2013年12月20日

秋の三大人事の行く末

 安倍政権発足から間もなく一年。支持率は、特定秘密保護法で散々メディアにたたかれながらも50%近辺を維持し、最重点だと語っていた経済の面でも日経平均が1万5千円台後半まで回復。紆余曲折がありながらも、国内的には順調な政権運営だったというのが大方の評価です。

 

 その評価を支えたのが、アベノミクスの一応の成功。そして、アベノミクスの成功は、春の人事の賜物と言われています。鍵を握った"春の人事"というのは、日銀総裁人事。財務省の推す武藤元財務次官起用案を押し切り、アジア開発銀行総裁だった黒田氏を日銀総裁に起用したあの人事です。

 

 やはり政権運営の肝は人事だということで、実はこの臨時国会が始まるころ、今後の政権を占う"安倍政権秋の3大人事"と注目された人事がありました。それが、国家安全保障局長、NHK会長、そして東京オリンピック組織委員長の各人事。

 国家安全保障局は、先日発足した国家安全保障会議(日本版NSC)の事務局として実務を担当する組織。NSC自体が総理肝入りの組織だけに、その局長にも総理に近い人間が候補に挙げられていましたが、最終的にはこの組織を作ることを総理に進言したとも言われる谷内内閣官房参与の起用が決定しました。

『日本版NSC初代局長に谷内・内閣官房参与』(朝日新聞 12月9日)http://bit.ly/1bUJVxT

 

 続いてNHK会長人事。まず、この会長人事に先立つ経営委員人事で選ばれた4人の新任委員が総理に近すぎる!として、一部リベラルメディアからは批判を受けたりもしましたが、その分本命の会長人事に関してはほとんど無風。日本ユニシス特別顧問の籾井勝人氏を選出しました。

『NHK会長、籾井氏を選出...3代続けて外部登用』(読売新聞 12月20日)http://bit.ly/1bUKZBU

 

2つの人事は官邸の意向通り、ほぼ順調に決しつつあるわけですが、見えないのが東京オリンピック組織委員長。10月の半ばに、森喜朗元総理の名前が一部メディアを賑わしました。その時ご本人に直接聞いてみたんですが、「あれは一部の都議が流した話で...」と、その時には取り合わずでした。しかしながら、ここへ来て委員長人事にも波乱が。言わずと知れた、東京都知事猪瀬直樹氏の辞任劇。この辞任を受けた後任の知事選挙は2月上旬ということで大方の読みは一致しているようです。これがまた、微妙なタイミング。国際オリンピック委員会(IOC)との契約で、組織委員会の発足は来年2月上旬と決まっているのです。現時点では新知事が誰かも当然決まっていませんから、まず組織委員会の顔ぶれが確定できません。その中で、新知事が委員長に就任するという人事も当然無理筋となります。となると、やはりこの人事も国が主導するということになる。そういえば、猪瀬氏辞意固めるの報道が騒がれ始めた18日夜、総理公邸では東京五輪招致決定の慰労会が開かれました。

『18日の安倍首相の動静』(日本経済新聞 12月18日)http://s.nikkei.com/1bUYXUb

<森元首相が加わる>という一文の重みが増しているような気がします。

書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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