ニッポンチャレンジドアスリート

2024.08.19

齊藤元希(パラ卓球・車いす)

2001年生まれ、神奈川県出身の23歳。先天性脳性まひのため車いす生活になりますが、中学1年生のときに卓球部に入部。2015年、パラ卓球に出逢います。ユースの国際大会で活躍。2021年、大学2年生のときに、バーレーンで行われたアジアユースパラ競技大会の個人戦・団体戦でともに優勝しました。また、シニアの大会でも好成績を収め、去年の中国・杭州アジアパラ競技大会では個人戦ベスト8、男子ダブルスで3位に入賞。今年は、出場が決定したパリパラリンピックで、さらなる飛躍を目指します。

■中学生のときに卓球を始めた齊藤選手。きっかけは?

「元々健常者の子と何か一緒にスポーツをしてみたいなという気持ちがあって、そんなときに中学校に入って卓球というものがあったので体験入部したらすごく楽しかったっていう感じです」

■健常者に交じって卓球部で活動していた齊藤選手がパラ卓球に出会ったのは、中学2年生のときだった。

「横浜の障害者スポーツセンターのラポールというところで、たまたま父親と遊びで卓球をしていたときに、当時の日本代表であった方が隣で練習されていたみたいで。その選手のうちの1人の父親のかたが話しかけてきてくださって、そこで初めてパラ卓球というものを知ったという形になります」

■齊藤選手は2015年、初めて出場した国際クラス別パラ卓球で、初出場ながら4位に入賞。2016年度から海外のユースの大会にも出場するようになった。

「最初に大会出たのが2016年のイタリアのジュニアの大会だったんですけど。そこでは全然勝てなかったんですけど、だんだんと面白くなっていった時期かなという風に思います」

■その頃、パラリンピックはすでに意識していたのだろうか?

「コロナが出てきて大会延期になる中で、まだ国際ツアーが続いていたんですけど。世界ランキング、当時10位台だったんですかね。選手に勝つことができて、その大会で2連勝したんですね。で、そこで東京パラにつながる大会の出場権を得ることができたんですよ。なので、東京パラ前の1年ぐらいからは東京パラに出られたらいいな、っていう気持ちで目指すことにはなったんですけど。最初はあまり意識はしていなかったです」

■海外でも活躍するようになった齊藤選手は、2017年12月、ドバイで行われたアジアユースパラ競技大会に出場。個人戦で銅メダル、団体戦で金メダルを獲得した。

「初めての総合大会で、初めて表彰台に上がれたっていうことで、すごく嬉しかったですし、この先のパラ卓球を続けていく上での競技生活に対して、すごく希望というか楽しみがこのときに、本当に生まれたなという感じです」

「試合としても、この当時の個人戦で、今まで勝ったことのなかった日本の土井健太郎選手というかたに勝つことができて、すごく自信になりましたし、団体戦ではそのかたとチームを組んで、金メダルを取ることができたので。すごく良い経験になった大会だったなという風に思います」

■それから4年後の2021年、大学2年生のときに、バーレーンで行われたアジアユースパラ競技大会の個人戦・団体戦で優勝。2冠を達成する。

「東京パラに出ることができなかった後なので、強い気持ちも入っていて、次のパリパラリンピックに向けてのスタートっていうような大会だったので、すごい強い気持ちで臨みました」

「ドバイのときとは異なっていて、僕がかなり上の年齢になって、下の子がいる中での大会だったので、じゃあまずは自分がいい結果を出して、という強い気持ちで臨めたのかなという風に思います」

■去年は、杭州アジアパラ競技大会で個人戦ベスト8、男子ダブルスで3位に入賞。さらに世界ランキングが上がった。

「個人戦も男子ダブルスも、私としてはベスト8の入賞を目指して試合をしていました。で、その中で、特に男子ダブルスに関しては、3位入賞を果たすことができたので、すごく嬉しかったですし、 個人戦も準々決勝で負けてしまったんですけど、その選手は最初の2018年のシニアの大会に出た時に一番最初に当たった韓国のキム・ジュンギル選手だったので、その選手に対して1セット取ることができたっていうところで、自分のレベルが世界のトップにだんだんと近づいてきたんだなという強い自信を得ることができた大会でした」

■今年5月、タイのパタヤで行われたパリパラリンピック最終予選に出場した齊藤選手。決勝の相手は、予選リーグで敗れたポーランドのズィルカ選手。試合は3対1で、齊藤選手がリベンジを果たして優勝、パリへの切符をつかんだ。

「この試合に関してはメンタルというか、練習の過程だとか、試合に対しての気持ちの入れ方の重要性というか、難しさっていうものを強く感じましたね」

■齊藤選手は個人戦のほか、七野一輝選手とのペアで、男子ダブルスに出場することも決定。パリへの抱負は?

「東京に出れなかった際の悔しい思いだとか、そういった気持ちを全力でぶつけてパリに挑んで自分らしいプレーをして、最高の成績で終えるような、そんな大会にできればいいなという風に思ってます」

■パリパラリンピックでメダルを獲るためのカギは?

「もちろん今まで勝ったことのない選手もいるんですけど、目標としては、 どちらの種目でも個人戦、男子ダブルスどちらでもメダルの獲得というものを掲げています」

「今すごく自分自身で思ってるのは、パラリンピックっていう場を楽しめるかどうかなのかなという風に思っていて。緊張はすると思うんですけど、そこから萎縮してしまって自分のプレーができなかったりだとかってことがあると、メダルはおろか1勝もできずに終わってしまうっていうこともあると思うので。まずは本当にその場にいる自分自身を褒めてあげるというか、楽しんであげて。その上で自分らしさっていうものを存分に発揮できるような場にできるといいなという風に思っています」

■齊藤選手に、これからどんなアスリートになりたいか、聞いてみた。

「これからパラ卓球の選手としてやっていく中で、1番最高峰の戦いの舞台であるパラリンピックでのメダリストになれたらすごく光栄ですし、他の障がいを持つかたとか、何かスポーツを始めたいっていうかたがいらっしゃったら、パラ卓球ってどうですか、って言えるような、そういう選手にもなりたいですし、実際そういった活動の方も、だんだんと力を入れていけるといいなという風に思っています」

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