初夏を代表する果物の1つ、『ビワ』についてです。
■今週(6/15~6/19)のテーマ:『ビワ』
6/15(月) 『ビワとは』
ビワはバラ科の植物で、サクラやウメ、モモ、イチゴ、リンゴ、ナシと
同じ仲間です。
収穫時期はハウス栽培のものは2月から4月ですが、
自然に栽培された”露地もの”は、5月から6月です。
ですから、今がまさにビワの旬の季節なんです。
『ビワ』という名前は葉の形、または果実の形が
弦楽器の琵琶に似ていることから、
この名前が付けられたといわれています。
ビワの学名には”日本の・・・”という意味の
『Japonica(ジャポニカ)』という言葉が付いていますが、
原産地は日本ではなくて中国なんです。
日本にも野生の種類のビワがあったそうですが、
現在、栽培されているのは中国から来た品種だそうです。
日本のビワについては奈良時代の書物にも書かれていますが、
野生の小さなビワだったと考えられています。
日本でビワの栽培が始まったのは、江戸時代の中頃で、
『現在の千葉県富浦(とみうら)で1751年頃に栽培されていた』という
記録が残っているそうですよ。
現在、ビワの収穫量が一番多いのは長崎県で、
全体の3割以上を占めています。
2番目が千葉県で、そのあとを鹿児島県、香川県、愛媛県が続いています。
ハァ~、私、大好きなんです。ビワ。
奥ゆかしい甘さと 控えめなたたずまいが何とも言えません。
今日は早速買いに行こうと思います。
6/16(火) 『ビワの歴史』
江戸時代中頃、現在の千葉県・富浦で栽培が始まったビワですが、
江戸の町に出荷されていたそうです。
現在、ビワの全国の収穫量の3割以上を長崎県が占めていますが、
これには『三浦シオ』さんという女性の方が大きく関係しています。
幕末の頃、三浦シオさんは長崎の代官屋敷で働いていました。
ある時、現在の中国の船主さんから代官に、
中国のビワの種が贈られました。
それを譲り受けた三浦シオさんは実家があります、
現在の長崎市茂木(もぎ)地区で栽培を始めました。
その後、実ったビワは大粒でとても甘くて、果汁があふれて、
食べた人は皆、その美味しさに驚いたそうです。
こうして誕生したビワは『茂木』と名付けられ、
長崎の名産になっています。
1879年(明治12年)、この茂木ビワの種を東京に持って帰って
栽培したのが、田中芳男(よしお)さんです。
”日本の博物館の父”と呼ばれた方で、植物学者でもありました。
そんな田中さんが育て上げたビワは『田中』と名付けられ、
”東の田中、西の茂木”と呼ばれるほど代表的な品種となりました。
去年の今頃、長崎の茂木地区を旅したことがあります。
一面に広がるビワ畑、海に面した所でとても生き生きと育っていました。
そういえば、千葉も鹿児島も香川も愛媛も全部海沿いの所ですネ。
イイ環境の所で育つんですネ。
6/17(水) 『ビワの栄養価』
ビワの果実は食用として親しまれていますが、
葉は薬用として知られています
そのため古くからビワは『大薬王樹(だいやくおうじゅ)』という名前で
紹介されていたそうです。
ビワの葉には咳を鎮めたり、タンを除いたり、
胃を丈夫にしたり、体の余分な水分を体外に出すといった
作用があるといわれています。
漢方の処方にも配合されて、鼻づまりや鼻の炎症を鎮めるために
用いられています。
またビワの果実には、皮膚や粘膜の健康を保つ働きがあるとされる
『ベータカロテン』や抗酸化作用が期待される
『ポリフェノール』などが含まれています。
葉から果実まで、とても優れているビワですが、
1つだけ注意する点があります。それは種なんです。
ビワの種には天然の有害物質が含まれているそうです。
種の場合、粉末にしてお茶や料理に使われたりするそうですが、
多量に摂取すると健康を害することがあるそうです。
そのため農林水産省では『ビワの種の粉末は食べないようにしましょう』と
注意を呼び掛けています。
いずれにしても、ビワの果実をいただくことは
健康に何の問題もありませんので、ご安心くださいネ。
私はビワの葉のお茶を飲んでますが、
香ばしくてクセがなくて、とっても気に入ってます。
ビワは葉っぱも果実も体に良いものなんですネ。
6/18(木) 『ビワにまつわる噂』
その昔、『ビワの木は縁起が悪い』といわれていたそうです。
そのため古くから存在していたにもかかわらず、
ビワの栽培が遅れたのも、そんな言い伝えが関係しているそうです。
どうしてそんなことが言われていたのでしょうか?
