2000年生まれ、岐阜県出身の23歳。元軟式野球の選手で、実業団に入り国際大会にも出場するなど活躍していましたが、2020年、仕事中の事故で右腕を失い、足にも障がいを負いました。2022年4月に、パラテコンドーと出逢い、神奈川に移って本格的に競技を開始。2022年「全日本テコンドー選手権大会」58キロ級で3位となり、世界選手権ほか数々の国際大会に出場。2028年のロスパラリンピック出場を目指すかたわら、身体障がい者野球の選手としても全国大会でプレー。“二刀流”で活躍しています。
■2020年、仕事中の事故で右腕を失い、足にも障がいを負った市川選手。再びスポーツを始めようと思ったきっかけは?
「理学療法士の田中健太先生という方がいらっしゃるんですけど、最初はすごい僕も落ち込んで、全く元気が出なかったんですけど。その田中先生がいつも僕の部屋に入るときにいつも笑顔で入ってきてくださって。自分も落ち込んでちゃダメだなと思ってる中で、田中先生から『パラスポーツという競技があるんだけど、パラリンピック目指してみない?』というお言葉をいただいて、パラリンピックの選手になりたいなと思って」
■2021年、リハビリ中に行われた東京パラリンピックも市川選手に大きな勇気を与えた。
「僕より大変な障害がある中で戦ってる選手を見て鳥肌が立ったのを今でも覚えてますし、この舞台に立ちたいって思いがすごいと感じたパラリンピックでしたね」
■2022年4月、市川選手はパラアスリートを発掘する「J-STARプロジェクト」に参加した。そのきっかけは?
「姉が、僕が入院してるときからパラスポーツのことも調べてくれていて。そこで姉が『パラアスリートを発掘するプロジェクトのJ-STARプロジェクトが名古屋市であるから受けてみない?』と……」
■いろいろな競技を体験してみた中で、パラテコンドーを選んだ理由は?
「道場の師範である洪(ほん)先生が何回も神奈川から岐阜に来てくださって。自分の練習に付き合ってくれて、マンツーマン指導をしていただいたりとか、熱いお言葉をすごいいただいたので『もうこの先生の元でパラリンピックに出て、この先生にメダルをかけたいな』という思いがあって、パラテコンドーに決めました」
■2022年、市川選手は武者修行で本場・韓国の済州島で行われた大会にも出場。初めて海外の選手たちと戦った。
「結果としては2位だったんですけど、僕もちょっとある程度できるんじゃないかと思って初めての国際大会に出たんですけど。海外の選手といざ対戦してみると、やっぱりパワーであったり、すごいレベルが高くて。一瞬このままで大丈夫かな、自分が思った以上の場所に入ってしまったな、という風に思いました」
■2022年「全日本テコンドー選手権大会」58キロ級で3位に入った市川選手。しかし、まだ反省点もあるようだ。
「準決勝のときに、アワタリ選手っていう方とやったんですけど、やっぱりレベルの高さを感じたっていうか、まだまだだな、と」
■2023年の10月、市川選手は洪さんの紹介で、韓国の大学の寮に2週間泊まり込んで、テコンドーの合宿に参加した。
「まず環境に慣れることが1番だったんですけど、韓国の大学の選手もすごく僕たちに気遣ってくれて」
「練習内容としては、やっぱり大学の練習、選手とのメニューが一緒の練習をさせてもらったので、すごいもう体があざだらけの2週間でした。対人組手もやらせていただいたんですけど、やっぱりもうパワーであったり、蹴り技の種類であったりが、本当に日本人の選手がやらないような足技もしてくるので、すごく圧倒されました」
■市川選手はパラテコンドーと並行して、故郷・岐阜の身体障がい者野球チーム「ぎふ清流野球クラブ」でもプレーしている。再び野球をやろうと思ったきっかけは?
「僕が陸上の大会に出させてもらったときに、試合後なんですけど、義足の、今、ぎふ清流クラブにいる佐藤健さんっていう方がいらっしゃるんですけど、その方から『障がい者野球やってみない?』と紹介をいただいて、次の週に練習を見に行かせていただいて、初めて岐阜に障がい者野球があるんだなっていうのを知りました」
■“二刀流”をやってみて、市川選手が気づいたことは?
「テコンドーの体力は野球にも生きてますし、野球の瞬発能力は、やっぱりテコンドーでもすごい瞬発力は必要なので。蹴り始めだったり、相手の技を受けるときの瞬発能力と反射神経とか、野球で磨かれたものが生きてるかなと思います」
■2028年、ロスパラリンピックに出場を目指す市川選手。達成するための課題は?
「ロスの自動出場権を取るにはトップ5以内に入らないといけないんですけど。あと世界ランク15個上げていきたいなと思っています」
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