いつ頃、名乗るようになったの? 『名字』についてです。
■今週(9/19~9/23)のテーマ:『名字』
9/19(月) 『苗字の日』
9月19日は『苗字の日』だそうです。
これは1870年(明治3年)9月19日に
すべての国民が名字を持つことを許されたことに
由来するそうです。
その背景には、時代が明治になって、
政府が“『平等な社会』を実現するため”と、
“戸籍を整理する際に名字が必要だった”と考えられています。
でも、せっかく名字を持つことが許されたのに、
役場に届け出をした人は少なかったそうなんですネ。
その理由ですが、一説には“名字を持つと、税金をたくさん
取られるのではないか?と警戒されたため“といわれています。
それでも、すべての国民が名字を名乗ることを進めたい政府は、
5年後の1875年2月13日に、
名字を持つことを『義務』とする法令を出しました。
それまでは『許可』だったのが、今度は『義務』ですから、
守らないわけにはいきませんよネ。
とはいっても、名字がない人は新たに考えなければなりませんから、
お寺のお坊様にお願いをして、付けていただいたりしたそうです。
他にも役場の職員の方が総出で、すべての世帯の名字を考えたという
記録も残されているそうです。
ちなみに、この2月13日は『苗字制定記念日』と
呼ばれているそうです。
実は『苗字の日』も『苗字制定記念日』も、
漢字は『名字』ではなく、『苗字』と書くんですよネ。
【感想】
そういえば、私の事務所は『ミドルネーム制』というのが
あるんですが、ウチの社員は皆、
外国人のような名前をつけているんですネ。
例えばなんですけど、私を担当しているマネージャーさんは
“ロビン”と“カーリー”と申します。(笑)
9/20(火) 『名字の豆知識①』
“みょうじ”という漢字には、
『名字』と『苗字』の2つがあります。
歴史的には『名字』のほうが古くて、
平安時代の頃からあった・・・と考えられています。
当時、権力者たちは自分たちの土地のことを、
『名田(みょうでん)』と呼んでいました。
その名田を守り、さらにそれが誰のものなのか
ハッキリさせるために、その土地の名前・地名を名字として
使うようになったと考えられています。
例えば、その土地に小さな川があるので、『小川』です。
つまり、“名田がある土地の名前”から付いたので、
名田の“名”に“字”で、『名字』となったそうです。
それに対して、『苗』の『苗字』という字が生まれたのは、
江戸時代といわれています。
『苗』という漢字には、『子孫』という意味があるそうで、
そういったところから、『苗』の『苗字』は
“共通の祖先から分かれた子孫たちが、共有している名前”と
考えられているそうなんです。
まとめますと、平安時代に地名から生まれた『名字』が、
江戸時代になると、“一族のつながり”を表す“苗”の『苗字』へと
変化していったそうなんです。
【感想】
地名から付いたとなると、私の『羽田』は
田んぼがあることは間違いなくて、
“鳥が飛んでいる田んぼを持っていた人”だったのかな?
なんて考えます。
全国の名字を調べている学者さんにお会いした時に、
“『羽田』という名字は全国に約4300世帯ある”と聞きました。
それを聞いて、案外少ないんだな・・・と思いました。
名字から分かることって、結構あるんですよネ。
おもしろいですよネ。
皆さんはご自分の名前・名字のルーツ、ご存じですか?
