福島県浪江町請戸地区で
長年地域の方に親しまれてきた酒蔵、
鈴木酒造店五代目蔵元、鈴木大介さんが登場。
東日本大震災で津波の被害をうけ、山形県長井市に避難。
昨年3月念願の浪江町での酒造りを再開するまでの道のり、
酒造り、そして地元への思いうかがいました。
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鈴木酒造店と『磐城壽』
鈴木酒造店はもともと福島県浪江町の請戸地区にあった酒蔵。
東日本大震災で蔵がすべてながされ、山形県長井市に避難。
昨年3月、念願の浪江町での酒造りを再開。
代表銘柄『磐城壽』は、浪江町、請戸地区では特別なお酒。
鈴木酒造店は港町に隣接する酒蔵だった。
漁師が漁のことを尋ねるのに「酒になったか?」ときくなど、
地元の漁業組合から大漁のときは大漁祝いとして
船主さんにお酒を進呈される。祝酒。
請戸地区は今水産業しか残っていない状況なので、
請戸のものがひとつ浪江にもどってきたということを
漁師の方から喜んでもらえた。
自分たちも請戸の人たちが頑張っていることが励みになっている
震災でコミュニティがなくなってしまった。
すべてなくなったような町だが、
もう一度、何か新しいものがでてくる、その喜びがある
山形県長井市で酒造りを再開
避難先の山形県長井市で酒造りを再開。
二つの奇跡が起こった。
ひとつは研究所に山廃酵母が残っていたこと。
酒蔵の歴史を知る酵母が残っていたことは、自分たちにとって
とても心強く、酒造り再開の根拠になった。
2つめの奇跡は、山形県長井市の東洋酒造という会社の経営を
引き継ぐ形で酒造りを再開したこと。
かなり悩んだが、まず酒造りをすることが
浪江での事業再開につながるのではないかということで、
思い切って勝負しようと、山形にうつった。
硬水から軟水への水の違い、標高の違い、冬の気候の違いなどから
原料処理がうまくいかず、なれるまで、3~4年かかってしまった。
そして造られたのが『一生幸福』。
これは、東洋酒造さんがもともともっていた銘柄。
これ以上ない祝酒の名前であり、この酒を造るからには、
元通り、お互いの土地の祝い酒にしていかないといけないと思い、
引き継いだばかりの時は重圧を感じていた。
また、地元、浪江町で多くの方が亡くなり、その家族もまだ立ち直っていない中、
生き残った自分たちが、生き切らないということをずっと考えながら
がむしゃらにやってきた。
東日本大震災からの復興
東日本大震災のとき、家族を避難させ、
自分は、消防団に入っていたので、避難誘導をした。
その避難活動中に津波が来た。
15mほどの高さの津波がきて、
この津波を見た時に一切残らないことを覚悟した。
翌日から取り残された人の捜索に入る予定だったが、
原発の状況が不安定で捜索ができず、
助かった命もあったかもしれないというのが自分たちの後悔。
浪江の名前、自分たちの生まれ育った請戸地区の名前をなくしたくない
という思いから奮起。
この地域は、皆が名前を知っている、
昔のよい風習がいまだに残っている良い地域だった。
町には、日常のひとつひとつを取り戻す喜びがある。
昨年、浪江町に戻った。
自分たちが浪江に戻った現在は、浪江のいいものを
なにかひとつ引き上げてこないといけないので、
喜び半分、責任半分の気持ちである。
浪江町で再び酒を造る!
10年ぶりの浪江町での酒造りは、浪江で身につけた酒造りの感覚、
10年間できなかったことを埋めていくような作業だった。
そしてできた酒が『ただいま』。
自分ひとりでは実現できなかった。多くの人の支援があってたどり着いた。
その感謝をこめて『ただいま』という名前にした。
『磐城壽』は、そのおよそ半年後から出荷を始めた。
同じ浪江町内でも水が変わるので、
麹菌や酵母菌の様々な組み合わせの中、どれが良いのかを最初の何ヵ月は試した。
また、『磐城壽』は地元の浜にあがる魚と合わないといけないので、
そこを探ることが再スタートだった。そして、『磐城壽』を販売。
浪江の市場は去年の4月から水揚げが始まったが、
震災前の3分の1の船の数。漁も制限されている
白身魚が有名な港だった。
再びこの請戸の魚と共に自分たちのお酒を売り出せないかと思っている。
震災前、大都市圏に自分たちの暮らしの文化を売るというのが
自分たちの喜びだった。
もう一度それをやり直そうという入口に今いる。
浪江の現場ではみんな喜びをもってやっている。それをみてほしい。
これからの夢、目標
震災後、避難した山形の長井市からは
浪江で酒造りを再開するときの材料をもらった。
そのひとつが、生ゴミを集めて肥料を作り、一次産品をつくるという
長井市がおこなっている事業。
これをみて、同じことが酒造りでできないかと考えた。
酒造りの副産物で米ぬかと酒粕がでる。
これで最初肥料を作ろうと思ったがうまくいかず、抑草剤をつくった。
自分たちにとって、長井市は第二の故郷になっている。
現在、モノづくりの現場は、コロナにより人の動きが制限され、
自分たちの情報がうまく出せない状況だが、モノづくりの現場を面白くしたい。
ものづくりに携わる人の中にはスター的な存在がたくさんいる。
たとえば、全国でトップクラスの活ジメの技術をもつ人がいる。
漁師たちも請戸のブランドを再構築したいと思っている
彼らを紹介したり、モノづくりへの思いを伝えるなど、
福島と山形それぞれの故郷の産品の情報を発信していきたい。
楽しく、日本一を目指したい。
鈴木酒造店のお酒は道の駅「なみえ」で購入できる。
(道の駅なみえ酒販ONLINE https://mdnamiesake.official.ec/ )
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