1993年生まれ、兵庫県出身の32歳。株式会社JTB所属。先天性の難聴で、音がきこえにくい状態です。2022年から地図とコンパスを使って、山や野外に設置されたチェックポイントを探し当て、ゴールするまでの時間を競う競技「オリエンテーリング」を始めました。競技歴わずか1年で、全日本オリエンテーリング選手権の年齢別クラスで入賞するなど、数々の大会で活躍。日本の女性オリエンティアの第1号です。今年11月に行われる東京2025デフリンピックでは、メダル獲得を目指しています。なお今回は、手話通訳を介したインタビューになります。
◾️趣味の登山を入口に、オリエンテーリングを始めた辻選手。オリエンテーリングに出会ったきっかけは?
「山登りを始めまして、5年後ぐらいのときに……そのときは山を走っていたんですね。その様子を友だちが見まして、オリエンテーリングに向いてると思う、というふうに連絡をくれたんです。そのときに、オリエンテーリングという言葉を初めて知りました」
「自分で調べてみたんですけれども、なかなかその意味がつかめず。しばらくしたあと、またその同じ友人から連絡が来まして、オリエンテーリングの全国大会があるから参加したらどうか、という内容だったんですね。それをきっかけにオリエンテーリングを始めました」
◾️オリエンテーリングという競技は、どんな競技なのだろうか?
「オリエンテーリングは、スタートのときに初めに初めてその地図を見ます。走りながらコントロールポストを1から順番に回って、競技時間内にゴールをするという、そしてそのタイムを競う競技です」
「コントロールポストを通過したという証明を当てて、順番に回ってゴールに着いたあと、記録を担当しているセンターが全部回ったということをしっかりと確認をします」
◾️何も知らないまま、いきなり大会に出場した辻選手。
「イメージしていたものと全く違ったので。今までは山の地図を見て、綺麗に道が整っているところ、尾根ですとか川ですとか、しっかりとはっきりした地図を見てのわかるところを登っていたんですけども。実際、オリエンテーリング用の地図を見ますと、山の地図とは全く違ったんですね。競技の進め方もちょっとわからなかったです」
「結果は……ほかの同じクラスに申し込んだ人を見つけて、それその人について行って、本当は一緒に行ってはいけないんですけれども、そのルールも全く知らない状態だったので、一緒に回って。自分がどこにいるのか、どうやって進むのかというのが途中で分かってきました」
「ゴールをしたあと、エリートクラスの選手がたくさんですね、帰ってきて。その様子を見たときに、小雨だったんですけれども、ちょっと土もぬかるんでいたので体が泥だらけで、一生懸命最後まで走っているその様子を見まして、オリエンテーリングというスポーツに魅力を感じました」
◾️オリエンテーリングでは、ディスクリプションホルダーという記号が書かれた表を、腕に装着する道具を身につけて競技する。
「競技中の地図は、折りたたんで見ていくので、実際のコントロールポストの地図にですね、載っている記号、これがですね、ディスクリプションホルダーにそれを入れて、番号が書いてあるので、地図を折りたたんで持ちながら、番号をコントロールポストの記号とコンパスとで合わせて確認をしていくというものです」
◾️今年11月に行われる、東京2025デフリンピック。オリエンテーリングの日本代表に、辻選手は選ばれた。
「実際にどの競技に出場するのかは決まっていないんですけれども、日本代表として選ばれたのは男性が6人、女性が4人です。合わせて10名です」
◾️辻選手は現在、山での体験をまとめた動画をYouTubeで配信している。
「山登りを始めて1年、2年目ぐらいのときに、昔の山仲間がですね、一緒に登ったことはないんですけれども、その仲間が行ったところの山で、死亡事故が起きてしまったんですね。聞こえないグループの中で事故が起きてしまいました。これからそういった事故を防ぐためには、山の知識をしっかりと持つ。そして危険を発信する必要があると思いまして、youtubeを始めました」
◾️オリエンテーリング競技の悩みの一つが、なかなか女子選手が増えないことだという。
「女性の選手はやっぱり、藪を書き分けて、傷つきながら競技を進めていくといったところに、苦手意識が持たれてる方が多いです」
「女子の選手が増えればリレーの選手も十分になりますので、実力のある女子選手がもっと集まってほしいというふうに思います」
◾️アスリートとして、辻選手のこれからの目標は?
「デフリンピックに参加した後ですね。出場した後、世界デフオリエンテーリング大会に参加することを目標としています。その次に4年後のデフリンピックも参加したいと、そちらを目標にしています。ほかにも、聞こえる人の大会の中でも、エリートクラスで参加して競技を頑張っていきたいと思っています」
「今までデフリンピックの日本代表の女性が参加したことが今までなかったんですね。新しい歴史を作りたいと思います」
◾️辻選手にとって、オリエンテーリングの魅力とは?
「オリエンテーリングは経験の世界です。私が1番大切にしている言葉があるんですけれども、「有志竟成」という言葉です。強い気持ちを持って挑戦すれば、いつかは成し遂げることができる。自分がどうやって100パーセントに近づけるか、当日の競技で結果を出すために集中して進めていく。そこが楽しいところです」

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