2016年09月19日

この国の危機感は...?

 安全保障関連法が成立して1年となりました。当時反対していた人たちが今日、国会前に集まり抗議しました。

『安保法成立1年 廃止するまで諦めない...国会前で抗議集会』(9月19日 毎日新聞)https://goo.gl/zps3at
<安全保障関連法の成立から1年となった19日、東京・国会前で抗議集会が開かれた。雨が降り続く中、市民らが「みんなの力で憲法守ろう」「廃止するまで諦めない」と反対の声を上げた。>
<野党の民進、共産、社民、生活4党の国会議員も参加。民進の岡田克也前代表は「憲法違反の法律は何年たっても憲法違反。それを廃止していくのが国会の仕事だ」と訴えた。>

 仮にこの法律が憲法違反なのであれば、憲法が変わらない限り違憲であることは変わらないでしょう。ただし、日本を取り巻く安全保障環境はこの1年で大きく変わりました。もちろん、悪い方向に変わっています。

『北朝鮮、5度目の核実験 爆発、過去最大級か』(9月9日 朝日新聞)https://goo.gl/aUkyGI
<北朝鮮は9日午前9時(日本時間午前9時30分)、咸鏡北道吉州郡豊渓里(ハムギョンプクトキルジュグンプンゲリ)の実験場で5回目となる核実験を実施した。朝鮮中央テレビは同日午後1時(同午後1時30分)、「核弾頭の威力を判定する核爆発実験を行った」と発表した。「計算通りの結果が出た」とし、実験の成功を主張した。>

 これにより、核の小型化に成功したのではないかと言われています。
 そして、さらに具合が悪いのが、今年に入ってから北朝鮮は長・短、地上から、あるいは潜水艦から合わせて37回もミサイルを発射しています。最近では、日本の排他的経済水域の端、ギリギリのところに狙ってノドンミサイルを撃ってきたのも記憶に新しいところ。このノドンミサイルの射程は1300キロほどだと言われていて、本州の大部分が収まります。

 核の小型化と、精度を上げつつあるミサイル。
 この2つが重なることで、日本を取り巻く安全保障環境が劇的に悪化しています。
今この瞬間も、北の指導者が決断するだけで本州の大都市が核攻撃される危険を孕んでいるのです。これを危機と言わずして何と表現すればいいのでしょう?もはや、思想の右や左というのは関係なく、潜在的な国家存亡の危機を迎えている中、どのように国を守るかを議論しなくてはいけないのではないでしょうか?そのためには、今のままではアメリカの抑止力を頼りにするより他に方法がありません。憲法9条によって「専守防衛」を旨とする日本の自衛隊には、海外のリスクを自ら取り除く意志も能力もないわけですから。

 本来ならば、憲法を改正するか否かも含め、何が最善かを議論しなくてはいけないはずです。それも、いつ撃ってくるかわからないんですから、喫緊の議論が必要なはず。しかし、マスコミも含めてそうした危機感を持って国民的議論がされているとは到底言えませんよね。

 テールリスクという言葉があります。

『テール‐リスク【tail risk】』(goo辞書)https://goo.gl/xSKLvM
<確率は低いが、発生すると非常に巨大な損失をもたらすリスク。>

 福島原発事故のあと、原子力発電所の再稼働がニュースになるたびにこの言葉が紹介されています。このリスクを取り去れない以上、原発は再稼働すべきではないということも良く言われています。
 では、北からの核攻撃もこのテールリスクに他ならないのではないでしょうか?このリスクが取り去れない以上、我が国は備える必要があります。それはミサイル防衛能力の構築なのか、憲法を改正して敵基地攻撃能力を持つようにするのか、あるいは日本も核武装することも選択肢に入ってくるのかもしれません。何もせず、むしろ去年成立した安保法制を破棄せよと主張するのであれば、北朝鮮が核ミサイルを撃ってこないという証明をしなくてはいけないと私は思います。

 いい加減、「平和ボケ」から目覚める必要があるのではないでしょうか?
書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

■Twitter
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