【プロ野球 嶋基宏選手】
東北楽天時代に「見せましょう、野球の底力を」という名言を残し、今年限りで引退した東京ヤクルトスワローズの嶋選手。嶋選手を語る上で外すことができないのは、恩師二人の存在です。一人は、楽天に入団した時の野村克也監督。野村監督からは、プロのキャッチャーとして必要なイロハを教えてもらったといいます。そしてもう一人は、楽天で日本一になったときの星野仙一監督です。勝利への執念とリーダーシップを学んだという嶋選手は、二人からの教えをヤクルトの若手選手たちに伝授し、精神的支柱としてチームを支えました。
10月3日、神宮球場でのレギュラーシーズン最終戦が、嶋選手の引退試合となりました。この試合で活躍したのが、高卒2年目のキャッチャー・内山壮真選手です。かつての自分が野村監督の横に座って野球を学んだように、内山選手もベンチでは常に嶋選手の隣に座ってマンツーマン指導を受けました。そんな愛弟子がこの試合で、はなむけとなるホームランを放ちます。そして代打で出場した最終打席を「空振り三振」に倒れた嶋選手は9回、内山選手に代わってマスクを被り、最後の役目を終え現役生活にピリオドを打ちました。
【プロ野球 明石健志選手】
福岡ダイエーホークスの最終年となった2004年にプロ入りを果たした明石健志選手。ダイエー時代に入団し、今シーズンも現役でプレーしたのは、明石選手と和田毅投手の2人だけ。明石選手は、野手最後のダイエー戦士でした。身長は174㎝と決して大柄な体ではありませんが、少年時代に体操で培った身体能力の高さを武器に、高卒1年目に早くもプロ初ヒットをマーク。2年目以降は故障に悩まされたものの、12年には主にショートとしてキャリア最多の135試合に出場。ファウルを打って粘るのが得意で、この年の日本ハム戦で記録した1打席19球はプロ野球最多タイ記録です。また、この年は三塁打を年間で6本も記録。今シーズン最初のヒットも、巨人との交流戦で放ったタイムリー三塁打でした。現役通算36本の三塁打をマークし、“ミスター・スリーベース”とも呼ばれています。
明石選手の名場面といえば、「バク宙ホームイン」です。伝説のシーンは19年4月25日のオリックス戦、本拠地での平成最後の試合で打席に立った明石選手は、ライトポール直撃のサヨナラスリーランを放ちます。これがプロ16年目にして初のサヨナラアーチだった明石選手は、美しい「後方宙返り」を決めてホームイン。平成最後のホームゲームを華麗に締めくくりました。あれから3年……今シーズン限りで、現役引退を決めた明石選手は、自身の引退セレモニーで、惜別のバク宙ホームインを披露。年齢を感じさせない身体能力の高さで美しい弧を描き、ファンの喝采を浴びました。
【プロ野球 十亀剣投手】
イチロー選手を生んだ、愛知の名門・愛工大名電高校の層が厚い野球部に入ったことで、十亀投手の運命は大きく変わります。入学当初は右のオーバースロー投手でしたが、同学年に同じタイプの投手がいたため、監督からの提案で十亀投手はサイドスローの技巧派に転向。結果的に背番号1を手にすることはできず、3年生のセンバツでチームは優勝したものの、この決勝戦で十亀投手の出番はありませんでした。しかし自分の長所と短所を見つめ直し、妥協せずに努力を重ねたことで、大学・社会人と進むごとに評価は上昇。技巧派から150キロを投げるサイドスローに変貌を遂げ、2011年、ドラフト1位で埼玉西武ライオンズに入団したのです。
