自民・公明両党が来年度の与党税制大綱を決めました。
<自民、公明両党は16日、2016年度与党税制改正大綱を決めた。
消費税の軽減税率を2017年4月から導入することを明記。酒類と外食を除く「食品全般」と新聞を軽減対象とした。軽減対象の税率は8%、対象外は10%となる。>
ここ1、2週間、毎日毎日報道されてきたこの軽減税率問題。どこで線引きをするのか、生鮮食品か、加工食品か、外食も含めるのか。の際グレーゾーンになるのはこういった事例だ、これはまだ決まっていないなどなど、手を変え品を変え相当な紙幅を割いて各紙報じてきましたが、一つだけ少ししか報じられていない軽減税率があります。
それが、新聞に対する軽減税率。いよいよ税制大綱を決定すると言われた10日(木)にシレッと軽減税率の中に入ってきて、各紙、ベタ記事レベル、最小限の触れ方しかしませんでした。
<自民、公明両党は15日、10%への消費税増税時に導入する軽減税率に新聞を適用すると決めた。日刊か週2回以上発行する新聞を定期購読する場合に、8%の税率が適用される。駅売りの新聞や新聞の電子版などは対象外となる。
書籍・雑誌の扱いは、暴力や性的な表現を含むものを切り分けることが難しいとして引き続き検討するとし、結論を先送りした。>
今まで軽減税率の適用を求めて業界を挙げて運動してきました。各紙も何度も何度も軽減税率の適用を求める記事を社説で主張し続けてきました。つい最近も、ダメ押しのように各紙社説で主張しています。
<海外では、軽減税率を採用する大半の国が、食品と並んで新聞や出版物を対象にしている。
新聞と出版物は、民主主義の発展や活字文化の振興に貢献してきた。単なる消費財でなく、豊かな国民生活を維持するのに欠かせない公共財と言える。
こうした社会的役割を踏まえ、日本でも、新聞と出版物に軽減税率を適用すべきである。>
<また、与党間では新聞も対象にするよう調整しているという。欧州では書籍類も含め、「知識には課税しない」という考え方が定着しており、日本でもそれをふまえた制度設計が望ましい。>
これだけの大キャンペーンの末、軽減税率適用を勝ち取ったわけですから、それを大々的に書いてもいいような気がします。ところがむしろ、あんまり大きく扱ってほしくない、でも書かないわけにもいかないからアリバイ作りという雰囲気がするこのベタ記事扱い。
そもそも軽減税率は低所得者対策とされてきたのに、なぜ新聞だけは<民主主義の発展や活字文化の振興>目的となるのか?それなら、書籍は?雑誌は?
さらに、<民主主義の発展や活字文化の振興>のために新聞があるのであれば、なぜ<日刊か週2回以上発行する新聞を定期購読する場合>に限られるのか?同じ内容なのに、駅売りの新聞は<民主主義の発展や活字文化の振興>には貢献せず、宅配の新聞は貢献するんだそうです。どう考えてもおかしい...。
というか、こんな突っ込みどころ満載なのに、なぜ無理やりにでも軽減税率適用を押し通したのか?これについて、ある政府関係者が解説してくれました。
「定期購読の新聞と駅売りの新聞の違いは何か?それを考えれば自ずと答えは出て来る。定期購読には、間に販売店が入ってくる。ここがポイント。果たして、販売店は定期購読分の部数だけを扱っているのかな?定期購読分以上の部数の問題、いわゆる『残紙』については昨今問題となってきた。それが、消費税増税で仕入れの負担が増えて顕在化してはマズイ。新聞社だって、背に腹は代えられないのさ」
新聞の軽減税率適用。その裏には様々なしがらみがまとわりついているようです。しかし、ここまでして2017年4月に増税し、軽減税率を運用すべきなのでしょうか...?