「なるほど!ニッポン調査隊」
3月10日は、「佐藤さんの日」なんて言われていたり、いなかったり・・・
私の亭号は「立川」、こずえさんの名字は「中村」・・・
落語という古典芸能をやっていますから、「中村」と聞くと、歌舞伎の「中村屋」の屋号を思い浮かべてしまいますが・・・明治安田生命が昨年8月に発表した名字ランキングでは、「中村」さんは7位で、およそ107万人でした。宮崎県の人口と同じぐらいです。
そして、最も多い名字は「佐藤」さん、およそ194万人
2位は「鈴木」さん、およそ182万人
3位は「高橋」さん、およそ143万人
ちなみに、50位は「松田」さん、100位は「久保」さん・・・でした。
この、名字の成り立ち、そもそも大和朝廷の時代には、蘇我氏や物部氏などの「氏」だけだったのが、それが7世紀に中央集権国家が誕生すると、新たに天皇家の分家が「姓」を名乗り、やがて「氏」は「姓」に統合。
「姓」の数が少なかったので、平安時代後期頃から「姓」とは別に「名字」も登場。
最初のうち、名字は貴族や武士達が使っていましたが、室町時代以降、庶民の間にも広がっていきました。
明治の戸籍制度で、多くの家はこの「名字」を戸籍として登録することになりました。
さて、名字ランキングでは2位だった「鈴木」さんに関するあるニュースをご存じでしょうか。
この「鈴木」姓発祥の地が消滅の危機だというんです。和歌山県海南市にある藤白神社の敷地内には、平安時代に熊野からこの地に移り住み、およそ122代続いたと言われる鈴木氏の屋敷があります。
この歴史ある「鈴木屋敷」、1942年に122代目の当主が亡くなって以降、空き家状態となり、一時は崩壊寸前に・・・絶やしてはならないと、地元では復元にむけて動き出しています。
海南市が「企業版ふるさと納税」制度を活用して、「鈴木さん」という社長がいる会社に寄付を呼びかけているほか、新年度からはクラウドファンディングで個人の鈴木さんにもPRしていくそうです。集まった資金で屋敷の建て替えを進め、観光拠点とする考えだそうです。
そこで、今回調査するのは、「全国の名字」!
ちなみに、「中村さん」という名字は、たくさんのルーツがあるそうで、特に、九州に多い名字だそうです。
もともと方位が由来となっている地名で、ムラを3つにわけて「上村」「中村」「下村」と表した・・・
または、分かれた村に対して、本村のことを「中村」と呼んだ・・・という説も。
日本で一番多い「佐藤」さんは、ルーツがはっきりしていて、藤原氏の一族が、藤原氏の「藤」と、「佐」という漢字をつなげて名乗ったのが始まり。平安時代後期に藤原公清が、役職である「左衛門尉」の「左」に、にんべんを付けた「佐」を使って、「佐藤」と名乗ったのが、佐藤一族の本家と言われています。
そして、2位の「鈴木」さん、そもそも「鈴木」というのは、和歌山県南部・三重県南部の方言で「積んだ稲の穂」を意味する「スズキ」からついた名字。鈴木家の祖先が、神武天皇東征の時、天皇に稲を献上したので「積んだ稲の穂」という意味の「穂積」という姓を頂いたのですが、和歌山ではこれを「スズキ」と言ったことからついた名字だと言われます。
3位の「高橋」さんは、大きくわけて2つのルーツがあります。
ひとつは、大和の古代豪族「高橋氏」の姓。かつての大和国添上郡高橋、現在の奈良県天理市の地名がルーツ。
もうひとつは、全国各地にある地形に由来するもの、水面から高い場所、渓谷などに架けられた橋の近くに住んでいたとかで、「高橋」に。
4位の「田中」さんは、水田の中に家をかまえた人が名乗ったのが由来と言われています。全国各地に「田中」さんは分布しているんですが、西日本の名字ランキングでは、「田中」さんが1位なんです。それは、江戸時代以前の日本は西日本が米の産地だったからだそうです。
5位の「渡辺」さんのルーツはひとつ、大阪市の淀川河口にあった港・渡辺津。この「津」は港です、この港を本拠地としたのが、「渡辺党」と呼ばれる中世武士集団。この一族は船を操る技術で各地に広がり、全国に「渡辺」さんが広がったそうです。浜辺を渡る、川辺を渡るで「渡辺」ということなんですね。
ところで、この「渡辺」の「なべ」という漢字は、一見似ているようでちょっと違ういろんな種類がありますよね。この漢字の種類が増えたのには理由があります。
昭和40年頃まで戸籍は手書きで登録していたんです。そのため、複雑な形の漢字である「ナベの字」は申請者と戸籍担当者との間で記入ミス、確認ミスが起きやすく、微妙な間違いがそのまま登録されたからと言われています。
ちなみに、「渡辺さん」にまつわるおもしろい言い伝えがあります。それが、「渡辺さんは、節分に豆まきをしない」・・・
なぜか・・・平安時代のこと、京の都で鬼の酒呑童子が多くの鬼をつれて暴れまわっていたところ、渡辺氏の元祖である「渡辺綱」が見事討伐!これで、鬼は代々「渡辺さん」を恐れるようになったので、豆まきの必要がなくなったんだとか。
「渡辺さん」は、豆まきしない代わりに「鍋パーティー」なんていかがでしょうか。
最後に、僕の亭号「立川」にもルーツがあります。
江戸時代後期、現在の墨田区、当時の相生町、堅川に「中村さん」という浄瑠璃作家が住んでいました。
その中村さんと親交があった五代目市川團十郎をもじって「立川談洲楼」を名乗ったとか・・・
それが現在まで続いています。
立川晴の輔でした。
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