どういうわけか、このところ鉄道に関する大きなニュースが毎週出てきていますね。というわけで、今週も鉄道ネタ。決して趣味に走っているわけではないんですよ。
今日、JR東日本が正式に山手線の新駅設置を発表しました。
<JR東日本は3日、東京都港区港南の山手線品川―田町駅間に新駅を設置すると正式に発表した。2020年の東京五輪・パラリンピックまでの開業を目指し、駅名は今後、公募も含めて検討する。>
この路線を使っている方はお分かりだと思いますが、この品川と田町の間には、もともと大きな車両基地がありました。往年は、通勤電車だけでなく、特急電車、寝台特急専用の客車、そしてそれを引っ張る機関車も休んでいました。特急、急行が一堂に会する車両基地で、まさしく東海道線の華。我々鉄道ファンはこの田町の車両センターの脇を通るたびに視線が釘付けにされていました。
そこも今や、機関庫も何も皆なくなり、工事の真っ最中。まず駅を造り、周りには高層ビルを建てるという再開発計画が進んでいます。操車場を潰して、そこを再開発というのは汐留にあった貨物駅を再開発した汐留シオサイトと同じ。汐留貨物駅に関してはすでに役割を終えていたので計画を実行に移しやすかったわけですが、今回は旅客線で使用していたところを潰すわけですから、用意に時間がかかりました。
実は、この新駅構想は、実は東北縦貫線計画と連動しているのです。そのメドが立ったので、今回正式に新駅構想が発表されたというのはあまり触れられていません。
<上野~東京間の開業時期について 2014年度末>
<新路線が建設されたのは上野―東京間という都心部。とりわけ神田駅周辺は狭いエリアにビルが立ち並び、新たに鉄道を敷く用地がない。このため東日本旅客鉄道(JR東日本)は、神田駅付近の東北新幹線の高架橋上にもう一段新しい高架橋を建て、そこに上野東京ラインを走らせるルートを選んだ。>
なぜ、この東北縦貫線が田町の新駅構想とリンクするのかというと、車庫問題。東海道線は田町と国府津に車庫がありますが、そのうち田町を潰す。すると、東京終着の列車をどこに戻すのか?という問題が生じます。この手当をしない限り、田町は潰せません。そこで、東北縦貫線が浮上してくるのです。
現在、東北線は上野が終点。そこで折り返す列車は上野~秋葉原間の留置線に入るか、尾久にある車庫に帰ります。東北縦貫線上野~東京間が開通すれば、東海道線の電車も尾久まで回送して問題解決となるわけですね。東北縦貫線はもっぱら、上野~秋葉原間の山手線・京浜東北線の混雑解消が目的と報道されてきましたが、こういうわけで実は田町再開発構想ともリンクしているのですんですね。
そして、そのためにJR東日本は東海道線でも東北線でも、着々と準備をしてきました。それが、先週も書いたブルートレインの廃止。というのも、寝台特急専用客車は昼の間は留置しておくよりほかに使い道がありません。それゆえ車庫は必要不可欠だったんですが、今回はその車庫を潰したい。そこで、東海道線側のブルートレインは2009年3月のダイヤ改正ですでに廃止されました。
一方、東北線側のブルートレインだって関係ない話ではありません。尾久の車両基地に東海道線の車両も入ってくれば、ブルートレインに場所を与えるほどの余裕がなくなってきます。そこで、東北線のブルートレインは、『あけぼの』が今年3月に廃止され、『北斗星』は2015年末に廃止が決まったわけです。
結局、山手線新駅構想、田町再開発計画を引き金に、最終的にはブルートレイン廃止に至るという、「風吹いて桶屋が儲かる」ような図式が成立するんですね。となると、JR東日本は鉄道会社なのか不動産会社なのか...?もちろん、営利企業であり上場企業なので、利益を出さなければいけないわけですからこれが時代の流れというものなのでしょうが、鉄道ファンとしてはちょっと切ない話です。