2018年01月15日

政権批判無罪?

 このところ、ファクトを無視したようなスピンをかけた報道が目につきます。お読みの方の中には「何を今さら、昔からだろ」と突っ込みたくなるかもしれません。ただ、最近、政権批判の為ならあからさまなファクト無視もまかり通るような記事まで出てくるような気がしています。今日もこんな記事が...。

<昨年のノーベル平和賞を受賞した非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長(35)が来日に合わせ、安倍晋三首相に面会を要請していたが日本政府から断られていたことが15日、ICANの主要運営団体「ピースボート」への取材で分かった。>

 見出しとそのあとの一文、リードの部分だけを読むと、総理官邸並びに安倍総理側はノーベル平和賞を受賞したICANの事務局長の面会の要請を無下にした!けしからん!という印象を抱きますね。去年、国連で採択された核兵器禁止条約を後押ししたICAN。一方、日本政府は、唯一の被爆国ですが、様々な国際関係、安保環境を睨んでこの核兵器禁止条約に賛同しませんでした。そうした日本政府の姿勢に対する批判も相まって、こうした見出し、記事の書きぶりになったのでしょう。2行目にはさらに詳しく、

<ピースボートによると、ICANは昨年12月下旬から内閣府を通じて2回、安倍首相との面会を求めた。しかし外務省から今月14日までに「日程の都合が合わず面会できない」との回答があった。>

としています。ここまで読めば、一度ならず、二度も断ってきた!全くけしからん!という印象を持ちますね。ちなみに、総理は今、バルト三国から東欧歴訪に出ていて、日本に不在です。帰国は17日の予定ですから、普通に考えれば外交日程が入っているから断ったというところでしょう。ただ一つ検証が必要なのは、ICAN側からの要請があった時点で外交日程が決まっていたかどうか。もし後から外交日程を入れて断る口実にしたとすれば、それは批判されてもある程度仕方がないことです。

 一方で、ICAN側も訪日まで一か月を切ってから面会を要請したわけです。その上、間に年末年始を含みますから実質2~3週前のオファー。総理の日程を抑えるのに適切だったのかどうかも問われそうです。ではその時点で、この1月中旬の総理の予定がどうなっていたのかというと...、

<政府は、安倍晋三首相が来年1月中旬にバルト3国のエストニアを訪問する調整に入った。同国訪問は第1次安倍内閣を含めて初めて。海外訪問の日程は1週間程度とみられ、周辺国の歴訪も検討している。>

 12月中旬の時点で、すでに今回のバルト三国・東欧訪問の最初の訪問国、エストニアに関しては調整が始まっていました。というか、こうして「政府は」を主語にして公開情報として国名まで出るということは、常識的には何か突発的な事態が起こらない限り訪問するということ。むしろ、ここまで国名が出たのに訪問しないとなるとそちらのほうが余程外交的な非礼となります。
 その上、エストニアは去年の7月の欧州歴訪時に訪問するはずだったものが、九州北部豪雨の対応のため土壇場でキャンセルをした国。言葉は悪いですが、一度貸しを作っている国ですから、二度目の直前キャンセルはあり得ません。

 つまり、12月の中旬の時点で、1月中旬に総理が少なくともエストニアに向けて出発することはほぼほぼ決まっていたというわけですね。

 その状況の中で、12月の下旬に1月中旬の面会予定が来たらどうなるか...?1度ならず2度要請されても、「もう予定入っているし...」と断らざるを得ないのではないでしょうか?共同通信ほどの大きな報道機関なら、そうした事情も周りで取材していれば分かっているはずなんですが、政治部と社会部では縦割りなのか反映されていません。政権批判のためなら、「エビデンス?ねーよそんなもん。」なのだとしたら、心ある共同の記者は怒らなくてはいけないと思います。
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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「飯田浩司そこまで言うか!」

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