2019年06月07日

世界は緊縮を離脱しているが...

 世界経済の先行きが不透明であるというのは、ここ1ヶ月ほど様々な世界機関から発表されています。今週は、世界銀行が最新の経済見通しを発表し、先行きを下方修正しました。

<世界銀行は4日、世界経済見通しを発表し、2019年の世界全体の実質経済成長率は2.6%と予測した。1月時点から0.3ポイントの大幅な下方修正。激しさを増す米中貿易摩擦の影響が波及するとみられ、ユーロ圏などの成長率が下振れした。日本は0.8%で0.1ポイント引き下げた。>

 米中の貿易摩擦に加え、アメリカ経済も長く景気拡大期を過ごしていてそろそろ峠を超えるのではないかという懸念、さらにイギリスのEU離脱、イラン情勢など中東の地政学リスクなど、挙げればキリがないほどの不安定要素があります。ま、そのいくつかは杞憂に終わるのかもしれませんが、それにしてもこれだけの潜在的リスク要因を抱え込んでいるわけですから、各国の中央銀行や経済官庁も先行きに警戒感を抱かざるを得ません。
 特に、イギリスのEU離脱、いわゆるブレグジットを抱えるヨーロッパは要注意地域のひとつ。そのヨーロッパの中央銀行(ECB)は従来の利上げ路線を事実上諦め、長期の利上げ延期を余儀なくされました。

<ユーロ圏の金融政策を担う欧州中央銀行(ECB)は6日、リトアニアのビリニュスで定例理事会を開き、政策金利の据え置きを決定した。その上で、金利据え置きの期間を2020年上半期まで延長する方針を決めた。ECBは、19年中の利上げを断念する決定を3月に下したばかりだが、世界的に景気の先行き不透明感が増す中、利上げ時期のさらなる先送りを余儀なくされた。>

ECBの無念さが伝わってくるような文章ですが、それもそのはず、実は半年前にはECBのニュースを報じながら、日本銀行批判を声高に主張していたからです。


 見出しの通りの内容なので中身までは引きませんが、要するにアメリカもヨーロッパも引き締めに転じているのに、日本はいまだに金融緩和を行っていて置き去りにされている。世界の潮流から置き去りにされているではないか!バスに乗り遅れるな!日本も金融緩和の出口戦略を!という主張です。たまたま新旧の記事が探せたので時事通信を引きましたが、実際のところどこも大差なく同じような内容でした。
 当時物価が上がり始めたヨーロッパとすでにインフレ目標に到達せんとしていたアメリカに比べ、日本は緩和を続けても目標からは1%ほど差がありました。拙ブログでも何度も指摘していますが、目標未達の段階でさらにアクセルを踏み込むか、別のアクセルを合わせて踏み込むかの選択肢はあれど、目標未達のまま撤退するのが果たして合理的なのか?しかも、2014年に消費税を上げるまでは日銀の当初の目論見通り物価が上昇しかけていたにも関わらずです。

 そして、今回のECBの利上げ見送り報道では、政府・日銀の一連の経済政策には一切触れずに、あくまでヨーロッパの出来事ですよという報道。ちょっとダブルスタンダードに見えてしまいます。アメリカも利上げを止めるどころか、シカゴでのパウエルFRB議長の講演を受け利下げを織り込む展開になっていますし、インドやニュージーランドといった各国も引き締めから緩和に転じています。まさに、バスに乗り遅れるなで日本もステルステーパリングと呼ばれる隠れた金融引き締めから緩和に転じるべきだとは言わないのでしょうか?あるいは、市中へマネーを流し込む緩和的政策を財政面から行えば、それは財政拡張政策となります。まだ国会の会期中ですから、補正予算を組んで財政面からの緩和策を行う余地もあるでしょう。補正予算の審議のために国会延長というのは、十分に延長の理由になると思うのですが・・・。
 それに、先週、拙ブログでも指摘した通り、世界の主流派経済学者も一時的な財政赤字を恐れるあまり財政出動を躊躇することに懐疑的になっています。そして取りざたされるのは、究極の引き締め政策、消費税増税の行方です。
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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