私たちが日頃、使っている言葉の中には、意味ですとか使い方を間違いやすいものがいくつもあります。
そこで『間違えやすい言葉』についてです。
■今週(12/11~12/15)のテーマ:『間違えやすい言葉』
12/11(月) 『「おざなり」と「なおざり」』
今回、私が気になったのは、『おざなり』と『なおざり』です。
辞書で調べますと、『おざなり』には“いいかげんに物事をすること”。
『なおざり』には“いいかげんな様子”とありますので、
どちらも“いいかげんな対応”という意味では、同じものに思えますよネ。
それでも、それぞれの言葉の語源から違いがあるそうなんです。
例えば『おざなり』は『御座敷の形・御座敷の形(なり)』という言葉が語源で、
“お座敷・宴会の席で、形ばかりを取りつくろったこと”から“いいかげんに物事をすること”という意味で
使われるようになった・・・とする説があるそうです。
それに対して『なおざり』は、“そのままで何もしない”という意味の『なほ』と、
“遠ざける”という意味の『さり』が合わさってできた言葉とする説があるそうです。
そこから“何もしないで放っておく”という意味で、『なおざり』が使われるようになった・・とする説があるそうです。
そういった経緯から、同じ“いいかげん”を表す言葉でも、
『おざなり』は“内容はともかく、行動は起こして、とりあえず最後までやった”。
『なおざり』は“行動さえもしなかった。または行動を起こしても最後までやらなかった”と解釈できるそうです。
これを『お仕事』にあてはめますと、『おざなりなお仕事』の意味は、“仕事はしたものの、内容はいいかげん”。
『仕事をなおざりにした』の意味は、“仕事そのものをしていない、または途中で投げ出した”になるそうです。
【感想】
すごく似ていて、どう使ったら良いか迷いがありましたけど、時間の経過が微妙に違う言葉なんですネ。
どちらにしても適当な感じがして、『おざなり』や『なおざり』を使わないような生活態度でいきたいものです。
12/12(火) 『「役不足」と「力不足」』
『役不足』という言葉は、例えば“何か大きな仕事”を任されたものの、“私には役不足です。
せっかくですが、辞退させてください”といったように、“自信がない”ですとか“荷が重い”という意味で使われたりします。
他にも、お仕事で“昇進”や“抜擢”の際、“自分にはもったいない”と、“謙遜”の意味でも使われることがあります。
実はこれって、間違った使い方だそうです。
といいますのは、『役不足』を辞書で調べますと、
“振りあてられた役に対して、不満を抱くこと。与えられた役目に満足しないこと“。
または“その人の力量に対して、役目が軽いこと。軽い役目のため、実力を十分に発揮できないこと”とあります。
そのため“自信がない、荷が重い”という意味で使うのであれば、『役不足』ではなく、『力不足』という言葉を使うのが正しいそうです。
『力不足』には“与えられた役目を果たすだけの力量がないこと”という意味があります。
ところが、実際には“自信や能力がない”という意味で『役不足』が使われることが多く、
文化庁の調査でも間違った認識をされている方が増えているそうです。
それでもお互いに同じ意味で、『役不足』という言葉を使っているのなら何も問題はありませんが、
違っている場合、思わぬ行き違いが生じることもあるそうです。
【感想】
これも確かに“この役に自分に不足だ。難しいです”と謙遜して使ったりしているのを聞いたことがありますし、
間違いやすい言葉ですネ。
でも、なかなか自分から“この仕事は私には役不足よ。
もっとイイ役にして“とは言えないものですけどネ。
日本語ってちょっと難しいですネ。
12/13(水) 『「失笑」と「苦笑」』
『失笑』ですが、その漢字のイメージからか、
ギャグがスベった時のように“笑いも出ないくらい呆れること”という意味だと思っていらっしゃる方が多いそうです。
ところが『失笑』の本来の意味は、“こらえきれず、思わず吹き出して笑うこと”なのだそうです。
“笑いも出ないくらい呆れること”とは逆の意味ですが、
実際、文化庁の調査でも約8割の方が、そのように認識されているそうなんですネ。
“シラケた時の笑い、あざ笑い”という意味では、『冷笑』などがあるそうです。
“笑い”といえば、『苦笑する』という言葉があります。
“苦い笑い”と書くように、“苦笑い”、“苦々しく思いながら、仕方なく笑うこと”という意味があります。
“ミスを指摘されて、思わず苦笑した”といったように使われます。
“笑い”に関係した言葉に『爆笑』があります。
“大笑いすること”というイメージがあるかと思いますが、本来の意味は“大勢の人が一斉に笑うこと”です。
