2015年01月06日

ホントに北朝鮮?サイバー攻撃に不都合な真実

 アメリカと北朝鮮の関係がこの年末年始に緊張してきました。何度も報道されている通り、ソニーのアメリカ子会社、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメントへのサイバー攻撃を巡ってアメリカが北朝鮮に金融制裁を科したニュースです。

『米、北朝鮮に制裁 サイバー攻撃への対抗措置』(1月3日 朝日新聞)http://goo.gl/7uvh86
<オバマ米大統領は2日、米ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(SPE)が受けた大規模なサイバー攻撃への対抗措置として、北朝鮮政府のあらゆる個人・団体に対する制裁を認める大統領令に署名した。北朝鮮にサイバー攻撃を許さないという強いメッセージを送った形で、米国は追加制裁も辞さない構えだ。>

知れ切った展開で、北朝鮮は反発しています。

『米政府の金融制裁に北朝鮮が反発』(1月4日 NHK)http://goo.gl/kuowJq
<ソニーの子会社へのサイバー攻撃などを巡りアメリカ政府が北朝鮮に科した金融制裁について北朝鮮は4日、「アメリカは制裁が正反対の結果を招いたことを知るべきだ」として反発しました。>

 サイバー空間でのアメリカと北朝鮮のつばぜり合い。まず北朝鮮がSPEにちょっかいを出して、それに対してアメリカが怒って制裁にまで発展した。というのが、これまでの報道の流れですが、実は国際情報筋やネットの世界ではこれにかなり疑問が持たれているようです。その一端が、この記事。

『北犯行に異論 ソニー内部説も サイバー攻撃 米専門家ら指摘』(12月30日 フジサンケイビジネスアイ)http://goo.gl/ct1xUM
<米CNNなどによると、専門家らは(1)過去に使われたウイルスを北朝鮮以外の個人や組織が流用した可能性がある(2)メディアで北朝鮮犯行説が持ち上がるまではハッカー側は金第1書記の暗殺映画に一切言及していなかった-などの疑問点を指摘、SPE側の内部犯行説も否定できないといている。>
<「GOP(平和の守護者)」と名乗る今回の犯行グループは、当初は映画のことには一切触れず、SPEに対して不当なリストラへの抗議、金銭的要求などを行った。「ザ・インタビュー」のことに言及し始めたのは12月8日で、公開中止を要求したのは最初のサイバー攻撃(11月24日)から22日後の16日だった。>

 付け加えれば、この12月16日というのは、北朝鮮犯行説がアメリカメディアを席巻しだしたタイミングとピタリと重なります。さらに、ニューヨーク・タイムズによれば、SPEに送られた脅迫文書を分析した結果、不完全な英語の文法や言葉の使い回しから、ロシア語で作成した文章を英訳した可能性があるとしています。ただし、これらについて日本の報道では、年末年始にベタ記事レベルで掲載されていたものの、北朝鮮のネット障害やアメリカによる金融制裁の報道に完全に塗りつぶされてしまっています。したがって、日本国内ではほとんど話題にもされていません。
 ニュースを見返してみると、アメリカ政府は北朝鮮によるサイバー攻撃と断定はしましたが、その証拠は提示していません。ひょっとするとNSA(アメリカ国家安全保障局)には決定的な証拠があるけれども、サイバーセキュリティ上明かすことができないだけなのかもしれません。ただ、そうであっても徐々にリーク情報が流れてくるのがニュースというもの。全く証拠が出てこないというのも違和感を感じます。これは、いつか来た道なのではないか?と。

 すなわち、事の経緯がイラク戦争の発端となったフセイン政権の大量破壊兵器疑惑とそっくりなのです。当時アメリカは、「フセイン政権が大量破壊兵器を隠し持っている、その確たる証拠がある」と言って国連安保理の制裁決議を勝ち取りました。そして勃発したイラク戦争でしたが、結局アメリカはイラクが持っていたとする大量破壊兵器を見つけ出すことはできませんでした。流された大量の血がもたらしたものは、今のイスラム国に続く中東情勢の混乱というのは周知の事実です。これにより、アメリカの威信は揺らぎました。

 今回も、もし脆弱な証拠の下に北朝鮮の犯行と断定していたとすれば。それをもとに金融制裁し、さらに公然の秘密のようにささやかれている北朝鮮へのサイバー攻撃を行っていたとしたら...。前回のイラク戦争と、今回の対北朝鮮サイバー戦。結びつけるのは飛躍が過ぎると言われるかもしれません。ただ、ブッシュ、オバマと2代続けて必要のない戦争を引き起こしたとなれば、合衆国大統領の威信は地に落ちてしまいます。その結果残るのは、求心力のある大国がいなくなった世界です。オバマ大統領が目指した『核なき世界』とは、世界をリードする『核』となる国がなくなる世界のことだったのでしょうか?
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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