1991年、千葉県浦安市生まれの33歳。2012年、6万人に1人の難病を発症。さらに事故で大ケガを負い、右手が不自由になりました。その後サーフィンと出会って2019年から本格的に始め、健常者の大会で活躍する一方、2023年12月、アメリカ・カリフォルニア州で行われたパラサーフィン世界選手権に日本代表として出場。金メダルを獲得しました。現在は、3年後のロスパラリンピック出場を目指してパラクライミングにも取り組み、さらに障がいがある子どもたちが安心して海で遊べる場を提供するNPO法人「NOMARK-adapt」を設立。社会貢献活動も行っています。
◾️2012年に発症した「成人スティル病」と事故の大ケガで右手が不自由になった池上選手。2018年、池上選手はそれまで住んでいた関西地方から故郷・千葉県のいすみ市に移住。サーフィンを始めた。
「サーフィンがしたくてっていうのが多分一番なんですけど。おじいちゃんががんになっちゃって、あんまり長くないっていうのも一緒に重なって『サーフィンしたいし移住しようか』って言って移住した感じですね」
◾️2019年春から本格的にサーフィンを始め、短期間で才能を伸ばした池上選手。
「指導は、一番最初は、澤井革さんっていう、伊豆の方にいる元プロサーファーのコーチのかたに指導を受けました」
「コーチが良かったんじゃないですかね。もうなんかそれに限るかもしれないです」
◾️2021年、サーフィンを始めてわずか2年で、国内最高峰の大会「全日本サーフィン選手権」に千葉東支部代表として出場した池上選手。それ以降、毎年出場を続けて好成績を残している。
「まあ楽しめればいいかな、ぐらいで多分エントリーも普通にしていたと思います」
「大きい波とかだと、なんかワクワクして『楽しい!』ってなって、試合がうまくいく、っていうことが結構多いですかね」
◾️2023年12月、池上選手はアメリカ・カリフォルニア州のハンティントンビーチで開催された「パラサーフィン世界選手権」に初めて出場した。
「パラサーフィンも腕に障がいがある人と、足に障がいがある人と、あと『足の中でもこの動きができない人』とか、車いすの方とか。結構いろんな……9種類くらいにクラスは分かれていますね」
「初めて海外に行ってサーフィンしたんですけど、ハンティントンビーチの波は私の試合のときは頭半ぐらいあって、カレントって言って、潮の流れもすごく強くて。健常者の方でも結構難しいハードなコンディションでしたね」
◾️初出場にもかかわらず、みごと金メダルを獲得した池上選手。
「ちょっと納得はいってなくて。いい波は乗ったんだけど、いいライディングは自分の中ではできてないんです。なので、反省はたくさんあるんですけど……」
「なんか金メダル取って、周りの人が『元気出た!』っていう人がいたんで、そういう意味では金メダルは取れてよかったのかなとは思ってます」
◾️2028年に開催されるロスパラリンピック。パラリンピックでもサーフィン競技の採用が期待されていましたが、残念ながら見送りとなった。しかし、池上選手は全く異なる競技「パラクライミング」でロスを目指している。
「サーフィンのトレーニングでクライミングを始めたんですけど。サーフィンと似てるところもあるんだけど、違うた楽しさみたいなところもあって」
「クライミングは1人じゃできない競技で、クライミングはその壁を作る人の思いとか、登る人、あと下でロープで支えてくれる人とか。いろんな人の力でその大会が成り立つので、なんかそういうスポーツはすごい楽しいなと思って。今クライミングをすごい力入れて頑張ってますね」
◾️初めて見る壁に、その場で登り方を考えるクライミングは、波乗りと似たところがあるという。
「すごい似てるなって思いますね」
「ただ、その一番大きな違いは、サーフィンはその日のいい波を自分で掴みに行かなきゃいけないんですけど、クライミングは必ず登る出番が用意されているんで。そういった意味では絶対に試合で自分がいいパフォーマンスをできるっていう状態が用意されてるから、しっかりやるっていう。なんかこう、すごいいい違いを持ってスポーツに臨めるから、結構楽しんでますね、そこは」
◾️競技生活のかたわら、障がいのある子どもたちに、安心して海で遊べる場を提供することを目的としたNPO法人「ノーマーク・アダプト」をサーフィン仲間たちと設立した。
「もっと海の楽しさみたいなのを多くの人に知ってほしいなっていうところからまず始まってるんですけど。そういう気持ちでいたところに、女の子で(サーフィンを)始めたいっていう子が、一昨年かな?……に現れてくれて。で、すごい個人的に応援してた女の子がいたんですけど。小学校2年生で、骨肉腫だったかな、で、最近亡くなってしまったんです」
「で、やりたいって思っても時間が間に合わなかったりとか。もっとなんか自由な場所というか、海でそういう風に表現する場所とかをすごい用意したいなと思って、仲間と一緒にこの活動を全国に広めていきたいと思って設立になりました」
◾️「ノーマーク・アダプト」の活動は?
「生きづらさを抱えた子どもを基本的には受け入れたいなとは思ってるんですけど。それと同時に、私、一応お母さんなので、障がいを持っている子どもたちを育ててるお母さんがたって、公園で談笑する時間とか、普通に子育てしていたらできたであろうこととかが、できないことがたくさんあると思うんですね」
「お母さん、お父さん、子育てをしてらっしゃる方々に、海で子供たちが遊ぶ風景を見ながらちょっとコーヒーを飲んでもらったりとか。そこで出会ったコミュニティの中で仲を深めてもらったりとか。そういう場所を作りたいなと思ってます」
◾️最後に、パラサーフィンとパラクライミング、それぞれの競技の魅力を池上選手に聞いてみた。
「見てる方も楽しいし、やってる人の本気もすごい伝わってくるスポーツだなと思ってるので、楽しいから1回、みんな見てほしいなっていう風に思いますかね、サーフィンは」
「で、クライミングは、大会でしか登れない壁があるんですよ。もうルートがその1回きりしか登れなかったりするんで。そのルートを作った人の気持ちとか、あとはその1回きりのチャンスに私がどれだけ挑戦できるのかとか。そういうところがすごい見どころだと思うし、醍醐味かなって思ってます」

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