2014年01月13日

都知事選の争点とは?

猪瀬直樹前都知事の辞任に伴う東京都知事選の告示日が迫る中、リベラルメディアを中心に今回の選挙の争点を「脱原発」だとする報道が増えてきています。特に、かねてから「脱原発」を主張してきた細川元総理が出馬へ意欲を見せ始めた先週から、その流れが顕著になりました。さらに、小泉元総理が細川氏に同調する構えというような観測記事もあり、「脱原発」が争点というのはもはや既成事実になりそうな勢いです。

 

 しかしながら、私は非常に違和感を感じます。この「脱原発」と称されるエネルギー問題は、東京都が抱える問題なのでしょうか?安倍総理が外遊先で指摘するまでもなく、これは国政レベルの問題だと素朴に思うのです。
『安倍首相、「脱原発」争点化に警戒感 都知事選』(1月13日 朝日新聞)http://bit.ly/1ezO3GO

 

 さて、国家の在り方にもさまざまな考え方がありますが、その中に国家の役割を最小限に抑えるという「夜警国家」という概念があります。
『夜警国家』(goo辞典)http://bit.ly/1a1Se15
 国家は国防や治安維持、最低限の福祉を行って、あとは民間に任せれば世の中は上手く回るのだという自由主義的な考え方です。その是非については議論がありますが、そうした国家の役割を極力限定するという考え方の中でも、エネルギーを含む安全保障は国家の仕事であるとされています。それをなぜ、一都道府県の首長選挙の争点にできるのでしょうか?

 

 こう言うと、「東京都は東電の大株主だから」という反論が来ることもあります。人によっては筆頭株主だから変えられるんだという意見まであります。しかし、調べてみると東京都はもはや筆頭株主ではありません。
『株式等の状況』(東京電力ホームページ)http://bit.ly/1ezNexH
 もちろん、大株主には違いありませんが、第4位株主で発行済み株式の1.20%。確かに、2012年の株主総会の時には筆頭株主でしたが、それでも持ち株比率は2.66%でした。
『東京電力 主要株主構成(平成24年3月31日現在)』(コストダウン)http://bit.ly/1a1TiBX
 ちなみにこの時は、当時の猪瀬直樹東京都副知事が東電病院について経営陣を追及したときです。

 たった1%足らずの持ち株比率で、どうやって「脱原発」しろというのでしょうか?そもそも出来っこないことが、なぜ選挙の争点になるのでしょうか?東京都知事候補は、東京都の将来を語っていただきたい。都民が今回の選挙に望むことは、この一点なのではないでしょうか?

書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

■Twitter
「飯田浩司そこまで言うか!」

■会員制ファンクラブ(CAMPFIREファンクラブ)
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