲームで優秀選手賞を獲得。4年目にプロ初ホームランを放つなど、一軍でも徐々に結果を出していきました。7年目の15年は規定打席には届かなかったものの、打率2割9分5厘をマークしレギュラー獲得へあと一歩に迫ったのです。
好成績を受け、16年のシーズンより杉谷選手の背番号は「61」から「2」に変更。レギュラー候補と期待されましたが、開幕早々に右手を骨折してしまい、チャンスを逃してしまいます。それでも自分の持ち味を活かし、チームに欠かせない存在としてファンに愛され続けました。守備では内・外野、任されればどこでもプレー。捕手のベンチ入り人数を減らすため、キャッチングの練習に取り組んだことも。また攻撃面では足が速く、バントもできるスイッチヒッターとして先発でも控えでもチームに貢献し、19年には1試合で左右両打席ホームランを記録。これは史上19人目の快挙でした。
【プロ野球 川島慶三選手】
身長171㎝と小柄ながら、北海道日本ハム・東京ヤクルト・福岡ソフトバンク・東北楽天と4球団を渡り歩き、17年間プレーしてきた川島慶三選手。勝負強いバッティングと、ケガも恐れないガッツ溢れるプレーが信条でした。象徴的だったのが、プロ1年目の2006年、日本ハム時代の記念すべきプロ初打点です。0対0で迎えた延長12回、ランナー 一・三塁のチャンスで打席に立った川島選手の打球はショートゴロに。当時、日本ハムはケガ防止などの理由でヘッドスライディングを禁止していましたが、川島選手は一塁へのヘッドスライディングで併殺を阻止し、見事決勝点をもぎ取ったのです。この試合で日本ハムは、3投手の継投でノーヒットノーランを達成。川島選手の決死のプレーが、この快挙を生んだのです。
17年の日本シリーズでは、日本一に王手をかけた第6戦の延長11回ウラ、2アウト一・二塁のチャンスでヒットを放ち、史上4度目のサヨナラ日本一の立役者となりました。ソフトバンクでの最終年となった21年のシーズン初ヒットも代打逆転サヨナラヒット。楽天に移籍した今年は、ホームでの初スタメンとなった試合で特大の先制3ランを放つと、守ってはユニフォームを泥だらけにするほどのダイビングキャッチを披露してファンを沸かせました。引退後は指導者として、川島選手らしく明るく、元気に若手選手を育てます。
来週のスポーツ伝説は……
12/12(月) フィギュア 羽生結弦選手
12/13(火) サッカー 中村俊輔選手
12/14(水) スピードスケート 小平奈緒選手
12/15(木) テニス ロジャー・フェデラー選手
12/16(金) MLB アルバート・プホルス 選手
お楽しみに!!
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