いよいよ選挙戦本番に突入した今回の衆議院議員選挙。公示前の新党結成などを経て3極の戦いなどと言われますが、その紆余曲折の中でクローズアップされた言葉があります。
それが、「リベラル」。
民進党の衆議院側と希望の党との合流で、「リベラル系排除」の方針が伝わり、実際にふるいにかけられるに当たって、リベラルって何だ?とばかりに各紙が解説記事を書きました。
<衆院選の直前から「リベラル」(liberal)という言葉に接する機会が増えた。民進党が分裂し、保守を掲げる「希望の党」への合流組と、民進リベラル派を集めた「立憲民主党」などに分かれたのがきっかけだ。専門家は「個人の自由を尊重する思想的な立場」という本来の意味から外れて、日本ではある特定の「平和主義者」や「左派」を指すと指摘する。>
各記事に共通するのは、本来の意味である「個人の自由を尊重する」という立場から少し外れ、戦後の基本的人権や平和主義に価値を置き、自主憲法制定を目指す自民党に反対という立場をとっているという点。戦後の東西冷戦下での保守対革新の対決を引きずり、とはいえ当時のように社会主義を目指すとは今更言えないので、ある意味革新陣営の主張から社会主義だけ抜いたような人権・平和の理念を掲げていると言えます。
海外のリベラルのように「個人の自由を尊重する」ので、外国人であっても日本の政治にかかわることも自由だろうということで外国人参政権に賛成であったり、あまねくすべての人に自由に生きる権利があるだろうということでどちらかというと福祉政策を重点に置いています。
一方、海外のリベラルと最も違うところが、経済政策。福祉政策をやるにもお金が要りますが、それをなぜか日本のリベラル勢力といわれる人たちは主に増税で賄おうとします。それが所得税増税や法人税増税ならばああリベラルだとわかるわけですが、なぜか消費税増税にこだわります。金融緩和には懐疑的で、国債でこれらの福祉財政を賄うことは極端に嫌がります。また、構造改革などの規制緩和を志向しています。経済に関しては新聞を読んでも右も左も増税・財政規律重視ばかりなのでかえってわかりづらいのですが、いわゆるリベラル・左派といわれる朝日新聞や毎日新聞が消費税増税すべき、金融緩和はもう止めるべき、そんなことより構造改革!と主張していることからも分かります。
ということで、政治的には改憲反対、経済面では金融緩和に反対で増税志向と、この部分はまるで保守。福祉政策を重視するところだけが、海外におけるリベラルっぽい部分です。自分はリベラルだと思っていても、この経済政策の部分がどうも引っかかるよなぁという方もいらっしゃるのではないでしょうか?私も、経済的にはリベラルだと思っているんですが、現実に日本のリベラル派とは全く主張が違うので戸惑ってしまいます。自分の思考が世界の物差しで見るとどうなのか?それがわかる「政党座標テスト」をやってみました。
これは「政府は、裕福層から貧困層に財産を再分配すべきである」など36問の質問に、1.同意するから5.同意しないまで5段階で自分の気持ちを選んで答えていくと、自分の政治的な志向がわかるというもの。36問を答え切ると、横軸が左派・右派で縦軸が共同体主義か自由主義かでプロットしてくれるのです。
私はといえば、25.0%左派、8.3%自由主義者という結果が出ました。過去の大統領や著名学者と比較すると、ビル・クリントン氏と最も近いようです...。
ん~、率直に言って、驚きました。右派の左派寄りに出るだろうと思っていたのが、逆に左派の右派寄りに出ましたからね。ただ、4分円の解説は納得のいくものでした。
<この象限に当てはまる人は、必要な人々に社会的利益を与えるため、市場に課税をする一方で、個人の自由を支持しようとしています。>
まさに日本と世界のリベラル経済政策の捻じれが出たんでしょう。このブログで何度も書いてきていますが、金融緩和には賛成ですし、富裕層から貧困層への再分配政策もアリだと思っていますので、その分左派に振れたんでしょうかね。
さて、直前で政党の枠組みが変化したりで目まぐるしかった今回の選挙。ご自身の選挙区でも政党や候補者が変わったりで、今までとは違いいろいろなことを思いめぐらしている方もいるかもしれません。一票を投じる前に一度テストを受けておくと、考えが整理されるかも知れませんよ。