誰も人が居ない夕暮れの有楽町LFの駐車場。
ラジオの生放送を終え 日比谷で映画を観て駐車場へもどると 駐車場の一番奥で自転車と格闘する男。
私はTVで見て知っているから「あれは大好物のバッテリィズのエースだな」と思ったので声をかけた。
「どうした?自転車こわれたのか」「そうなんすよ。どうしよう」
私はTVで見てるから知っているので「なに?この自転車で局への移動しているの?」「そうなんすよ。まだ東京のことも分からなくて」
エースはまったく私のことなど知らない。
当然だ。東京へ出てきたばかりだし……
キャリアもまったく違うし
「これから何処へ行くんだ?」「えーと ニッニッニッテレ?」
「麹町の?」「そうなんすかねぇ」「オレ近いから送ってってやるよ」
「そうすか。すいません(と気がついて)自転車と乗れるか!!」
「アハハそうなの?オレ トラックだよ」「トットットットラック~~~?」
こんな行きずりのトークがあって 色々あって 相方の耳にはあの相手は私だと知らされたらしいが
エースには何が何やら分からない。
ラジオで相方が「その声かけて来た人はどんな人だったんや」「えーと……気さくなダンディ」だって。
ギャハハ 東京人をこれ程短い言葉で表現した人は今まで居なかった。
さんぽ会で集まった連中からも
「たったふた言。オレ達が何十年もつきあっても表現できなかったセンセーを“気さくなダンディ”とは。おみごと」の声が沢山。
嬉しい。私はズ――ッと気さくすぎるのだ。偉人感が欲しい。
紫綬褒章はいらないから とっつきにくさが欲しい。

ついに五刷。ラジオでの私のひと言から始まった「爆弾犯の娘」のミニ・プチブーム。
五刷で書店に並ぶ分からは とうとう帯に私まで登場しちゃっている。
感涙!泣いちゃいないけどね。
漫才協会会長であり土屋の知り合いでもあるナイツの塙が出した「笑辞苑」。
「笑い」に関する考察だらけの名文と駄文のオンパレード。ここ5年間くらいの芸人の歴史も内側から分かる。
作家には書けない現場のリアルな声。
下のイラストは一之輔が「週刊文春」で隔週で書いている日記。
金沢へ太田光らと行った「オール日芸寄席」のことを書いている。
次の日 一之輔と志ららを連れて金沢ウロウロ。
まさにまるで水戸黄門御一行。
「どこが悪いの?」ときかれて「目と肛門」(そんなこたぁ言わない)
塙だったら「肛門見えても」だ。

たい平 手作りの「ガンバレ!ペーパー(紙)新聞」 2回開催された応援の会で配られたもの。
中の左に文枝師のコメント その下に私のコメントが載っている。
当日は岩崎宏美、戸田恵子らも駆けつけた。なんと岩崎宏美は2曲歌った。
先日バッタリ会った戸田恵子「仕事の合い間ぬって私も駆けつけたわよ。ペーパー新聞まで すみずみ読んだけどさ。手ぬかずに あんな小さい所まで書いてたじゃない。読んでますからネ!」と言ってアンパンマンは去っていった。

別の日は私は東洋館で「ホームラン勘太郎」を偲ぶ会。たにし主催。
こちらでは鳥羽一郎が靴下で2曲歌った。生「兄弟船」しびれたねぇ~。
こんな所に居たのか 快楽亭ブラック。
立川流を去ってから もう何年になるのか。
その間 私は一度だけ試写室で見かけたことがある。
そこで なんとドキュメント映画ができたらしい。
「落語家の業(ごう)」だとさ。
“コンプライアンスの超越者”とある。
12月13日(土)より渋谷ユーロスペース。
怖いものみたさで見に行く人も何人かは居ると思う。

渋谷PARCO劇場へ行って「作・演出 宮藤官九郎」の「雨の傍聴席、おんなは裸足…」も観てきた。さすがは紫綬男である。
阿部サダヲは来年の「ビバデミー賞」V4を大谷並に狙っているらしい。
歌う松たか子も凄い。演歌歌手の松とミュージカル俳優の阿部の夫婦闘争である。
皆川猿時の野郎、ちょっとしたVTR出演なのにドッカーンとウケていた。
14日(金)はラジオのあと「いち・にの・さんぽ会」
今回は「べらぼう」散歩。田沼意次邸跡から日本橋、人形町やらをグルグル蔦屋重三郎気分で 松村歌麿ひきつれ5人で歩く。
ゴールは神保町。飲んでバカッ話が1番楽しい。

11月17日
高田文夫

2025.11.17
第146回『エース登板』
誰も人が居ない夕暮れの有楽町LFの駐車場。 ラジオの生放送を終え 日比谷で映画を観て駐車場へもどると 駐車場の一番奥で自転車と格闘する男。 私はTVで見て知っているか...

2025.11.05
第145回『グラビア磯山&ミスター寄席』
まだかまだかと待っていたら遂に「出ました達郎」。 まだか まだかの はだかの上から羽織ってますよ ちゃんと。 スタジオで喋ってる時は あまり分らないけど いざグラビア...

2025.10.24
第144回『ミスターFOREVER』
とうとうお別れである。 徳光さんは「ミスター寄席」をやってくれますが、本当のお別れの案内状が届いた。東京ドームである。 色んな書類も ていねいに入っていて これは行か...

2025.10.13
第143回『オール日芸IN金沢編』
この歳になると なかなか仲のいい連中と泊りがけで旅に行くなんてことはない。 談志からは「若い連中や後輩には なるべく想い出を作ってやれよ」と言われた事を数年前に思い出し...

2025.10.06
第142回『太田から森田芳光まで』
まだまだだと思っていたら もう10月。 そして もう今週、金沢でLIVEだよ。 「オール日芸寄席IN金沢」である。 東京以外で めったに見られない私と爆笑問題・太田...