2016年05月23日

今度は別の風が...

 先週末、どこからともなく強い解散風が吹きました。いよいよサミットを控え、国会も最終盤。様々な憶測が飛び交う中ですが、今度は意外なところから正反対の風が吹きました。

 一地方の首長選挙が東京・永田町の空気に微妙な波紋を投げかけています。それが、和歌山県・御坊市長選挙です。結果からご紹介しますと、現職で無所属の柏木征夫氏が7選を果たしました。しかし、この選挙の核心は勝った柏木氏ではありません。負けた方が問題で、各社それを見出しに取っています。

『二階氏長男が敗れる 現職7選 和歌山・御坊市長選』(5月22日 朝日新聞)http://goo.gl/7RXW1n
<和歌山県御坊市長選が22日投開票され、現職で無所属の柏木征夫(いくお)氏(75)が、自民党総務会長の二階俊博氏(77)の長男で元秘書の俊樹氏(51)=無所属、自・公推薦=を破り、現役市長では全国最多の7選を果たした。>

 二階総務会長の長男、俊樹氏が負けたというだけでなく、その負け方も衝撃を与えました。柏木氏9375票に対し、二階氏は5886票にとどまったのです。
 首長選挙は実績をアピールしやすい現職有利とも言われますが、一方で今まで6期24年という多選批判も一定の支持を得やすい中での選挙でした。二階氏は若さと変革をアピールしたんですが、それも及ばなかったわけですね。さらに、永田町を驚かせたのは、この選挙がただの首長選挙ではなく、二階陣営が国政選挙張りの応援体制を敷いたからです。

<俊樹氏は父親の政界人脈も使った国政並みの組織戦で臨み、千人規模の集会を重ねた。告示前後から自民党の稲田朋美政調会長や森山裕農林水産相、小泉進次郎氏、漆原良夫・公明党中央幹事会長ら国会議員が次々と御坊入り。当初は静観していた父の二階氏も告示後は御坊市に詰めてマイクを握るなど精力的に長男を支援した。>

 市長選は告示からの選挙期間は1週間。たった1週間の間に現職の閣僚や自民・公明両党の幹部、さらに今人気No.1の小泉進次郎氏まで選挙区入り。これだけの顔が選挙区に入れば人もたくさん集まるわけですし、人が集まれば目立たないながらも候補者の顔と名前も覚えてもらえる。となれば勝つことが出来るだろうと考えるのが普通です。負けるにしても、これだけ大差で負けてしまうとは思わないわけですね。

 ある政界関係者はこう分析しています。
「これだけカンフル剤を打てるだけ打ったのに惨敗というのは、与党への消極的支持が案外脆かったことを示している。選挙区が都道府県単位の参院選に対して、衆院選は市区町村単位に近い。当初の楽勝ムードから一転、非常に苦戦した北海道5区補選と併せて、衆院小選挙区では厳しいという結論になるよね」
また、与党担当記者は、
「もともとダブル選挙に消極的な官房長官と、積極的な総理や総務会長で綱引きが行われ続けてきたと言われている。このバランスに微妙に影響を及ぼす可能性がある」
と指摘しました。
 ダブル選挙に踏み出した時に、衆議院でも議席を減らすようなことがあれば解散のメリットはありません。まして、改憲を目指す現政権はその発議を行うのに必要な議員総数の3分の2獲得を最終的な目標としています。議席を減らすことが分かっているのに解散はなかなか打ちづらいわけですね。

 さて、2つの風が正面からぶつかると、風は四方八方に散らばるそうです。果たして永田町の風はどこへ向かうのか?ダブルかシングル(参院選のみ)か、はたまた都知事選まで絡むのか?会期末まであと10日。読みづらくなってきました。
書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

■Twitter
「飯田浩司そこまで言うか!」

■会員制ファンクラブ(CAMPFIREファンクラブ)
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