2014年10月14日

地方創生の第一歩は?

 臨時国会が開幕しました。政権が今国会で最重要課題に掲げるのが『地方創生』。今日、関連法案が審議入りしました。

『地方創生関連法案 衆院本会議で審議入り』(10月14日 NHK)http://goo.gl/VUOjJY
<内閣の重要課題の1つである、地方創生の基本理念を盛り込んだ「まち・ひと・しごと創生法案」と、地域の活性化に意欲的な地方自治体が財政支援などを受けやすくする、地域再生法の改正案は、14日、衆議院本会議で趣旨説明と質疑が行われ、審議入りしました。>

 アベノミクスを日本の隅々まで浸透させるということで、成長戦略の一つの目玉。担当大臣も指名して、地方の景気を良くしようと官邸は本気で取り組む構えです。では、足元の景気はどうかと言えば、厳しい統計結果が出てきています。

『9月街角景気、先行き判断は4カ月連続悪化 円安を懸念』(10月8日 日本経済新聞)http://goo.gl/C9yCS4
<内閣府が8日発表した9月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月から横ばいの47.4だった。消費税率引き上げ後の駆け込み需要の反動減は引き続き和らぎつつあるものの、円安進行による原材料高や燃料高への懸念から製造業で弱含んだ。一方、2~3カ月後の景気を占う先行き判断指数は前月比1.7ポイント低下の48.7と、4カ月連続で悪化した。>

『消費者心理2カ月連続悪化=基調判断、再び下げ-9月』(10月10日 時事通信)http://goo.gl/vNx69E
<消費者心理の明るさを示す消費者態度指数(一般世帯、季節調整値)は前月比1.3ポイント低下の39.9となり、2カ月連続で悪化した。下げ幅は消費税増税を目前に控えて大幅に悪化した今年2月以来(前月比1.8ポイント低下)の大きさとなった。>

 ちょっと前までは「消費増税の影響軽微!」「反動減は和らいできて、7~9月期には持ち直す」という紙面が多かったんですが、さすがに数字はごまかせませんからね。最近は都市部の百貨店の業績をことさら取り上げたり、天候不順や円安の影響で一時的に悪い数字が出ただけだと強調している記事が目につきます。ま、百歩譲って都市部は景気がいいのかもしれませんが(私はちっともいいとは思えません...)、地方からは悲鳴が聞こえてきます。ちょっと探すだけでこれだけでてきました。

『今夏「売上減」4割 県内中小企業、消費増税影響調査』(10月7日 佐賀新聞)http://goo.gl/2hPKj1
<佐賀県商工会連合会が9月に実施した消費税増税の影響調査で、消費者の買い控えなどで7~8月の売上高が増税前より減ったと回答した企業は4割だった。(中略)多くの中小企業が増税の影響から抜け出せないでいる状況がうかがえる。>

『暮らし向き「悪化」 消費者8月調査、増税影響』(10月10日 岐阜新聞)http://goo.gl/w9io0e
<4月の消費税増税後、交通費や食料費、日用雑貨費など生活必需品の負担が大幅に増え、多くの消費者が暮らし向きや生活満足度について悪化したと考えていることが、十六総合研究所の消費動向調査で分かった。>

『県内は2期連続悪化、非製造業ダウン/日銀短観』(10月2日 四国新聞)http://goo.gl/w9io0e
<日銀高松支店は1日、9月の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。香川県内企業の景況感を示す業況判断指数は、全産業で前回調査(6月)から2ポイント低下してマイナス4。悪化は2期連続で、夏場の天候不順で非製造業が落ち込んだ。(中略)大川昌男支店長は「企業マインドは天候不順でもたつき、消費税増税の影響も残っている」と分析。>

 各地で厳しさが目立っています。
 記事を読むと、どこも「円安や天候不順もあった」と一応言い訳しているんですが、それだけでは説明がつかないほど厳しい数字なだけに、中央の新聞のように見出しで「一時的」というようなニュアンスは出せませんでした。読んでいる人たちは景気の悪さを実感しているわけですから、そんな誤魔化しのような見出しはとてもじゃないが出せないということかもしれません。

 こうした地方の景況感の厳しさを見てみると、地方創生の第一歩は「幅広い事業に活用できる新たな交付金制度の創設」や「特区を使った規制緩和」といった気の長い話でいいのか?という思いを強くしました。これだけ厳しい景気、特に地方でこれだけ足元の景気が厳しい中で、消費再増税をしていいのでしょうか?今すでに疲弊している地域経済の息の根が止まりかねないという危機感を覚えないでしょうか?

 地方創生は、まず、消費再増税の延期をしてからと私は思うのです。

 地方創生担当の石破大臣は自民党幹事長時代にこんな発言をしています。
『消費税10%「12月決断」 自民・石破幹事長』(7月25日 千葉日報)http://goo.gl/04VprG
<「現在の膨大な国の借金は間違いなく消費税を上げなかった影響。12月には決断しなければいけない」と述べ、消費税を10%に引き上げる必要性を強調した。>

 当時とは立場が異なり、現在は地方の経済再生を担う担当大臣。立場が違えば、見えてくる世界も違うはず。地方経済の疲弊がよりはっきりと見えるようになったのではないでしょうか。閣内不一致の謗りを受けようとも、石破大臣にはぜひ、身体を張って消費再増税延期の旗を振ってほしいと思います。
書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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