高田文夫のおもひでコロコロ

2025.09.29

第141回『牛丼もイイネッ!』

彼岸だ。ン? もうあけた? 古来より「暑さ寒さも彼岸まで」とか。それが今では「暑さ寒さもゆがんでる」となる。
「セプテンバーレイン 九月の雨は切なくて」か・

「笑点」木久扇の息子、今の林家木久蔵が「高級牛丼の店を始めたから皆で来てくれ」と言う。
腰を悪くして入院してた立川志らくの快気祝いって事で浅草橋の「天角」へ。

通りに面してるんだからやめろ、御一行様は! 天角の下に木久蔵の下手くそな字で書いてある。
前の右が木久蔵。「週に三日、昼しかやってません」 
磯山さやかのマネージャーが写真を撮ったのか。この娘は小さい身体でよく食べる。牛丼というより上質な牛皿をペロリ。
牛一頭分。えらいのは木久蔵の奥方でレシピはすべて頭の中、にこやかで感じがいい。いいカミさんをもらったものだ。
6Sは牛丼一味である。この話をきいて松村邦洋がシットしてた。ひとり言でブツブツ「牛丼・牛丼・牛丼・・・・」
これは珍なる2S写真。
「昼から牛丼を食らう師弟の図」である。志らくは学生時代から私の所へ来たが、むかいってメシをほうばる情けない姿をみせるのは私も初めて。私も老いたり・・・・だな。
私は今77。談志は75で亡くなった。談志が60代の頃、よく飲んでいて私が「師匠!なんで私となんか飲んでるんですか」「バカ野郎!お前に想い出を作ってやってんだよ」と言われたっけ。
今身にしみる。

私をひたすらリスペクトする「グループ魂」のライブ。
オープニングで皆川猿時(港カヲル)が「ビバリー行って高田センセーと話してきた」という話で盛りあがる。熱唱する阿部サダヲ。「サダヨ」と読んでる奴が居た。
泣くギター苦労カンクローことクドカン。LASTは大盛りあがり 宮藤官九郎が作った「高田文夫」の大合唱。
昔から阿部のつっこみ道具は名物スリッパ。これでパシーン。いかりやの黄色いメガホン、たけしのピコピコハンマーと並ぶ三大つっこみ道具。
最後に客席に放り込む。私のおでこにもパッツン。これである。

魂を頂く。猪木は「入魂」と書き、木久扇は「入金」と書く。

最高の本ができました。私と同じ「週刊ポスト」で連載していた横山剣が一冊にまとめて「昭和歌謡イイネ!」。
120曲もとりあげていて、とんでもない選曲もしているからネ。歌謡曲を語らせたら今や横山剣とタブレット純(週刊新潮)だね。
あらゆるすべての曲にからんでいるのが中味を濃く面白くしている。
音楽評論家とか演芸評論家なんてのは机の上でただ資料で書いてるだけ。その点こっちはかかわりあいがハンパない。
私の高校の同級生のことまで書いてある。初代ソウルブラザースの新倉である。不良だったもんな。ダンスのステップが最高なのよ。
ソウル関係で知ってるんだね。この高校、不良の新倉も「爆弾犯の娘」のあの犯人梶原も私もいたんだからとんでもないな。(世田谷にある日本学園。戦前は吉田茂、永井荷風らが出た)

同じクラスに今でも現役・三笑亭夢太朗も居た。「小さな日記」フォーセインツの荒木も。
他人(ひと)の筆で同級生の近況を知ることになる毎日。

文字の色合いといい白黒の剣さんといい表紙もカッコ良すぎる。イイネッ!
早く連載再開して第2弾を読みたい。やっぱり昭和歌謡は良すぎるネ。

珍しい夢枕獏が短篇集で怖い話ばかり集めた。少しこわかった。
さすが「獏とハサミは使いよう」である。元気そうでなにより。
「名探偵のままでいて」で「このミステリーがすごい」大賞を受賞して調子づいてシリーズ化。
有楽町の三省堂へ行ったらオレの「月刊Takada2」より沢山の面積をしめてこの本が置いてあった。
小西マサテルの名はラジオ好きなら「ナイナイのオールナイト」などでもおなじみの放送作家。
チクショー、クドカンも鈴木おさむも小西もオレに憧れてたのにどんどん追いこして行くなぁクゥ~~ッ。77だぞオレ。もうすぐ傘寿だ!文句あっか。

本ばかり読んでても老眼だからきついでしょ。CDもあるよ。
先ほども取りあげた横山剣。本職のCrazy Ken Bandの新作。
「華麗」である。これは「加齢」とかけてあるらしい。
バンマスの右は座長(WAHAHA本舗)のソロ。大久保ノブオがいい味。ポカスカジャンの「ガリガリ君」男でもある。哀愁のイロモノさんたちを歌った「色物大行進」。私は「息子よ」で泣いた。

 

9月26日

<追記のP.S.>
この原稿1週間以上も前に書いていたのですがブログをいじられる「ビバリー」のN出・Pも、何かあったらのI田・Pもズットずっとずる休みしてまして 妙にタイムラグのある原稿になったことお許し下さい。
私の周りは誰もホームページをいじられないというオールドメディアぶり。
あきれ返るばかりです。
ケータイ持ってない奴まで居て仕事にまったくなりません。
反省しつつ次回へ。

 

 

高田文夫

 

 

  • ビバリーHP導線
筆者
  • 高田 文夫
    高田 文夫
    高田 文夫

    高田 文夫

    1948年渋谷区生まれ、世田谷育ち。日本大学芸術学部放送学科在学中は落語研究会に所属。卒業と同時に放送作家の道を歩む。「ビートたけしのオールナイトニッポン」「オレたちひょうきん族」「気分はパラダイス」など数々のヒット番組を生む。その一方で昭和58年に立川談志の立川流に入門、立川藤志楼を名乗り、'88年に真打昇進をはたす。1989年からスタートした「高田文夫のラジオビバリー昼ズ」は4半世紀以上経つも全くもって衰えを知らず。