先日お送りした特別番組
「まだ間に合う! ゴールデンウィーク」でもお話しした、
東京ステーションギャラリーで開催中の「大阪の日本画」。

近代大阪の日本画が勢揃いする初めての展覧会。
これは、美術史を書き換えるかもしれない、画期的な催しなんです!
明治以降の日本画というと、東京や京都が知られてきたのですが、
今回の展覧会は、タイトル通り、
大阪で独自に育まれた、華やかな日本画が一堂に集結しています。
北野恒富「護花鈴」 大正前期 大阪中之島美術館 ※5/14まで展示
山口草平「人形の楽屋」 大正後期~昭和初期 大阪中之島美術館 ※5/14まで展示
大阪にはパトロンが多く、展覧会に出展する必要がなかったため、
画壇からすると、知られざる名品が多いのだそう。
その代わりに、パトロンと楽しむ教養、
そして、求めに応じてその場で絵を描く速写力が求められたと聞き、
文化の違いに驚きました。
大阪では、美術史と異なる評価軸の中で、豊かな美術が作られていたんですね。
お稽古で絵を習う女性も多く、女流画家が多いのも特徴です。
今回は、出展されている画家66人の内、13名が女性なんですって。
生田花朝「四天王寺聖霊会図」 1927年 大阪城天守閣 ※5/14まで展示
木谷千種「浄瑠璃船」 1926年 大阪中之島美術館 ※5/14まで展示
お話を伺うと、準備してきた学芸員の方々の熱量がものすごく、
より多くの作品を見てもらおうと、展示替えもたっぷりで、
前期と後期で7割の作品が変わるそう。
このブログでご紹介している写真も、すべて展示替えの対象です。
菅楯彦「舞楽青海波」 1917年 倉吉博物館 ※5/14まで展示
展覧会オリジナルグッズも素敵で、担当学芸員の方も自腹で買ったとか。
カラーページが204ページに及ぶ、分厚い図録も必携です。
個人的には、吉川英治『三國志』の挿絵を描いた
矢野橋村の大作が見られるのも嬉しくて!
私は、挿絵でしか矢野橋村を知らなかったのですが、
実は、大きい画面の絵が多く、
日本的要素を含んだ文人画、新南画を提唱するなど、
「大阪の日本画」を引っ張っていた一人だったそうです。
矢野橋村「湖山清暁」 1913年 個人蔵(愛媛県美術館寄託) ※5/14まで展示
その他、三国志関連で言うと、竹林の七賢の絵がありました。
姫島竹外「竹林七賢」 1899年 泉屋博古館東京 ※5/14まで展示
評価が定まっていない作品が多いため、先入観なく楽しむことができる「大阪の日本画」。
大阪中之島美術館で行われた際も大盛況で、
アンケートを見ると、好きな絵がバラけているそうです。
ぜひあなたも、お気に入りの一枚を見つけてみてくださいね。
「大阪の日本画」は、東京ステーションギャラリーで6月11日(日)まで開催中です!