ビワは栄養価が優れていて、特に葉の部分は古くから
薬としての効果が期待されています。
そのため中国ではその昔、ビワの葉を求めて、
病を患っている人たちが、ビワの木がある所にやって来て
行列が絶えなかったそうです。
そんなところから、いつしか
『ビワの木には病を患っている人たちが次々と寄ってくる。
だから縁起が悪い』という噂が広まっていったのでは・・・といわれています。
他にも、ビワの優れた効能から
”ビワはお医者さん要らず”と言われるようになったことで、
お医者さんが『ビワの木を植えると病人が出る・不幸になる』という
デマを流した・・・という説もあるそうです。
いずれにしても、どれも迷信でしかありません。
そんなビワの木ですが、弾力性があります。
さらに乾燥させると硬くなることから、
家具や木刀、杖などに使われてきました。
特に杖の場合、丈夫で長持ちすることから、
『長寿杖(ちょうじゅづえ)』と呼ばれて、縁起物としても
活用されているそうです。
確かに私が子供の頃も”ビワの木は怖い”と信じていました。
こんなに美味しくて体に良くて、杖にもなって素晴らしいのに、
そんなことを思って申し訳なかったなぁ・・・と思います。
美味しいビワ、大切にしたいですよネ。
6/19(金) 『ビワの種』
ビワには大きな種がありますが、
”これがなければ、もっと食べるところがあるのに!”と思ったこと、
ありませんか?
そこで千葉県農林総合研究センターでは、
1991年(平成3年)から”種なしビワ”の開発に取り組みました。
”種なしブドウ”ってありますが、その技術をビワに応用したそうです。
そして生まれた”種なしビワ”には『希房(きぼう)』という名前が付けられました。
現在の千葉県南部のことを『房州(ぼうしゅう)』ともいいますが、
『希房』の『房』は『房州の房』を表しています。
この地方で栽培されているビワは『房州びわ』と呼ばれていて、
皇室にも献上されることでも知られています。
こうして誕生した”種なしビワ”『希房』ですが、
2006年に品種登録されました。
こうして”世界で初めての種なしビワ”が誕生しました。
2008年に初めてセリにかけられた時、
”サイズが一番大きい10個入りのもの”が5万円で落札されたそうです。
つまり1個5000円です。
小さいサイズのものでも、8個入りで1万円だったそうです。
現在、出回っている『希房』は、当時と比べると
お求めやすくはなっていますが、それでも一般のビワよりも
ちょっとお高いそうですよ。
写真を見ると、中心が星形に少し空洞になっていて、
確かに大きな黒い種はありません。
一度、食べてみたいな・・・
■今週の感想
ビワってホント、美味しいですよネ。
私は果物の中で、ビワが一番好きなんです。
番組スタッフから”羽田さんが一番好きな果物は何ですか?”と
聞かれた時も、すぐに”ビワ!”と答えました(笑)
それで今回、このテーマになりました。
大好きなビワのことがいろいろ勉強になりました。
皆さんも今が旬のビワ、いかがですか?
【お知らせ① 次週(6/22~)からのテーマ】
学校で一番楽しみな時間(?)、『給食』についてです。
【お知らせ② 番組で使用しているBGM】
◆オープニング
♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ
◆エンディング
♪To Be / モントルー
2025.04.25
2025年4月21日週 テーマ「シジミ」
お味噌汁の人気の具材のひとつ、『シジミ』についてです。 ■今週(4/21~4/25)のテーマ:『シジミ』 4/21(月) 『日本のシジミ』 &...
2025.04.18
2025年4月14日週 テーマ「本音と建前」
“日本の文化を象徴するもの”のひとつ、『本音と建前』についてです。 ■今週(4/14~4/18)のテーマ:『本音と建前』 4/14(月) 『本音と建前...
2025.04.11
2025年4月7日週 テーマ「遊園地」
遊園地の中で、人気のアトラクションのひとつ『観覧車』についてです。 ■今週(4/7~4/11)のテーマ:『観覧車』 4/7(月) 『観覧車の歴史』 ...
2025.04.04
2025年3月31日週 テーマ「キャベツ」
季節を問わずお店に並んでいて、“いつでも手に入る身近な野菜”のひとつ、『キャベツ』についてです。 ■今週(3/31~4/2)のテーマ:『キャベツ』 3...
2025.03.28
2025年3月24日週 テーマ「切手」
“ハガキや封書など、郵便物に貼るもの”、『切手』についてです。 ■今週(3/24~3/28)のテーマ:『切手』 3/24(月) 『切手の歴史①』 ...