“大勢の人が一斉に・・・”というのがポイントですので、
“お笑いを見て1人で爆笑しました”といったように、“1人で大笑いする”という意味で使うのは、本来は違うそうです。
【感想】
へぇ~、1人で爆笑ってありえないんですネ。
失笑も“思わず笑ってしまうこと”かぁ・・・。
私もこれ、全然間違って使ってましたネ。
“失笑されました”とか自虐的に使ってましたネ。
でもこれ、間違って使っている人のほうが多いと、いつの間にかそちらが正しくなってくること、あるじゃないですか。
ここは一度みんな仕切り直して、正しく日本語使っていきましょう。
12/14(木) 『「信用」と「信頼」』
『信用』も『信頼』も“相手を信じる気持ち”という意味では、同じような言葉ですが、実際は細かなニュアンスの違いがあるそうです。
『信用』には“確かなものと信じて受け入れること”、“信じて疑わないこと”という意味があります。
“お店の信用に関わる”ですとか、“あの人は信用できる”といったように使われます。
それに対して『信頼』には、“信じて頼りにすること”“頼りになると信じること”という意味があります。
“信頼できる先生”ですとか、“消費者の信頼を裏切る”といったように使われます。
このことから『信用』とは、“これまでの行いや実績、成果に対する評価から生まれるもの”。
それに対して『信頼』とは、“その人自身の人柄や考え方、言動などの評価から生まれるもの“なのだそうです。
また『信頼』の場合、“受ける印象”によっても大きく変わってくるそうです。
“お互いのやりとりの中で築いていくもの”でもあるため、
『信頼関係』という言葉があっても、『信用関係』という言葉はないそうです。
また一般的には、ある程度の時を経て、『信用』を感じたうえで、
“この人なら大丈夫!”といったように、『信頼』へと結びついていくそうです。
【感想】
『信用金庫』という金融機関はあっても、『信頼金庫』っていうのはないですもんネ。
信用する、信用されるまで時間はかかるけども、本当に正しく重ねていかないと、
なかなか信頼まではいかないってことですネ。
何事も積み重ね。
1日1日を大切に生きていることが信頼につながりますネ。
12/15(金) 『「マナー」と「エチケット」』
『マナー』も『エチケット』も、辞書で調べますと、どちらも“礼儀作法”とあります。
同じ“礼儀作法”でも、『マナー』は“社会や集団”に対して、
『エチケット』は“個人や特定の人”に対して・・・といったように対象となる相手が違うのだそうです。
例えば『交通マナー』の場合、これを守ることによって、ドライバーと歩行者の両方が気持ち良く過ごすことができます。
また『テーブルマナー』のように、同じ時間と空間を共有しながら、食事を楽しく、和やかにいただくためのものもあります。
それに対して『エチケット』の場合、他の人に迷惑や不快感を与えないようにする“心づかい”の意味合いが強いそうです。
人間が本来持っている、思いやりややさしさからくる“気配り”が『エチケット』なのだそうです。
具体例として“人前で咳をする時は、ハンカチなどでクチを押さえる”、“マスクをする”といったことです。
また“インターネット上の犯罪”や“トラブル防止”のために、お互いが守るべき言葉に『ネチケット』があります。
これは『ネットワーク』と『エチケット』を組み合わせた造語です。
このように、『マナー』が“みんなが気持良く過ごすためのもの”であるのに対して、
『エチケット』は“特定の個人に対する思いやり”といえるそうです。
【感想】
マナーもエチケットも、相手のためのもの。
社会全般を気持ち良く過ごせるようにする、思いやりですよネ。
知らず知らず間違って使っている言葉が、他にもたくさんありそうですが、
なるべく正しく使って、言葉本来の意味を伝えていきたいですよネ。
【今週の感想】
日本語って本当に難しいですよネ。
本来の意味とは違う使い方をされているうちに、
その間違った意味が一般的に正しくなっていることって、結構ありますよネ。
たとえ間違った意味で使っていても、お互いがそれで納得しているのならイイですが、どちらかが違っていると“?”ってなりますよネ。
特に文面などでその言葉を使いたい場合、改めて意味を調べ直して、
誤解を招く可能性があれば、違う言葉を使うほうがイイかもしれませんネ。
【お知らせ① 次週(12/18~)からのテーマ】
とても高い建物のひとつ、『タワー』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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