2016年01月05日

で、いつ解散するの?

 今年は1月4日が月曜日で、今週からすでにトップギアでの仕事を余儀なくされている方も多いかもしれません。国会も1月4日に召集されたので、永田町にも何だか慌ただしい空気が漂っています。総理の年頭記者会見もこの日の10時から行われましたので、記者も関係者も議員も、早くもトップギアで仕事をする空気。もちろん、動かすだけで税金が消えていく国会ですから、目一杯働いてもらうに越したことはありません。

 ただ、この何となくソワソワしたこの空気は1月4日がスタートだったからだけではありません。すでに何度も報じられていますし、ザ・ボイスでも何度も扱った「衆参ダブル選挙」の観測がまことしやかにささやかれているからというのも大きいようです。

『参院選へ与野党攻防=くすぶるダブル選、緊迫も-今年の政局展望』(1月1日 時事通信)http://goo.gl/7Q002z
<2016年の政局は、最大の政治決戦となる夏の参院選をにらみ、与野党が4日召集の通常国会を舞台に激しい攻防を繰り広げる展開となる。安倍晋三首相が参院選に勝利して長期政権への足場固めを狙うのに対し、民主党は野党共闘を進めて反転攻勢をうかがう。首相が参院選に合わせて衆院解散・総選挙に踏み切るとの臆測もくすぶり、政局が一気に緊迫する可能性もはらむ。>
<与野党が注視するのが衆参ダブル選の可能性。世論の反発や景気の落ち込みが予想される消費税増税後の衆院解散を避けるなら、夏の参院選との同時実施が安倍政権にとって「得策」(自民党幹部)との見方からだ。通常国会会期末の6月1日に解散すれば、公職選挙法の規定により、7月10日の同日選が可能となる。>

 1月から3月のGDP一次速報が出るのがだいたい5月の中旬から下旬。二次速報値でも6月の初旬。前回の消費税増税先送りの時と同じように、その数字を一つの大義名分として増税の再延期を決定。衆院解散、ダブル選挙で国民の信を問うのではないかというのが主なシナリオです。昨年末にすでにくすぶっていたこのダブル選。野党問わず、ダブル選についての言及が年が明けても止まりません。

『衆参ダブル選、否定的な見解...菅官房長官』(1月4日 読売新聞)http://goo.gl/qmfUIX
<菅官房長官は3日の文化放送のラジオ番組で、次期衆院選が夏の参院選と同日選となる衆参ダブル選について、「個人的には必ずしも有効だとは思わない」と述べ、否定的な見解を示した。>

『小沢氏「同日選、少しずつ現実味」』(1月2日 日本経済新聞)http://goo.gl/E3m2Zi
<生活の党の小沢一郎共同代表は1日、今夏の衆参同日選の可能性に関して「少しずつ現実味を帯びてきた」と指摘し、野党勢力の大同団結が必要だとの認識を示した。自身に近い国会議員らを東京都内の私邸に集めて開いた新年会で語った。>

『衆参ダブル選挙、ないのでないか=甘利再生相』(1月4日 ロイター通信)http://goo.gl/o5LXGy
<甘利明経済再生相は4日の年頭閣議後会見で、取り沙汰されている衆参ダブル選挙の可能性について「首相の専権事項だが、個人的にはないのでないか」と述べた。>

 総理の判断を縛るわけにはいきませんから、ダブル選はないのでは?という意見は閣僚に多いわけなんですが、政界関係者もだいたい半信半疑。というのも、「ない」という根拠もまた、もっともらしいのです。

 たとえば、公明党が反対している。公明党と、その支持母体、創価学会が反対しているから、与党としては解散総選挙に踏み切りづらいというのが理由です。院選だけでも、選挙区と比例代表の2票を投じるこの選挙。候補者名や政党名を浸透させるのが単独でも大変なのに、それに加えて衆院選までは厳しいという意見です。

 さらに最近ささやかれる噂は、「それでは東京オリンピックに間に合わない」という説。仮に今年衆参ダブル選挙をやるとすると、参議院議員の任期は6年ですから2022年7月までとなりオリンピックにバッティングしませんが、衆議院議員の任期は4年ですから2020年7月までとなり、見事にオリンピックと被ってしまうんですね。ちなみに、オリンピックの方はすでに日程が確定しています。

『大会日程』(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会HP)https://goo.gl/0t6uv2
<オリンピック競技大会開催概要
正式名称:第32回オリンピック競技大会(2020/東京)
英文名称:The Games of the XXXII Olympiad
開催期間:2020年7月24日(金)~8月9日(日)
競技数:28競技>

 とはいえ、オリンピックを意識して解散を先延ばしにすると、予定通りならば2017年4月の消費増税がやって来ます。消費増税をした上で選挙をやった場合、どんなに対策に財政出動を積み重ねても景気が悪くなってしまうのは前回5%から8%に上げたときで証明済み。しろ、消費税を上げてもビクともしなかったのは、導入時の1989年だけ。の時はバブル景気のまっただ中で、そのくらいの超好景気でない限り消費税増税は景気に冷や水となってしまうのは歴史が証明しています。いうことで、景気が悪くなった中で解散総選挙をやって勝てるのか?おそらく無理でしょう。増税をさらに先送りするなら当然もう一度民意を問う必要がありますが、増税するならするで、戦術上勝てそうな2017年4月よりも前に解散総選挙をやっておきたいと思うのが人情というもの。そこで浮上してくる日程が、秋から冬解散の可能性です。ある政界関係者が教えてくれました。

「増税と解散を切り離して純粋にいつ解散すれば勝てそうかで考えると、臨時国会冒頭、あるいは臨時国会のお尻での解散だって考えられる。参院選と衆院選を分ければ公明党は納得するし、通常国会をせいぜい小幅延長で閉じざるを得ない以上、秋に臨時国会を開くことには野党も反対できない。とはいえ冒頭はちょっと乱暴だから、可能性が高いのは臨時国会閉幕直前解散かな。12月投票の選挙は安倍政権にとってはゲンがいいからね」

 この仮説、そもそも安倍総理が総理としてオリンピックの開会式に立つということが前提となってますから、そこまでの長期政権を志向するのか?というところが問題になってくるわけです。オリンピックまで総理でいるためには、自民党総裁の任期の縛りも変更しなくてはいけませんしね。ただ、中曽根総理の時のように選挙に勝てば総裁任期の延長だって可能なわけで、そうなるとますます勝てるときに選挙するのではないか?と周りは考えます。

 このソワソワ感、しばらくはやみそうにありません。
書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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