私も愛用しています。『万年筆』についてです。
■今週(4/10~4/14)のテーマ:『万年筆』
4/10(月) 『万年筆の基礎知識』
万年筆はインクがペンの先の部分、『ペン先』に送られることで、
なめらかに書くことができる筆記用具です。
その構造から、紙の上を滑らせるだけで、文字が書き込まれるため
筆圧をかける必要がほとんどありません。
そのため、ボールペンやシャープペンシルといった
他の筆記用具と比べて“疲れにくい”という特徴があります。
また、ペン先の弾力によってインクの濃さが表現できて、
味わいのある文字が書けるのも万年筆ならではの特徴です。
万年筆は英語で『fountain pen(ファウンテンペン)』といいますが、
直訳すると『泉のペン』です。
一説には、先端からインクが泉のように湧き出るというところから
この名前が付いたのでは・・・と考えられています。
そんなfountain penを『万年筆』と呼ぶようになった由来には諸説あり、
残念ながら特定できないそうなんですネ。
一説には“キチンとお手入れをすれば、万年でも使える”ということで
『万年筆』と名付けたのでは・・・と考えられています。
明治時代の新聞に、『万年筆』という言葉が登場していますが、
その際、『まんねんひつ』ではなくて、『まんねんふで』と
ルビがふってあったそうなんです。
それが大正時代になると、今度は『まんねんひつ』になっていて、
少なくともこの頃から、読み方は『まんねんひつ』で統一されたと
考えられるそうです。
【感想】
万年筆の良さにこの頃、ハマった私ですが、
万年筆ってそもそも“書きにくい”イメージがあったんですネ。
でも使ってみたら、なめらかで書きやすくて、
本当に味わいのある文字になるんです。
そこで万年筆の魅力にハマりました。
“一生ものだから、『万年筆』と呼ぶようになったのではないか”という説に、
私は1票です。
4/11(火) 『万年筆の歴史』
中世の頃、鳥の羽を乾かして硬くし、先端を削ったものに
インクを付けて文字を書く、『羽ペン』が登場します。
ところが『羽ペン』の場合、先端がすぐに擦り減ってしまうのが
欠点でした。
そこで18世紀後半、イギリスのサミュエル・ハリソンさんが、
羽の代わりに金属でできた『鋼鉄ペン』を開発しました。
この『鋼鉄ペン』も『羽ペン』と同じように、
インクを付けながら書いていたんですが、ひと文字書くたびに
インクを付ける・・・というのは、とても面倒だったそうなんです。
そこで1809年、イギリスのフレデリック・フォルシュさんが、
“インクをためることができるペン”を発明しました。
さらに同じ年、イギリスのジョセフ・ブラマーさんも
同じような構造のペンを開発し、
『ファウンテンペン(泉のペン)』と名付けて、特許を取りました。
現在のような“万年筆の基礎”となるペンが誕生したのは1884年。
アメリカのルイス・ウォーターマンさんによるものです。
ウォーターマンさんは、保険の外交員をされていた時、
ペンのインク漏れが原因で、大口の契約をライバル会社に
取られてしまった・・・という苦い思い出がありました。
その悔しさから万年筆の開発に挑戦し、過剰にインクが提供されない
システムを完成させました。
現在も『ウォーターマン』は、万年筆のトップブランドとして
世界中に知られています。
【感想】
インクの漏れが原因で、契約が取れなかったなんて、
悔しかったでしょうねぇ。
そこから万年筆のインクの開発をして成功を収めるとは、
やはり“失敗は成功の母”という素敵なエピソードでしたネ。
4/12(水) 『日本の万年筆の歴史①』
日本の万年筆の歴史は、1895年(明治28年)、
丸善さんが欧米から輸入し、販売したところから始まります。
その後、日本の企業が次々と“国産万年筆の開発”に乗り出します。
まず1911年(明治44年)、阪田久五郎(さかた・きゅうごろう)さんが
広島県呉市で、国産万年筆の製造を始めました。
阪田さんが万年筆の開発に乗り出したキッカケですが、
イギリスに留学していた友人の方から、お土産としていただいた
万年筆に、衝撃を覚えたからだそうです。
その時の心境を阪田さんは『万年筆というものを、
生まれて初めて見た時の心のときめきは、言葉で言い表せないほどだった』と
語られていたそうです。
そして、この出会いが原点となり、阪田さんは万年筆に生涯を
捧げることになりました。
そんな阪田さんが創業された会社が、
現在の『セーラー万年筆株式会社』さんです。
この『セーラー(SAILOR)』の名前ですが、
創業者の阪田久五郎さんの
“いつかは海外へ展開していきたい”という想いと、
“ひとりの提督(司令官)よりも、多くの水兵(セーラー)が
大切だ“という思想が由来となっているそうです。
【感想】
私、先日、セーラー万年筆さんを訪れて
工場を拝見したのですが、万年筆って
すべて手作業で作られているんですよ。
ペン先の小さな丸いポッチを付けるのも、
このペン先の細かい切り込み、分かりますか?