プロ1年目の12年、十亀投手は中継ぎを中心に41試合に登板し、6勝0敗9ホールドと負けなしの成績を残します。新人投手が開幕6連勝を挙げたのは、19年ぶり10人目の快挙でした。2年目以降は先発ローテーションの一角を担い、2ケタ勝利は15年。4年目に挙げた11勝の一度だけでしたが、チームのために自己犠牲も厭わずマウンドに立ち続ける姿は、首脳陣やファンから大きな信頼を集めました。そんな十亀投手の引退登板のマウンドは今年10月2日。最速142キロの力強いストレートで空振り三振に仕留めた十亀投手は、最後までチーム愛に徹しマウンドに別れを告げました。
【プロ野球 坂口智隆選手】
2002年のドラフト1位で、神戸国際大学付属高校から大阪近鉄バファローズに入団した坂口選手。プロ2年目の04年オフに近鉄球団がオリックスに吸収合併され消滅。新球団・オリックスバファローズが誕生するという出来事があり、坂口選手はその最初のメンバーになりました。08年から外野のレギュラーに定着し、4年連続でゴールデングラブ賞に輝いただけでなく、11年にはパ・リーグトップの175安打を放ち、最多安打のタイトルも獲得します。しかしその後はたび重なる故障の影響もあり、成績が低迷。出場試合も減り、31歳になった2015年のオフ、年俸の大幅減額を提示された坂口選手は、自ら申し出て自由契約となりオリックスを退団。その時にオファーをくれたのが、ヤクルトでした。新天地での活躍を誓った坂口選手は、それまで守ったことのないファーストの守備にも挑戦。持ち前の明るさでチームを盛り上げました。
20年には通算1500安打を達成。しかしこの2年はケガの影響などもあり出場機会が大きく減少し、今シーズン限りで引退を決意しました。引退試合となった10月3日のシーズン最終戦で華麗な流し打ちを見せ、通算1526本目のヒットを記録します。20年のプロ野球人生にピリオドを打った坂口選手。これで、近鉄に在籍したことのあるNPBの現役選手は一人もいなくなりました。
【 大相撲 玉鷲一朗関】
片男波部屋に入門し、2004年の初場所で初土俵を踏んだ玉鷲関。入門から5年目、08年の秋場所に23歳で新入幕を果たします。初めて三役の小結になったのが、7年後の15年春場所。関脇昇進は、さらに2年後の17年初場所で、32歳の時でした。コツコツと番付を上げ、関脇だった19年初場所で34歳にして初優勝。しかし大関昇進は果たせず、その後はまた平幕に戻っていました。片男波部屋は力士4人と小さな部屋で、関取は玉鷲関だけ。そのため稽古相手を求めて出稽古が重要となりますが、コロナ禍でそれもままならなくなり、部屋の後輩力士一人では玉鷲関の相手として力不足。そこで片男波親方の発案で春場所あたりから始めたのが、二対一の稽古です。
37歳、東前頭3枚目で迎えた今年9月の秋場所で、その効果が表れました。秋場所は初日から自身初の6連勝。横綱・照ノ富士関と2大関を破る快調なスタートを切った玉鷲関。7日目に初黒星を喫しますが、そこから4連勝。11日目の時点で10勝1敗と、優勝争いの単独トップに立ちました。優勝を意識したのか、12日目に2敗目を喫しましたが、これで腹をくくりました。14日目を終えて優勝争いの行方は、2敗の玉鷲関と、3敗で追う高安関に絞られます。出稽古でよく一緒に稽古をした二人が、千秋楽で直接対決。玉鷲関は、高安関のかち上げを受け止めると、得意の突き押しで前に出て、最後はのど輪攻めで押し出し圧勝。実に21場所ぶり、2度目の賜杯獲得で、37歳10ヵ月での優勝は、年6場所制が定着して以降、最年長記録でした。
来週のスポーツ伝説は……
11/14(月) サッカー 田中碧選手
11/15(火) サッカー 三笘薫選手
11/16(水) サッカー 長友佑都選手
11/17(木) サッカー 冨安健洋選手
11/18(金) サッカー 権田修一選手
お楽しみに!!
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