2015年01月12日

民主党の今後は?

 民主党の代表選をニュースで扱っても、盛り上がらなくて困っています。今月18日が投票日で、本来ならばもうちょっと白熱してもいいんですが、不毛な暴露合戦の言い合い以外に取り扱うトピックがありません。まず、立候補者3名をおさらいしておくと...

『民主党代表選の立候補者』(時事通信 1月7日)http://goo.gl/UP4dRk
<民主党代表選が7日午前、告示され、長妻昭元厚生労働相(54)、細野豪志元幹事長(43)、岡田克也代表代行(61)が立候補を届け出る。>

 この中で、もともと野党再編を論じていたのが細野さん。仮に民主党を割ったとしても再編の触媒になろうという主張をしていて、当初はそこが争点だと言われていました。岡田さんの立候補も、細野さんの再編路線を危惧してというのが定説です。しかし、細野さんは徐々に、民主党の再生が第一で再編はその後と微妙にスタンスを変えてきました。それは、去年の年末にすでに報じられていたことです。

『【民主代表選】 野党再編の争点化警戒 細野氏、集票へ慎重姿勢』(共同通信 2014年12月23日)http://goo.gl/eLa395
<来年1月の民主党代表選に向けて真っ先に立候補を表明した細野豪志元幹事長が、野党再編の争点化を警戒し、慎重な物言いに徹し始めた。持論である再編を強調しすぎれば「自主再建派」の反発を招いて不利になるだけに、現執行部の不手際や、党の立て直しを前面に打ち出して支持拡大を狙う作戦だ。>

 これについて、先日日本記者クラブでの立候補者討論会で岡田さんが細野さんに対し、<衆院選公示前には、維新の党などとの結集を目指し、新党結成を海江田万里代表や岡田氏に訴えていた>(前述・共同通信)ことについて説明を要求。細野さんは、政治家同士の内々の話を暴露するのは少し残念と答えました。こうして始まった泥仕合、先日は細野さんが「停戦」の申し入れを行い、収束に向かいつつあります。

『民主代表選、批判応酬「停戦」を 細野氏が岡田氏に提案』(東京新聞 1月11日)http://goo.gl/Dd26Of
<民主党の細野豪志元幹事長は11日、代表選の3候補が出演したNHK番組で、維新の党との合併をめぐる批判の応酬の「停戦」を、岡田克也代表代行に呼び掛けた。長妻昭元厚生労働相も賛同し、岡田氏は番組で細野氏に切り込むのを控えた。>

 そもそもマスコミが報じていたものを「内々の話」とした細野さんにも疑問が残ります。ただ、それ以上に、票のために自説を曲げた細野さんの、その目論見が果たして成功しているのかに興味があります。結論から言えば、私は完全に失敗していると思うのです。前述の共同通信の記事の通り、細野さんは<再編に拒否感を持つ労働組合系議員に配慮し「自主再建を実現する」と路線問題の棚上げに言及>したわけですが、代表選3候補の推薦人を見ると取り込みに失敗しています。

『民主代表選候補の推薦人名簿』(時事通信 1月7日)http://goo.gl/XdSSWa

この中でキーマンと私が睨むのは、長妻さんの推薦人に名を連ねた中島克仁衆議院議員。この方、知っている方はよほどの政治通。今回の総選挙では山梨1区から民主党公認で立候補し、民主党では貴重な小選挙区選出議員となりました。
 この方、2012年の総選挙ではみんなの党から立候補。今回は直前にみんなの党が解党したため、民主党に鞍替えしての選挙となりました。そして、選挙直前、維新の党と民主党の選挙区調整の結果、ライバルだった小沢鋭仁氏が比例近畿に回り、それが奏功しての小選挙区勝利と言われています。

 しかし、これが違うと中島陣営のある幹部は話します。
「今回の選挙は選挙区調整の成果なんかじゃない。それが証拠に、選挙戦序盤の世論調査じゃ2ケタ差で自民の候補にリードされていた。それを見て、山梨のドンが動いたおかげだよ」
 山梨のドンとは、言わずと知れた輿石参院副議長。その支持母体と言われる山梨県教職員組合がフル回転して自民候補を最後の最後で逆転したというのです。そうして当選してきた中島氏が長妻支持なわけです。要するに、中島氏の意向は、輿石氏の意向そのもの。そして、輿石氏は今でこそ参院副議長の立場で民主党会派を離脱しているものの、もともとは参院のドンであり、民主党労組系の総元締めのような存在。細野さんが配慮した民主党労組系は、やっぱり長妻さん支持で動かなかったわけです。

 こうなってくると細野さんは厳しくなってきます。そもそも、岡田陣営とのこの遺恨は決選投票になった時に決定的に不利。党員・サポーター、国会議員などの最初の投票で過半数を制する候補がいなかった場合、党所属国会議員と国政選挙の党公認予定候補者のみを有権者とする決選投票に移ります。もし、決選投票が細野VS長妻になった場合、岡田陣営票が細野陣営に流れるとは考えにくくなります。細野VS岡田となった場合には、もとより野党再編に否定的な岡田陣営にシンパシーがある長妻陣営がどう動くかも予想ができます。
 一方で、岡田・長妻両陣営は2位に入って決選投票になれば自分に有利に働くという計算が成り立つわけです。

 圧倒的に不利な局面に立った細野さん。私はこの際、自説に回帰したらどうだと思います。すなわち、野党再編路線です。党内にとっては極論かもしれませんし、それが今回の代表選にはマイナスに働くことになるかもしれません。しかし、ここで一石を投じ、党内議論が巻き起こることこそが国民が求めていることなのではないでしょうか?

 党内にいろいろな意見があってまとまっていない。いつも喧嘩ばっかり。この民主党のイメージをそろそろ払拭しないと、いい加減国民がそっぽを向くことになるのではないでしょうか?細野さんはまだ若い。ここで身を捨てることで浮かぶ瀬もある。民主党の今後は、新代表以上に細野さんが握っていると思います。
書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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