2016年10月05日

野党共闘は毒か薬か

 来週告示される衆議院の2つの選挙区の補欠選挙。民進党と共産党は参院選に続いて野党共闘する選択をしたようです。

『民共が補選の候補一本化で合意 蓮舫氏、野党共闘明確に』(10月4日 共同通信)https://goo.gl/v53WNf
<民進、共産両党が衆院東京10区、福岡6区両補欠選挙(11日告示、23日投開票)について候補者の一本化で合意した。共産党が両選挙区で候補者を取り下げる。両党関係者が4日明らかにした。7月の参院選で野党連携を進めた民進党の岡田克也前代表の路線を、蓮舫代表が継承する方針が明確になった。5日の生活、社民両党を加えた野党4党の幹事長・書記局長会談で正式決定する。>

 もともと民進党の蓮舫代表は野党共闘には慎重な姿勢を示してきました。特に、政権選択の衆院選に関しては共闘によるデメリットも気にしていたようです。
 しかし、一部報道では「今回の補選は政権選択の選挙ではない」ということで、共闘に舵を切ったとされていますが、上に挙げた共同通信の記事には<安倍晋三首相が来年1月の通常国会冒頭で衆院解散に踏み切るとの観測を考慮し、今後も共闘を重視する姿勢にかじを切った。>と書かれていて、今後の共闘にも含みを残しているようです。先日、ザ・ボイスに出演した民進党の選挙対策委員長、馬淵澄夫衆議院議員も「共闘にはメリットもデメリットもあった。これを精査しなければ次にどうするとは判断できないはずだ」と指摘していました。ということは、蓮舫代表はデメリットよりもメリットの方が大きいと判断したんでしょうか?

 たしかに、2つの補選のうち、福岡6区は特に共闘のメリットがありそうです。というのも、ここは保守分裂選挙となりそうだからです。

『自民党本部の公認候補擁立断念 鳩山邦夫氏の次男VS党県連会長の長男 勝者が追加公認に 世論調査では鳩山氏リードだが...』(9月30日 産経新聞)https://goo.gl/6WTGEs
<自民党は30日、鳩山邦夫元総務相の死去に伴う衆院福岡6区補欠選挙(11日告示、23日投開票)で公認候補を擁立しない方針を党福岡県連に伝えた。補選には、党本部に公認を求めていた林芳正元農林水産相秘書の蔵内謙氏と、鳩山氏の次男で前福岡県大川市長の二郎氏が出馬を表明。両氏は無所属で出馬する意向で、分裂選挙が確実となった。党執行部は勝者を追加公認する方針だ。>

 これが、ただの分裂選挙ではなく、国政の大物がそれぞれの陣営に肩入れしているだけに自民党本部としては頭を悩ませる事態です。蔵内氏側には、麻生財務大臣や古賀誠元衆議院議員といった現役、OBの大物が支援。一方の鳩山氏側には菅官房長官が支援していて、双方引くに引けない事情があります。ある政界関係者は、
「産経の見出しにある通り、世論調査は鳩山氏リードだが、蔵内の選対幹部は絶対に巻き返すと士気は旺盛。最後まで分からない」
と話していました。

 衆院小選挙区は当選者が一人。保守分裂となれば当選ラインの得票数が下がるわけで、そうなれば共闘にも勝機が出てくるということ。それを狙って民進党と共産党は手を組むわけですが、これに危機感を持つ向きもあります。そう明かしてくれたのは、ある民進党関係者なんですが、彼はまず、2009年を思い出せと言いました。
 あの2009年の政権交代選挙でどうして当時の民主党が大勝することが出来たのか?まずは当時の民主党支持層、連合の票があった。次に、約半数の選挙区で共産党が候補を立てなかったという、今の野党共闘のような構図があったので左寄りの票が流れてきた。さらに、自民党政権に飽いた無党派層や自民支持層の票が流れてきた。この三位一体で政権を奪取したのだと言います。
 その上でこの3つのファクターを分析すると、連合などの民主支持層はほぼ計算できる。共産支持票を含めた左派の票もある程度、6割ほどはついてきてくれる票。ただ、この2つでは自民党の固定票に勝てなかった。3つめの、政権に飽いた無党派層や保守支持票が流れてきたからこそ勝てたのだ。

 そして、この構図は今もさほど変わっていないようです。過去2回の総選挙で負け、7月の参院選で野党共闘しながらも特に西日本の接戦区を落としたのは、上で挙げた3つめのファクター、保守系無党派の受け皿になれなかったからではないでしょうか?

 今、この関係者が密かに危惧するのが、そこのところ。
「野党共闘して、民進の候補が共産党の選挙カーに乗って、共産党の議員と手をつないで演説してごらん。中道保守で政権に疑問を持つ無党派の票はほとんど入ってこないよ。いかに共産に組織力があるって言っても、それだけじゃ政権を取れるほどの大勝は期待できないよ...」

 55年体制のような、3分の1野党を目指すのならそれでもいいでしょう。野党共闘でそれくらいの基礎票は確保することが出来るでしょうから。ちなみに、3分の1野党とは、衆参それぞれで全議席の3分の1は確保して憲法の発議だけは阻止するが、さりとて政権を狙うような大勝は出来ない当時の社会党を皮肉った言葉。
 仮にも一度政権を取り、3年3か月政権を担った党がそれでいいのか?補選よりも、その先でどういった判断をするのか、注目です。

福岡6区補選立候補予定者(10月5日現在 敬称略)
・鳩山二郎(無所属)
・蔵内謙(無所属)
・新井富美子(民進)
・西原忠弘(幸福実現)
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
(2012年1月9日~2018年3月29日)

「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」
(2012年4月7日~2017年9月30日)

・「東日本大震災から7年・・・本気の備えはできていますか」
(2018年3月11日)

・「ザ・ボイススペシャル 福島県の農業は今」
(2018年1月2日)

・「ザ・ボイススペシャル 密着・不発弾処理隊 今なお眠る2200トンとの戦い」
(2014年12月30日)

・「ザ・ボイススペシャル 辺野古の声」
(2013年12月30日)

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