2018年12月31日

そして課題は年を越す

 年末にかけて、韓国海軍の艦艇による火器管制レーダー照射が問題になりました。番組でも何度も取り上げ、国際的なマナーの面で非常に大きな問題であると報じてきました。一部には、こうしたことは各国が行っているし、公開された動画では砲は向いていなかったから問題ないのだという指摘もありましたが、一方で火器管制レーダーの照射は慎みましょうねという海上衝突回避規範(CUES)に反していることが明らかです。

<日米中など21カ国の海軍高官が参加する西太平洋海軍シンポジウムが22日、中国山東省青島で開幕し、海上で他国の艦船と予期せず遭遇した場合の行動規範を定めた「海上衝突回避規範(CUES)」で合意した。無線で行動目的を伝え合うほか、敵艦を攻撃する際に照射する火器管制レーダーを相手艦船に一方的に照射しないことなどを決めた。海上での偶発的な衝突を防ぐのが目的。>

 このCUESの策定段階から韓国も入っているわけですから、いかに冷戦期からやっていたレーダー照射とはいえ、時代が変わり事情が変わったと見る方が論理的でしょう。確かに"規範"であって罰則規定等はありませんから、これに反したとしても影響がないのかもしれませんが、マナー違反であることは確か。さらに、海自関係者に聞くと、こうしたマナー違反は実は日常茶飯事だったということで、現場としては我慢に我慢を、忍耐に忍耐を重ねたうえで今回の行動は目に余るということで表沙汰にしたということなのでしょう。
 マナーに反する行動を何度も行えば、相手にされなくなるのは社会人をしていれば当然のこと。国際社会だって人間と人間の関係には変わりありませんから、こんなことを続けてれば韓国政府の信用が失われかねません。日本政府が騒ぎすぎだという指摘も一部にはありますけれども、それはあまりに一方的な視座に立った指摘なのではないでしょうか。

 さて、自衛隊関連のニュースと言うとこのレーダー照射事案ばかりが注目されていますが、並行して自衛隊が災害出動している重大な案件があります。それが、岐阜県を中心に流行している豚コレラです。

<岐阜県は25日、岐阜県関市の養豚場の豚から、豚(とん)コレラウイルスの陽性反応を確認したと発表した。9月に岐阜市の養豚場で国内では26年ぶりに確認されて以来、飼育施設の豚やイノシシでの感染確認は6例目。民間の養豚場では2例目となる。殺処分の対象はこれまでの10倍以上の7547頭で、県は自衛隊に派遣を要請した。>

 クリスマスもなく陸自の部隊が派遣されていたのですが、関係者に聞くと派遣された隊員さんたちは辛かったようです。隊員さんたちは慣れないブタを相手に殺処分のため追い込んでいくわけですが、何とも言えない眼でこちらを見るんだそうですね。これ以上豚コレラを蔓延させないためには致し方無い処置なのですが、現場で割り切るためには感情を押し殺す必要がありますよね。任務とはいえ、やはりやり切れない部分があったようです。

 そして、このニュースは地元紙や大手紙の地方欄を除くとさほど大きく報じられていません。人間への感染がなく、感染した豚の肉を食べても健康への影響がないということなので大きく報じられないのかもしれませんが、個人的には大きなニュースだと感じています。というのも、人間に影響がないとはいえ海外から疫病が入ってきてさらに行政側の不手際で蔓延した可能性が報じられていますから、リスクコントロールの面からは失敗したともいえるからです。

<岐阜県美濃加茂市の県畜産研究所で3例目の豚コレラ感染が確認された。岐阜市畜産センター公園に続き、民間の模範となるべき県の施設での不手際に、農家からは「あってはならないこと」と批判の声が上がり、専門家も「防疫体制は徹底されていたのか」と疑問を投げ掛ける。
 「行政は甘く考えていたのではないか」。県内の養豚農家の男性は憤る。2例目となった畜産公園では、豚舎ごとに専用の衣服などを複数用意、使用すべきだったのに徹底していなかったことが判明。>

 さらに、この豚コレラ問題の最大の問題点は、どうやって日本に入ってきたのかがいまだ解明されていない点です。今回の豚コレラ蔓延は、豚コレラが流行している国から来た観光客がウイルスに汚染された豚肉を持ち込んだことが疑われていて、ここから野生のイノシシに感染し、イノシシから養豚場の豚にも感染したとされています。海外からの訪日客は増える一方な上、さらに来年はラグビーワールドカップにG20、再来年は東京オリンピック・パラリンピックとさらに訪日客が増える見込みです。今回の豚コレラ問題は、感染症予防、リスク管理という面で学ぶべきことが多いと思います。この件、畜産の問題ということで農林水産省が対応していますが、感染症ということであれば国立感染症研究所なども他人事ではなくノウハウを共有する必要があるのではないでしょうか?感染経路の特定、感染地域の封じ込めなどのケーススタディとなるでしょう。この問題も年を越してしまいますが、2019年早期に経路を特定し、収束して欲しいものです。

 結びに、今年一年もOK!Cozy Up!ともどもご愛顧いただきありがとうございました。朝の番組が4月に始まり、必死に走ってきたら年末まで来たというのが正直なところです。来年もおそらく必死に走り続けることになると思いますが、どうぞご愛顧いただければ幸いです。ついでに、一つ告知をさせてください。4月にはイベントもあります。


 4月13日(土)、有楽町のよみうりホール、お昼と夕方の二回公演、チケットは全席指定4400円です。年明けにぴあ先行発売があります。まだまだチケット結構ありますから、よろしくお願いいたします。
 改めて、今年一年本当にありがとうございました。皆さまどうぞ良いお年をお迎えください!
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
(2012年1月9日~2018年3月29日)

「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」
(2012年4月7日~2017年9月30日)

・「東日本大震災から7年・・・本気の備えはできていますか」
(2018年3月11日)

・「ザ・ボイススペシャル 福島県の農業は今」
(2018年1月2日)

・「ザ・ボイススペシャル 密着・不発弾処理隊 今なお眠る2200トンとの戦い」
(2014年12月30日)

・「ザ・ボイススペシャル 辺野古の声」
(2013年12月30日)

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