今に始まったことではありませんが、大阪・橋下市長の政局勘といったものがどうもズレてしまっています。弱り目に祟り目といったところかもしれませんが、この一週間だけでもこんなことがありました。
<橋下氏は「官邸サイドの協力も得ながら大阪市、大阪府の行政が進んでいることも間違いない。菅(義偉)官房長官が推しているということなら小鑓さんを応援するべきだ」と説明した。>
維新はいつから連立与党になったのか?官房長官が推しているからといってなぜそれが支援する理由になるのかも釈然としませんが、結果小鑓候補は落選してしまいました。投票日3日前に、わざわざ負け馬に乗ったわけです。それも、各マスコミの世論調査や官邸筋の非公開の調査でも劣勢が判明していたにも関わらず...。
そんな流れの悪さを払しょくしようと、野党再編に動いていて、まずは昔から仲の良い江田さんの結いの党に近づいています。政党の合併に移る前に、国会の両院内での活動を一緒に行う会派合流を行いました。
<分裂した日本維新の会の橋下徹共同代表が率いるグループと結いの党は9日、統一会派「日本維新の会・結いの党」の結成を衆院に届け出た。(中略)国会質疑は、会派ごとに質問時間が割り当てられている。維新の会派のままでは、分裂する橋下維新と石原新党が同じ会派として質問に立つことになるため、会派を分けることにした。>
国会の中での活動を同じくするということで、男女の仲で言えばすでに同棲や事実婚状態のようなもの。さらに、今日、いわば結納まで交わたんじゃないかという報道もされています。
<結いは同日(16日)、維新が国会内で開いた両院議員懇談会に初めて参加。新党の結党大会を9月7日に東京都内のホテルで行うことを決めた。>
親戚通しの顔合わせまで済ませ、その席で結婚式の日取りまで決めたということで、もう結婚に向かってまっしぐらの相思相愛カップル。仲睦まじくて前途有望と言えそうですが、本人同士はぴったり一致していると思っていても、傍から見ている他人には隙間が見えることがあります。
維新と結いではよく言われる安全保障政策がそれにあたります。先ほどの統一会派についての朝日新聞の記事にも、
<だが、集団的自衛権をめぐっては、限定的に行使を認める維新と、「個別的自衛権の範囲内で対応できる」と考える結いとの間で一致していない。>
との指摘があるわけですね。
今はそのすり合わせを先送りして、まずはお互いの愛を確かめ合っているところでしょうが、ふとしたしぐさに気持ちが現れるのは男女の仲も政党も同じ。今回は、統一会派で初めて国会活動をした、いわば「初めての共同作業」を終えた直後でした。
<国会内で行われた会談には民主党、日本維新の会の橋下共同代表のグループ、日本維新の会の石原共同代表のグループが発足させる次世代の党、みんなの党、共産党、結いの党、生活の党、社民党の8つの党や会派の国会対策委員長が出席しました。>
この記事のどこに隙間が見えるのかといえば、その顔ぶれ。ある野党国対関係者が教えてくれました。
「野党第一党の民主党が各会派に出席するか声を掛けていったんだ。維新と結いは同一会派だから、国会活動の代表は一人でいい。ただ念のため、結いの国対に『維新の石関さんが出るからいいよね?』って聞いたら、『いや、ウチも出ます』って言うんだ。会派は一緒なのに、ちょっと違和感があるよね」
集団的自衛権という、維新と結い両党の関係にとってデリケートな問題なだけに、ひょっとしたら同床異夢ということなのか?それとも、まだ会派統一から日が浅いから今回だけの特例なのか?調べてみると、結党大会の9月7日は先負。選挙で勝った負けたの政党の結党大会で先負とは、ゲンの悪さは否めませんが...。