どんな言葉でも、元となる語源や由来があります。
そんな『語源や由来』についてです。
■今週(9/13~9/17)のテーマ:『語源や由来』
9/13(月) 『手前味噌』
『手前味噌』には“自分で自分のことをほめること”ですとか、
“自慢”、“自画自賛”といった意味があります。
“手前味噌ですが・・・”“手前味噌ではございますが・・・”といったように、
謙遜する時に前置きとして使われることが多い言葉です。
この『手前味噌』の『手前』という言葉ですが、
これは“自分のすぐ前”という意味ではなく、
“自前”とか“自家製”といった意味なんですネ。
そういったところから、『手前味噌』とは
“自分で作ったお味噌”のことを指しているんです。
お味噌をお店で買われる方、多いかと思いますが、
元々はそれぞれご家庭で作られていたんです。
そのため、少しでも美味しいお味噌を・・・ということで、
いろいろ工夫がされてきました。
そうやって作った“自家製のお味噌の味を自慢する“という意味から、
今では“自分で自分のことをほめること”“自画自賛”といった意味で、
この言葉が使われています。
実は私は去年初めて、お味噌を作ってみたんですが、
これが想像以上に楽しくて。
それでも自分の作ったお味噌なんて、正直どうなのか?
不安だったんですが、これがまた想像をはるかに超えて、
美味しく出来上がったんですネ。
そして、こういうことを『手前味噌』っていうんだ・・・って
初めて知りました。
言葉って不思議なものですよネ。
意味をハッキリと知らなくても、なんとなくこういう時に使う言葉よねぇって
使っていることって多いですよネ。
実感が伴って初めて意味を知ると、“なるほど~、上手い表現だな”って
うなることってありますよネ。
そして、手前味噌ではありますが、我が家の手作りのお味噌は
本当に美味しかったです。
9/14(火) 『四苦八苦』
『四苦八苦』とは“とても大変な状況”ですとか、
“切羽詰まった様子”を表す言葉として使われています。
『四苦』とは『生まれ生きること』、『老いること』、『病気になること』、
そして『死ぬこと』の4つの苦しみのことです。
『八苦』とはこの『四苦』に、さらに4つの苦しみを加えたもので、
4+4で8ということです。
その4つの苦しみですが、1つめは“大切な人、大好きな人であっても、
いつかは離れなければならない苦しみ“『愛別離苦(あいべつりく)』。
2つめは“逆に大嫌いな人、顔も見たくない人でも
出会ってしまう苦しみ“『怨憎会苦(おんぞうえく)』。
3つめは“欲しいものが手に入らない苦しみ”『求不得苦(ぐふとっく)』。
そして4つめは『五蘊盛苦(ごうんじょうく)』。
煩悩の原因となる“心や体から生じる苦しみ”で、
“自分の思いどおりにはならない苦しみ”です。
仏教では、この『四苦八苦』は人間が生きている上で
避けては通れない、根源的な苦しみとしています。
但し、『苦しみの先に幸せがある』という言葉にあるように、
乗り越えなければならないものでもあるんだそうです。
四苦八苦、人は生まれてくること自体、苦しみであって、
年を取る、病気をする、やがてはあの世に旅立っていく・・・
そんな人間としての当たり前の営みすべてが、苦しみの原因なんですネ。
でも、苦しみの先に幸せがあるのなら、
勇気を出して苦しみと向き合って、
幸せを手に入れるという生き方を選びたいですネ。
9/15(水) 『呂律(ろれつ)』
お酒を飲みすぎて酔っぱらった時のように、舌がもつれて
上手く話せないことを『呂律が回らない』といいます。
『呂律』とは“雅楽から生まれた言葉”という説があります。
雅楽には2つの音階があって、それぞれ『呂(りょ)』と
『律』といいます。
雅楽ではこの『呂(りょ)』と『律』に基づいて演奏されますが、
その音階を間違えてしまうと、大変なことになってしまいます。
このことから、そうした状態のことを『呂律(りょりつ)が回らない』と
言うようになり、それが時代とともに『呂律(ろれつ)が回らない』に
変化したといわれています。
他にも、京都・大原の三千院を挟んで流れる2つの小さな川、
『呂川(りょせん)』と『律川(りつせん)』を語源とする説があります。
この場合の『呂(りょ)』と『律』は、仏教音楽の
『声明(しょうみょう)』の音階のことです。
この『呂(りょ)』と『律』の表現が上手くできないことを、
『呂律(りょりつ)が回っていない』といわれていたのが、
“調子が外れた状態”の意味で、『呂律(ろれつ)が回らない』と
言われるようになったと考えられています。
『呂律が回らない』のは、『活舌が悪い』と並んで
役者にとって辛いものですが、
