いろいろな食材を煮て作るお料理、『煮物』についてです。
■今週(10/2~10/6)のテーマ:『煮物』
10/2(月) 『煮物とは』
そもそも『煮物』とは、出し汁をベースに具材をお塩やお酒、
お醤油、お砂糖、みりんなどで味付けをした料理のことで、代表的な日本料理のひとつです。
実はひとクチに『煮物』といっても、煮る方法や味付けの仕方によって、さらに細かく分類することができます。
例えば『煮込み』です。
たっぷりの煮汁で、食材を長時間弱火でじっくり煮込む料理のことです。
時間をかけてゆっくり煮込むため、食材は大きく切られていることが多いのが特徴です。
そうすることで、お肉は柔らかく、お野菜は甘みたっぷりになります。
代表的な『煮込み』料理に、『肉じゃが』や『豚の角煮』、『もつ煮』などがあります。
洋食では、フランスの家庭料理で、お肉とお野菜をじっくりと煮込んだ『ポトフ』などが、煮込み料理に分類されます。
続いて『煮付け』です。
少ない煮汁で、濃いめの味付けで煮る調理法です。
煮崩れしないように、強火で短時間で煮ます。
主に、カレイやキンメといったお魚を煮る際に、『煮付け』という言葉が使われています。
また、煮汁が少し残るぐらいまで煮上げることから、『煮あげ』とも呼ぶそうです。
【感想】
だんだんと煮物が美味しい季節になってきましたよネ。
いつ食べてもほっこりするのが煮物。
私も煮物は結構作るんですけども、いまだに母の煮物より上手く作れたことないなぁ・・・と思ってます。
煮物って簡単だけど、奥が深くて難しいお料理だなぁって、私は思います。
“経験値がモノをいう”っていうのもありますよネ。
煮物料理、これからますます恋しい季節になってきますよネ。
10/3(火) 『煮物の豆知識①』
ひとクチに『煮物』といっても、煮る方法や味付けの仕方によって、さらに細かく分類することができます。
昨日はその中から、『煮込み』と『煮付け』をご紹介しましたが、続いては、『含め煮』です。
たっぷりの薄味の煮汁を使って、弱火で煮る調理法です。
そうすることで、煮汁の味やうま味を食材に含ませて、味がよく染み込みます。
『含ませ煮』や『煮含め』とも呼ばれています。
お野菜や芋類、がんもどきの他、高野豆腐や干し椎茸、切り干し大根といった乾物などを煮る際によく使われます。
続いて、『煮しめ』です。
濃い煮汁で時間をかけて、じっくり煮込んだものです。
汁気がなくなるまで煮つめるため、日持ちが良くなっているのが特徴です。
そのため、お正月のお節料理の1品として食べられています。
具材は根菜類や芋類、コンニャク、昆布などが一般的です。
そして、『煮びたし』です。
食材を薄い味付けの煮汁で煮て、煮汁の中で冷やすことで、味を染み込ませます。
食材にかぶるくらいの煮汁を入れて、中火で煮ます。
あっさりとした味わいが特徴で、代表的な料理に『なすの煮浸し』や『ホウレンソウの煮浸し』、
『水菜とお揚げの煮びたし』などがあります。
【感想】
確かに、ひとくちに“煮物”といっても、いろんなタイプがあるんですネ。お煮しめ、大好き!
