2015年07月21日

政権の危機とは...?

 安全保障関連法案について「強行」採決を受けて先週末に各社世論調査が行われました。内閣支持率が軒並み不支持率を上回ったということで、特に安保法制に反対の論陣を張るリベラル系の新聞は大きく報じています。

『【共同通信世論調査】 内閣支持急落37%で最低 不支持過半数、初の逆転 安保衆院採決73%批判』(7月19日 共同通信)http://goo.gl/Li3yJU
<共同通信社が17、18両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、内閣支持率は37・7%で、前回6月の47・4%から9・7ポイント急落した。2012年12月の第2次安倍政権発足以降で最低。不支持率は51・6%(前回43・0%)と過半数に達し、 比較できる同種の調査で初めて 支持と不支持が逆転した。与党が16日の衆院本会議で多くの野党が退席や欠席をする中、安全保障関連法案を採決したことに「よくなかった」との回答が73・3%を占めた。「よかった」は21・4%。>

『本社世論調査:内閣支持率急落35% 不支持51%』(毎日新聞 7月19日)http://goo.gl/gT6PXO
<安倍内閣の支持率は今月4、5両日の前回調査より7ポイント減の35%で、第2次安倍内閣発足後で最低となった。不支持率は前回より8ポイント増の51%と初めて半数に達した。与党が15日の衆院平和安全法制特別委員会で安保法案を強行採決したことについては「問題だ」との回答が68%で、「問題ではない」の24%を大きく上回った。安保法案への世論の批判は強まっており、政府・与党の一連の対応が内閣支持率を押し下げたとみられる。>

『内閣不支持46%、支持37% 朝日新聞社世論調査』(朝日新聞 7月20日)http://goo.gl/fMxaEc
<安倍内閣の支持率は37%(前回39%)、不支持率は46%(同42%)で、第2次安倍内閣の発足以降、支持率は最低、不支持率は最高だった。安保関連法案の衆院可決への進め方は、69%が「よくなかった」と回答。>

 安保法制反対の各紙のみならず、賛成の産経新聞まで悲観的な見出しを取ったと一部では評判になっています。

『内閣支持と不支持が初めて逆転』(産経新聞 7月20日)http://goo.gl/38NHtV
<産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が18、19両日に実施した合同世論調査によると、第2次安倍晋三内閣の発足以降、支持率と不支持率が初めて逆転した。支持率は39・3%で、前回調査(6月27、28両日実施)より6・8ポイント減少。不支持率は52・6%で、10・2ポイント上昇した。>

 リベラルな放送局の中には、安倍政権シンパの産経がついに屈した!これは政権の危機の表れだというような論評をしているところもありました。しかし、政界関係者に話を聞いていくと、また違った見方があります。
「この集団的自衛権の行使も含む安全保障法制については、去年の7月に閣議決定して以来ずっと説明をしてきた。ある意味、このくらいの支持率の減少は織り込み済みとも言える。それを証拠に、今回の採決で野党は評価されていない」
 たしかに、今回の採決での野党の対応を聞いた質問では、厳しい回答が並びました。

『世論調査―質問と回答〈7月18、19日実施〉』(朝日新聞 7月20日)http://goo.gl/omw6vA
<◆安全保障関連法案をめぐる野党の対応を、評価しますか。評価しませんか。
評価する 21評価しない 55>

(前述 産経新聞)
<これまでの国会審議で野党が果たした役割については「あまり評価しない」が48%、「まったく評価しない」が20・3%だった。>

 いずれも、野党を評価しないという回答が過半数を占めています。政党支持率を見ても、自民が微減する一方、一番伸びているのは「支持政党なし」であり、野党には支持が広がっていないことが裏付けられています。というわけで、メディアは、安保法制が安倍政権の体力を奪っているとはやし立てますが、そうではない。永田町での危機感は安保法制とは別のところにあるようです。そういえば、安保は粛々と進める一方で、そういえばタイミングをほぼ一にしてこんなニュースが流れました。

『新国立競技場 首相「計画を白紙に戻す」』(NHK 7月17日)http://goo.gl/uRknWH
<安倍総理大臣は、総理大臣官邸で、記者団に対し、東京オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムとなる新しい国立競技場について、「現在の計画を白紙に戻し、ゼロベースで計画を見直すと決断した」と述べ、計画を見直す方針を表明するとともに、下村文部科学大臣らに新しい計画を速やかに作成するよう指示したことを明らかにしました。>

 自民党の選対幹部が解説します。
「インターネットの書き込みなどを分析すると、実は安保よりも新国立競技場の迷走の方がよほど我が党に影響がある。選挙区に戻ると新国立についてどうなっているんだと言われる、このままでは持たないという声が上がってくる。だから、先週の総務会も大荒れになったし、総理も重い腰を上げざるを得なかったわけだ」

 新国立競技場の計画白紙については、いずれの新聞も7割~8割が評価していますから、この選対の読みは正しかったということがわかります。かつて、外交・安保は票にならないと言われていました。むしろ、新国立競技場のような身近なイシューの方が選挙には効く。そう考えると、今後の政局的な注目点は粛々と成立していく安保法制ではなく、新国立競技場の再選考のプロセスの方なのかもしれません。一体どうやって選ぶのか、それについてはまだ何も発表されていませんし、JSCや文部科学省はこの迷走の責任をとって誰かが辞任したりということはありません。今日、遠藤オリンピック担当大臣を議長とする関係閣僚会議が立ち上がりましたが、こうした前回選考のプロセスの問題を解明し、国民の納得する形で決定してもらいたいと思います。
 さもなくば、政権の本当の危機になってしまうかもしれません。
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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