バレエダンサーで振付師の山本康介さんが登場。
英国の名門バーミンガムロイヤルバレエ団の元ファーストソリストで、
現在は演出や振り付け、テレビでのバレエの解説など
様々な面から日本のバレエ界を盛り立てている一人である山本さんの
バレエ人生、そして、日本のバレエ界について伺いました。
著書:『英国バレエの世界』(世界文化社) コチラ
日本のバレエ界での自分の役割
英国から日本に戻ってきて、バレエの客層に偏りがあるのを感じた。
ヨーロッパは、古いものを守るのと
新しく開拓していく精神のバランスが取れてるように思う。
日本だとどうしても、バレエで言うと「白鳥の湖」だったりとかになる、
見たことがない方たちが、そういうのを最初に見てみようと思うのは
ありがたいことだが、違うものをやることで、
ダンサーもお客さんも土壌が育つ。
古いものばっかりやっていると、ダメになってきてしまう時が来る。
なので、カラオケ的に海外で成功したものを
日本の人たちでやるというだけではなく、
新しいものも日本のお客様に浸透させていかないといけない。
古いものばっかりやっていると、ダメになってきてしまう時が来る。
現在、振り付け、演出のほか、解説などをおこなっているが
僕の次の世代の人たちが踊りやすかったり、
バレエを作ったりするようにしようと思った。
喋るトレーニングは受けていないので、
喋る仕事を受けることに関して 疑問を持ったりはしたが、
オファーされるうちに、自分も誰もやらないことを
引き受けることによって、改めて自分の分野というものを
考え直したりするきっかけにもなった。
バレエとの出会い
元々姉の影響で小学校2年生くらいからバレエを習った。
10歳の時に全国で1位になった。
初めてすぐに、そのような評価をいただいたことで
自分の中で、「もしかして自分はこれが得意なのかな」と思い
これも人生を選ぶうちの選択肢の1つなのかな、
と考え始める1つのきっかけになった。
15歳で、ロイヤルバレエスクールに入学。
首席で卒業し、デイビット・ヴィントリー監督に誘われて
バーミンガムロイヤルバレエ団に入団。
デイビット・ヴィントリー監督から学んだことは、
芸術は根っこのところは人間性であるということ。
彼はすごく、バレエを作り続ける人だったので、
「白鳥の湖」とか、「くるみ割り人形」のような
古くから継がれているバレエでも
最初はそういう風に作られたということをすごく感じた。
新しい振り付け家と仕事をすることで、
古いものに戻る時の心得だったり、
もしかしてこれもこういう意味だったのかもしれない
という風に、古典を踊るときの
自分のアンテナの張り方が、少し違ってくるようになった。
イギリス留学
プロを目指してイギリスに留学されたのは15歳の時。
自分はイギリスのバレエにすごく惹かれていた。
僕が子供の頃の当時はボリショイだったり、
ミハイロフスキー(旧レニングラードバレエ)の
13頭身、14頭身くらいの人たちが対列を組んで、
ダイナミックに踊るみたいなのが一般的には主流だったかもしれない
しかし、イギリスのバレエを見た時に、シェイクスピアの育った、
演劇の根付いたところなので、何かダンサーそれぞれが、
自分の考えを持って、自分しかできないことなのに、
何かになりきって演じきるっていうのをすごく感じた。
その“演じきる”という心意気が好きだった。
著書『英国バレエの世界』(世界文化社)にもあるが、
各国でバレエのとらえ方は違う。
戦前は資産家だったり、国を支えるクラスの人たちの融資を受けて、
バレエ団やオペラハウスが成り立ってきた歴史がある。
戦後、一般の人たちもお金を出して、見に行きたいものを見に行ける
という風にエンターテインメントのあり方も変わってきた。
それぞれの国のスタイルっていうのは、
その前からあったようなものが、
だんだん一般化、大衆化されてきたっていうふうに感じる。
バレエ団 退団の決意
バレエ団の退団時期というのは、
すごく人気がある方だと、
落ち目をやっぱり見せたくないと、そうなる前に
キャリアハイで自分でパッとやめる方もいる。
自分の場合は、
すごく日本がホームシックになってたので、
このバレエ団でやらせてもらえると思ったものは
監督さんとはすごくいい関係だったので、
何かホームシックなのか、
ちょっとバレエを距離置きたいのか、
自分の中であんまり整理がつかなくて、
バレエ以外の仕事もやってみてもいいかなと思い、
バレエ団をやめた。
これからの日本のバレエ
自分は、毎年ローザンヌの国際バレエコンクールの現地に行って、
先生たちや子供たちに話をきくが、
日本の子たちが環境としては一番厳しい。
通信制で、高校を続けながらとか、
普通の中学校に日中は行き、夕
方からバレエスクールに行ったりしていて、
多分、1番踊ってる時間とかも限られている。
スタジオも、ヨーロッパの国立バレエ学校の子たちに比べると、
半分くらいの狭いところで、ピアニストもついてないという状況
でやっている子たちが、一流の学校の子たちと肩を並べるような成績で
毎年毎年優秀な子たちが出るってことは、
日本の先生たちが優秀だっていう証明だと思う。
日本人、アメリカ人、ロシア人はどのバレエ団にいてもだいたいいる
やはり日本のバレエは技術が高い。
次のステップは、日本のバレエ団も、海外に行って、
どんどん公演をしてほしい。日本の素晴らしいところを発信してほしい。
将来は日本のバレエ団、日本のバレエに限らず、
そういうものの架け橋のような仕事を増やしていきたいと思っている。
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