その語源は雅楽や声明(しょうみょう)の音階のことなんですネ。
私、以前、京都・大原の呂川と律川を渡った時、
そうならないように願ったことがありますよ。
キレイなキレイな小さな川でした。
知らない言葉ってありますよネ。
9/16(木) 『指切りげんまん』
子供の頃、“約束を必ず守るしるし”として、
お互いの小指と小指を絡ませて、
『♪指きりげんまん、嘘ついたら、針千本、飲~ます』と誓い合った経験、
どなたにもあるんじゃないでしょうか。
この『指きりげんまん』という風習は、江戸時代の吉原が
発祥とされています。
吉原には遊郭があって、そこでは“遊女”と呼ばれる
たくさんの女性たちが、男性のお客さんのお相手をしていました。
そんな遊女の皆さんもひとりの女性です。
好意を持ったお客さんに対しては、“あなただけは特別です。
この想いはずっと変わりません”という、真の愛情を示す証として、
自分の小指を捧げたそうなんです。
やがて、この『指切り』が一般にも広まって、
“約束を必ず守ります”という意味へと変化しました。
そうなると、気になるのが『げんまん』ですが、
漢字で『拳万』と書きます。
これは“握りこぶし・ゲンコツで1万回殴る”という意味で、
つまり“約束を破ったら1万回殴りますよ”という制裁の思いが
込められているんだそうです。
このように『指切りげんまん』とは“約束を破ったら、指切りに加えて、
1万回殴ってもイイですよ“という、強い意思表示でもあるそうです。
そんな深い意味も知らずに、なんてことない小さな約束にも
♪指切りげんまん~・・・と、無邪気に歌って約束していたんですネ。
それに加えて『針を千本飲ます』とは・・・。
約束とは簡単にしてはいけないものですネ。
ハッキリと意思が固まったら、約束です。
適当に約束して破るのは、本当にいけませんよ。
9/17(金) 『「しどろもどろ」と「あざとい」』
『しどろもどろ』とは“言葉や行動に秩序がなくて、とても乱れた様子”、
“足元が定まらない様子”のことをいいます。
そんな『しどろもどろ』という言葉ですが、
『しどろ』と『もどろ』の2つの言葉の語呂合わせから
できているんだそうです。
まず『しどろ』ですが、“秩序がなく乱れている”という意味の言葉
『しどけない』の『しど』に、接尾語の『ろ』が付いたもの。
そして『もどろ』は“入り乱れる”“ハッキリしない”といった意味の言葉
『もどろく』の『もどろ』のことなんです。
つまり、どちらも“乱れている”という意味の
『しどろ』と『もどろ』という、2つの言葉の語呂を合わせることで、
乱れている様子の意味を強めたものなんだそうです。
そして『あざとい』ですが、“やり方が露骨で抜け目がない”
“あくどい”といった意味があります。
ネガティブな意味で使われることが多いですネ。
この『あざとい』の語源には諸説ありますが、
『戯る(あざる)』という言葉という説が有力です。
『戯る』とは“たわむれる”とか“ふざける”といった意味ですが、
“垢ぬける”や“おしゃれをする”といった意味もあります。
また地域によっては、『あざとい』は“あどけない”という意味も
持つことから、それらの意味に通ずる『戯る』が
『あざとい』の語源となるのは、自然だと考えられるそうです。
言葉の語源って面白いですネ。
この『面白い』っていう言葉も“面が白い”とは何なのか?
それから『面倒くさい』、『みずくさい』って、何が臭いのかとか、
本当に言葉って面白いですネ。
■今週の感想
今回のテーマは、月曜日にお話しましたように、
私が去年初めてお味噌作りに挑戦したところ、
これが想像以上に美味しくできたことから、
こういうことを『手前味噌』って言うんだろうな・・・
でも『手前味噌』のもともとの語源は何なんだろう?と思ったのが
キッカケでした。
そこからスタッフさんと相談して、『手前味噌』以外にも
私が知りたかった言葉
『四苦八苦』や『呂律』、『指切りげんまん』、『しどろもどろ』、
『あざとい』の語源や由来を調べましょう!ということになったんです。
普段何気なく使っている言葉ですが、
語源や由来を知ると楽しくなりますよネ。
言葉ってホント、奥が深いです。
またいつか第2弾をやりたいと思いますので、
気になる言葉がありましたら、
hada@1242.comまでお送りくださいネ。
番組の感想ですとか、テーマのリクエストも
お待ちしています。
【お知らせ① 次週(9/20~)からのテーマ】
秋を代表するお花の1つ、『菊』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
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