2013年05月14日

手詰まり維新の次なる一手

 日本維新の会共同代表、橋下徹大阪市長の発言が波紋を呼んでいます。
『橋下氏慰安婦発言:記者団との一問一答(要旨)』http://bit.ly/13XSYx8(毎日新聞)

 

 「女性の人権侵害」(稲田行革担当相)、「私は与しない」(菅官房長官)、「論理の飛躍だ」(自民党石破幹事長)、「女性の人格、人権を軽視する発言」(公明党山口代表)と、政府・与党首脳からも批判が出てきています。参院選への影響も心配されますが、維新のある国会議員は
「発言そのものは全文を見れば、実は今までの保守の論客たちが言ってきたようなこと。慰安婦、いわば売春婦はいたかもしれないが、『従軍』慰安婦という、軍、あるいは国が主導・管理したシステム、施設は存在しなかったという論調はさほど目新しいものではないので、ある意味反論は可能なんだが、発言の中で慰安婦『制度』という言い方をした。『制度』という単語を使うと、いかにも公という受け取られ方をする。制度を作れるのは公的機関しかないだろうとなる。これはいかにもマズイ」
と、苦り切った表情で話しました。

 

 こうしたアキレス腱を抱えているだけに、国会側の維新首脳は火消しに躍起となりました。たとえば、小沢鋭仁国対委員長。
「少なくとも党の結論ではない。橋下氏に発言の真意を確認している」
そして、夏の参院選への影響に関しては「最小限に食い止めないといけない」と懸念を示しました。
ところが、維新のもう一方の共同代表、石原慎太郎衆議院議員は、
「軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなものだ。決して好ましいものではないが、橋下氏は基本的に間違ったことは言っていない」と擁護しています。どうやら、これも党としての意見として集約されていない、個人的な発言だったようです。
 また、維新幹事長の松井一郎大阪府知事は、
「橋下氏らしい発言だ。現実に(慰安婦が)あったということは、必要とされていたということだ」と述べ、理解を示しています。
一連の発言を見ていると、『橋下・松井の大阪組+石原共同代表VS東京の国会議員団』という構図で、これも、従来から言われていた維新の会の東西対立なんでしょうか?

 

 さらに、東京組の中でもギクシャクしている部分があります。別の維新国会議員は、
「今不満がくすぶってるのが、次期参院選で園田博之国会議員団幹事長代理が地元の自民党候補を推すということ」と漏らしました。

『園田氏の自民支援、維新幹事長が容認 橋下代表も同調』http://bit.ly/16wOqBF(朝日新聞)
 この国会議員は相当憤っていて、

「大阪は容認しても、東京は容認できない。というのも、新人以外の衆院議員は、おのおの様々なしがらみを乗り越えて維新に来たという過去がある。地元につながりのある候補がいても、今は政党が分かれたから支援したくてもできずにジレンマを抱えた議員もたくさんいる。その中で園田さんだけ例外では話が通らない。そもそも園田さんの地元熊本は、国会議員団幹事長の松野さんの地元でもある。そうしたことも配慮せず、軽々と容認する大阪サイドの見識を疑う」

 この議員は、前々から、ダブルスタンダード、トリプルスタンダード、言い換えればご都合主義でやってきた現維新の在り方について、オリジナル維新の国会議員たちの中には不満がたまっていたといいます。決して、自分個人の意見ではないとも。どうやら、東京VS大阪だけでなく、旧太陽VSオリジナル維新という対立軸もくすぶっているようです。

 

 となると、まさしく『内憂外患』という日本維新の会。このままでは内側からバラバラになってしまいそうです。ゴールデンウィーク明けに出された各社の世論調査でも軒並み支持率を下げていて、そうした焦りが先の橋下発言を読んだ部分もあると思いますが、前述の維新議員はこうした逆風を吹き飛ばす秘策を耳打ちしてくれました。
「近く開かれる役員会で、橋下市長に参院選出馬要請を決議する」
橋下出馬というワイルドカードを切る覚悟。果たして、風向きは変わるのでしょうか?

書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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