これを入れるのも工員さんによるもので、
緻密で丁寧なものづくりに、感動して帰ってきました。
阪田久五郎さんの思いはしっかりと受け継がれていて、
さらに素晴らしい万年筆が生産されています。
4/13(木) 『日本の万年筆の歴史②』
1916年(大正5年)、純国産の万年筆用の『14金のペン先』が
誕生しました。
『ペン先』とは“万年筆の頭脳”ともいえる、最も重要な部分で、
万年筆の書き心地に大きく作用します。
これを開発したのは、並木良輔(なみき・りょうすけ)さん。
そこには東京商船学校、現在の東京海洋大学の同窓生で、
同じ船乗りだった和田正雄(わだ・まさお)さんとの友情がありました。
14金のペン先づくりは、困難を極めましたが、
それでも何とか完成目前となりました。
ところが、資金が底をついてしまったんです。
そこで当時、実業家をされていて、これまでも何度も
ピンチを救ってくれた和田さんに、助けを求めました。
それを受けて和田さんは5000円を並木さんに送りましたが、
当時はお米一升が約13銭の時代。
5000円はとてつもない大金で、和田さんにとっても
これが自分にできる最後の援助でもあったそうです。
そんな和田さんの友情に、並木さんは男泣きしたそうです。
そしてついに、『14金のペン先』が完成し、
並木さんは和田さんとともに、喜びを分ちあいました。
その2年後、1918年にお二人で万年筆の会社を設立しましたが、
これが現在の『株式会社パイロットコーポレーション』です。
【感想】
何ともイイ話!
男の友情、そしてサクセスストーリーに、
朝から心が弾みますネ。
パイロット万年筆も本当に有名。
私も2本持っていますネ。
あのペン先を作るのって、とっても大変なんですネ。
この方々の友情とご苦労があったからの万年筆、
大切に使いたいと思います。
4/14(金) 『日本の万年筆の歴史③』
1919年(大正8年)、岡山県で輸入万年筆の販売業をされていた
中田俊一(なかた・しゅんいち)さんが上京し、
万年筆の会社を設立しました。
そして1924年には、“金属の王様”とも呼ばれる『プラチナ』を
会社の名前に採用しました。
これが現在の『プラチナ万年筆株式会社』です。
その後、1956年(昭和31年)には業界初となる、
インクのボタ落ちを防ぐ『カートリッジインク式万年筆』の実用化に成功。
翌1957年に『プラチナ オネスト60』の名前で発売しました。
『オネスト(HONEST)』は“誠実”という意味で、
『60』には“1960年に万年筆の市場を制する”という意欲が
込められているそうです。
さらに『プラチナ万年筆』さんは、
『万年筆のペン先は14金が最適』とされていた常識を破るべく、
3年もの年月をかけて、『18金のペン先』を世に送り出しました。
こうした功績から、『プラチナ万年筆』さんは、
『セーラー』さんや『パイロット』さんと同じように、
“日本が世界に誇る万年筆メーカー”として知られています。
【感想】
この先人たちの努力のもとに完成された万年筆。
実は私、『プラチナ』さんも『セーラー』さんも『パイロット』さんも、
海外の企業とばかりと思っていて、
日本の企業と知って驚いたんですネ。
日本人のモノづくりはやはり丁寧で、繊細で美しく、
壊れにくく、長く使える・・・。
これって本当に世界に誇れることですよネ。
【今週の感想】
今回は私が日頃、万年筆を使っていることと、
広島のセーラー万年筆さんを見学させていただいたことから、
このテーマにさせていただきました。
私より年上の番組スタッフの方にお聞きしたら、
その昔、『中1コース』という雑誌があって、
その入学号の付録が万年筆だったそうなんです。
その万年筆がほしくて、雑誌を申し込んだ男子が
結構いたそうですよ。
それでもそのスタッフの方のように、
万年筆を学生の頃に使ったことはあっても、
大人になってからはほとんど使ったことがない・・・という方、
結構いらっしゃるみたいなんですよネ。
今の時代、ペンで字を書くことってなかなかないですが、
だからこそ万年筆の文字って、とっても味わいがありますから、
久々に使っていただけたらな・・・と思いました。
【お知らせ① 次週(4/17~)からのテーマ】
今では“死語”になった言葉も?
『昭和をイメージさせるモノ』です。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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