味の濃い里芋とか、シイタケとかニンジン、タケノコとか最高ですよネ。
ナスの煮びたしも大好きで、この夏よく食べましたネ。
調味料はほとんど変わらないのに、このレパートリーの広さ。本当に凄いですよネ。
10/4(水) 『煮物の豆知識②』
煮物のひとつで、別々のお鍋で煮た2種類以上の具材を同じ器に盛りつけた料理に、『炊き合せ』があります。
“炊いて合わせる”ことから、『炊き合せ』です。
これは関西を中心に、よく使われる言葉で、『炊く』も『煮る』も同じ意味で使われることが多いそうなんですネ。
それでも厳密には『炊く』とは、食材にひたひたの出汁や煮汁を加えて加熱し、出汁や煮汁を食材に含ませる調理法です。
“ひたひた”とは、主にジャガイモですとかカボチャなどをほっくりと仕上げたい時の水加減です。
具体的には、食材の表面が水に浸かるか、わずかに水面から出ているくらいです。
それに対して『煮る』は、食材にたっぷりの出汁や煮汁を加えて加熱する調理法です。
この場合の『たっぷり』とは、お水の量がお鍋の3/4くらいの高さが目安で、
具材全体が完全に浸かるくらいの状態です。
関東では『炊き合わせ』ではなく、『煮合わせ』と呼ぶことが多いそうで、
その場合、味を少しだけ濃いめにすることもあるそうです。
そして『炊く』といえば、京都を始めとする関西では、『炊いたん』という言葉があります。
『かぼちゃの炊いたん』や『大根の炊いたん』といったように使われます。
【感想】
そうなんですよネ。京都では『炊いたん』って、メニューに書いてありますよネ。
“炊いたもの”という意味ですよネ。
炊き合わせ、一緒に食べるんだから、同じお鍋で煮てもイイのに、別々に作られていく。
手のこんだ日本的なお料理ですよネ。
煮物の知恵って、本当に素晴らしいなと思います。
煮物食べたくなりましたネ。
10/5(木) 『郷土料理の煮物①』
全国には“郷土料理”と呼ばれる煮物が数多くあります。
そのひとつが『筑前煮』です。
福岡県の北部・西部の筑前地方の郷土料理で、鶏肉やニンジン、レンコン、ゴボウ、コンニャクなどの具材を油で炒め、
お砂糖とお醤油で味付けし、甘辛く煮ます。
一般的な煮物と違い、“煮る前に油で炒める”という点が、ポイントとなっています。
これは油で炒めることによって、コクが出てくるのと、具材が油でコーティングされるため、
“煮た時にアクが出にくくなる”というメリットがあるそうです。
九州以外では、『筑前煮』のことを『がめ煮』と呼ばれることが多いそうですが、
実はまったく同じものではないそうなんです。
その違いは、具材の鶏肉です。
同じ鶏肉でも『筑前煮』の場合、“骨なし”を使うのが一般的なのに対して、
『がめ煮』は“骨付き”が一般的だそうです。
そして“骨付きの鶏肉”を使う『がめ煮』は、お祝いの席などで出される、ご馳走だったといわれています。
この『がめ煮』という名前ですが、博多弁で“寄せ集める”という意味の『がめくり込む』が由来とする説があります。
他にも、もともとは鶏肉ではなく、スッポンをお野菜と煮たことから始まった料理なので、
『亀煮(がめに)』と呼ばれるようになった・・・という説もあるそうです。
【感想】
筑前煮も美味しいですよねぇ。
がめ煮と同じものかと思ってましたが、ちょっと違うんですネ。
でも、ある地方の郷土料理が全国的に広がって、
いつの間にか私のウチのお料理になっていく・・・っていうことって、ステキなことですよネ。
10/6(金) 『郷土料理の煮物②』
石川県金沢市を代表する煮物に、『治部煮(じぶに)』があります。
そぎ切りした鴨肉、または鶏肉に小麦粉をまぶして、
だし汁にお醤油、みりん、お砂糖、お酒を加えたものでサッと煮たものです。
そこに加賀特産の“生地をすだれにはさんで作った板状のお麩”、
『すだれ麩』やシイタケなどを合わせて煮て、汁にとろみをつけます。
こうして煮た具材をお椀に盛り付けたあと、茹でた青菜をのせ、煮汁をかけ、薬味のわさびを添えたお料理です。
この『治部煮』という名前ですが、地元・加賀藩の武士、岡部治部右衛門(おかべ・じぶえもん)が考えたとする説や、
お鍋で“じぶじぶ”と煮ることに由来しているなど、様々な説があるそうです。
続いて、『土佐煮』です。
高知県の郷土料理で、お醤油にみりん、お酒を合わせ、かつお節を加えて、サッと煮てこした土佐醤油を使って作ります。
高知県はかつお節の本場でもありますので、最後にかつお節を加えて仕上げます。
タケノコやふきなどのように、淡泊な素材とよく合う調理方法です。
【感想】
治部煮、私、本当に大好きです。
あのトロミのついた、何とも言えないあったかいお料理で、鴨肉の美味しいこと!
土佐煮もサッパリとして、なんかこう土地柄というか、
高知県のサッパリとした気性にも合うような感じがしますよネ。
治部煮も土佐煮も1年中、いつでも食べたい煮物ですネ。
【今週の感想】
煮物って、子どもの頃から食べている、身近なお料理ですが、実はとっても奥が深いんですネ。
どれも食材を少しでも美味しく・・・という思いから考え出されたものだと思いますが、
その調理法を考えてくださった方々に、本当に感謝です。
お弁当などに入っていると、彩りもキレイですし、何かホッとしませんか?
今週の放送を聴かれて、“煮物が食べたくなりました”という方もいらっしゃるみたいで、私もそのひとりです(笑)
【お知らせ① 次週(10/9~)からのテーマ】
“目から流れ出るもの”、『涙』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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