ニッポンチャレンジドアスリート

2025.09.29

中野琢也(座位バレーボール)

1986年生まれ、静岡県浜松市出身の39歳。中学生のときはバレーボールをしていましたが、骨肉腫を発症して左足を切断。その後、車いすバスケットボールに取り組んでいましたが、2016年から、床に座ってプレーをする「座位バレーボール」を始め、2021年には男子日本代表のメンバーとして、東京パラリンピックに出場。3年後のロスパラリンピックで2大会ぶりの出場を目指しています。

◾️中野選手がバレーボールを始めたきっかけは?

「小学校時代から母親がママさんバレーをやっていて。バレーボールが身近な環境にあったことと、中学時代に先輩から背が高いからバレーボールどうだ、って誘われたのがきっかけです」

「セッターをやってました。中学3年のときに県のベスト8ぐらいまでですね」

◾️しかし中学3年生のとき、左足のヒザに痛みを感じた中野選手。診断の結果は「骨肉腫」だった。左足を切断する手術を受け、義足生活になった中野選手。またスポーツをやってみようと思った理由は?

「義足を履きながら友だちと野球をやったりとか、義足を外してフットサルを混ざってやったりとかっていうのをやっていたので。障がい者スポーツっていうのを意識してやろうとは思ってはなくて、最初。何かしら運動できたらいいな、っていうのでいろいろやり始めたってところはありますね」

◾️最初はバレーボール競技ではなく、車いすバスケットボールに打ち込んだ。しかし、どうしても、もう一度バレーをやってみたい、という思いから、中野選手は2016年、当時「シッティングバレーボール」と呼ばれていた座位バレーボールを始めた。

「車いすバスケをやっていたけど、やっぱりバレーボールやりたいなって思って。パラバレーボール協会に連絡をしたんです。で、東京にチームがあるからっていう話をされて、一度見に来たり、やってみたらどうだ、という話をもらったので、行こうと思ってやりました」

◾️2016年に初めて、座位バレーボール日本代表に選ばれた中野選手。2018年には、オランダで行われた世界選手権に出場した。

「自分としては結構びっくりしました。やっぱり海外の高さとパワーの強さは最初見たとき、すごい衝撃でした」

「やっぱり日本人の体の大きさより、海外の人たちの方が体が大きいので。その分、座った状態でもすごく高く感じますね」

◾️その後、中野選手は2021年、晴れて東京パラリンピック代表に選ばれる。東京パラリンピックの直前、コロナ禍で練習もままならない中、2021年4月、中野選手の地元・浜松市にある聖隷クリストファー大学の学生たちが、学内に座位バレーボールの
サークル「パラだに浜松」を設立。練習パートナーを務めてくれた。

「聖隷の、三方原病院の『地域障がい者総合リハビリセンター』っていうのが、コロナの前に完成したんですけど。コロナになってそこが閉鎖になってしまって。で、そこでも練習をしていたときに、聖隷の大学の学生さんが練習の見学に行きたいっていう話をもらって。で、そこから繋がりができました」

「1人で練習をしていたところから、相手ができて、試合ができてっていうところまで練習できるようになったっていうので、すごく感謝していますね」

◾️トレーニングを積み、東京パラリンピックに臨んだ中野選手。ところが、本番前の練習で、思わぬアクシデントが起こる。床で跳ね返ったボールを直接目に受けてしまい、網膜剥離になってしまった。

「選手村には入村していて、初戦の前の練習で、多分、網膜剥離が発症してしまって。初戦はベンチにはいたんですけど、それ以降良くならなかったので、2戦目からは退村して手術を受けたっていう形になります」

「ちょっと剥がれかけているから早く手術した方がいいって言われて、退村しなきゃいけなくなったって感じです」

◾️東京パラリンピックの男子日本代表に選ばれながら、練習中に目を負傷し、チームから離脱することになった。

「動画見ながら全部の試合は見ていましたね。見てて、1試合ずつすごい良くなっていっているのが見えていたので。成績的には全部負けてしまって8位っていうところだったんですけど、やってきたことを出せていたんじゃないのかなって。正直羨ましいなっていうところもありましたけど。でも無事に終わって良かったなっていう印象はありました」

「早く直してまた戻っておいでっていう言葉をもらいました。選手村で練習もしたりとか、1試合目はベンチに居れたので、大会の雰囲気っていうのは1試合だけですけど、感じられましたので。良かったなっていう思いはありました」

◾️来年、2026年には、愛知県と名古屋市が中心となって「アジアパラ競技大会」が開催される。座位バレーの会場は日本選手権が行われた岡崎中央総合公園・武道館。中野選手に、抱負を聞いてみた。

「代表としては、まずロスで表彰台に登るっていうところを目指してやっているので。アジアパラでも表彰台に登れるようにっていうところを目指してやっています」

◾️3年後のロスパラリンピック出場に向けて、中野選手が現在トレーニングで力を入れているところは?

「今は基礎力を上げるっていうこともそうなんですけど、自分の強みを活かしたところ……高さ、ブロックだったり打点高く打つっていうところで、そこの精度をもうちょっと上げていかなきゃなと思っているところです」

◾️中野選手にとって、座位バレーボールの魅力とは?

「やっぱり健常者と障がい者が同じ、同じ土俵というか、同じ状況でプレーができるっていうところで、分け隔てなく、子どもから年配の方までできる競技だなっていうところがすごい魅力だと思います。自分のチームはそもそも男女混合のチームで最初スタートしてたので、今も男女混合でやったりとかしてますし」

「最初、本当に体験しに来てくれた方にそのあとの話を聞くと『普段使ったことない筋肉が悲鳴をあげてます』とかよく言われますね。お尻をずっとつけてるのでお尻が痛いみたいな話はよく聞きますね」

「お尻浮かさなければOKという形になるので、本当に遠く行ったボールを、すごい走って追いかけて足であげたりとかっていうのもあったりするので。見てるとやりたくなるような感じかなとは思います」

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