9/21(水) 『名字の豆知識②』
江戸時代に生まれた『苗字』という漢字ですが、
明治時代も引き続き使われていました。
当時、出された苗字に関する法令の名前にも、
『苗字』が使われていました。
それが『名字』が使われるようになったのは、
1946年(昭和21年)に告示された、
『当用漢字表』がキッカケだそうです。
当用漢字とは、日常の生活で使われる漢字のことで、
現在ではそれを引き継いで、『常用漢字』と呼ばれています。
この当用漢字表の中で、『苗』という漢字の『みょう』という読み方が、
削除されてしまいました。
その後、当用漢字表を受け継いだ常用漢字表でも、
『みょう』という読み方は復活していないそうなんですネ。
そのため、常用漢字の使用が定められている公式の文書などでは、
『名字』が使われるようになったそうです。
名字といえば、『江戸時代に苗字が許されたのは武士だけ』と
言い伝えられているそうですが、これは誤りだそうです。
実際には武士以外の人たちも苗字を持っていたものの、
武士以外は公に名乗ることができなかったそうです。
そんな名字の種類ですが、民俗学者で苗字や家紋の研究家の
丹羽基二(にわ・もとじ)さんによりますと、日本には
約30万以上もあるそうです。
【感想】
名字ランキングで必ず上位に上がるのは、
鈴木さん、佐藤さん、田中さんとかですよネ。
それも含めて30万以上の名字があるんですよネ。
私、お仕事でいろんな方にお会いして、
初めて聞くお名前の方、かなりいらっしゃるんですが、
今まで聞いた中で、おもしろい!と言ったら大変失礼ですが、
インパクトがあったのは、『ぜにぶくろ・きんや』さんとか、
『あべ・まりや』さんとか、『おだ・まり』さんなどでした。
9/22(木) 『名字の雑学①』
同じ名字でも、読み方が“濁るもの”と“濁らないもの”が
ありますよネ。
例えば、同じ『中島』と書いて、
“なかじまさん”と読む方もいれば、“なかしまさん”と読む方が
いらっしゃいます。
他にも、同じ『山崎』でも、“やまざきさん”と
“やまさきさん”がいらっしゃいます。
私の名字『羽田』でも、“はたさん”と読む方もいらっしゃいます。
これは古くから伝わる、日本語の『連濁(れんだく)』という
現象によるものだそうです。
連濁とは、2つの言葉が結びついて1つの言葉になった時、
後ろの言葉の読み方が濁音になることです。
例えば『花』と『火』という言葉が結びつくと
読み方は“はなひ”ではなく、“ひ”が“び”になって
“はなび”となりますよネ。
また、『青』と『空』という言葉が結びつくと、
読み方は“あおそら”ではなく、“あおぞら”になります。
中には連濁にならない言葉もあるそうですが、名字の読み方も
この連濁という現象が関係しているのだそうです。
【感想】
よく私も“はたさん”と呼ばれることが多いですネ。
他にも“はねださん”とか、
時には“うださん”と呼ばれたこともあり、
日本語は音読みや訓読みがあって、濁点もあって、
いくつも選択肢があって難しいなぁと思います。
でも連濁、牛丼屋さんのつゆだくみたいに聞こえますが、
“言葉が続いていくと濁点をつける”という読み方があるんですネ。
それによると私の“はだ”は、連濁だから正しい?ですかネ。
皆さんの名前、今一度見てみてくださいネ。
9/23(金) 『名字の雑学②』
2つの言葉が結びついて、1つの言葉になった時、
後ろの言葉の読み方が濁音になることを、
『連濁(れんだく)』といいます。
例えば、『大きい』と『空』で“おおぞら”
『手』と『紙』で“てがみ”といった読み方です。
実はこの連濁という現象が、
名字にもあてはまっているそうなんですネ。
例えば、『山崎』という名字の場合、
“やまさき”という読み方が連濁によって、
“やまざき”になったのだそうです。
歴史的には“やまさきさん”が“古くからある読み方”で、
“やまざきさん”は連濁による“新しい読み方”なるそうです。
そして地名も名字も、西日本のほうが歴史は古いので、
西日本では全般的に“濁らない音・清音(せいおん)”を使った
読み方をしているそうなんです。
それに対して東日本は、西日本と比べて歴史が新しいので、
地名も名字も連濁のものが多いそうです。
ですから、同じ『山崎』と書く名字でも、
西日本では“やまさきさん”が多くて、
東日本では“やまざきさん”が多いそうです。
【感想】
なるほど。そういうことなんですネ。
“西日本は濁らず、東日本では濁る”。
これ、分かりやすい違いですネ。
確かに京都でお仕事した方が“やまさきさん”っておっしゃってましたネ。
私が何度も“やまざきさん”と言うと、
“いえ、やまさきです”って直されていました。(汗)
結婚すると女性は名字が変わりますが、
旧姓も新しい名字も含めて、何かこう意味がありますからネ。
自分の名前・名字、大切にしたいものですネ。
■今週の感想
名字って、よく考えたら本当に不思議ですよネ。
タイムマシーンがあったら、過去にさかのぼって、
ご先祖さまに“何でウチはこの名字にしたの?”って聞いてみたいです。
今回、連濁と名字の読み方の関係についても
お話させていただきましたが、
ニッポン放送に内田雄基(うちた・ゆうき)さんというアナウンサーの方が
いらっしゃるそうなんですネ。
この方は“うちだ”ではなく、“うちた”と濁らない読み方ですから、
ひょっとしたらご実家は西日本出身の方なのでしょうか?
追伸
今回の台風14号は大変な被害をもたらしましたが、
被害に遭われた皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。
【お知らせ① 次週(9/26~)からのテーマ】
秋の味覚の1つ、『ナス』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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