2013年03月26日

円安便乗値上げに気を付けろ!

 安倍政権発足から今日で丸3か月。アベノミクスという経済政策もすっかり定着して、景気の先行きに安心感が漂っています。政権発足の12月26日の日経平均株価の終値が、10230円36銭。これが、1万2471円62銭(3月26日終値)。また、円ドル相場は、当時85円35銭前後だったものが94円20銭前後まで円安が進んでいます。現状は円が安くなれば株が上がるという相関関係が成立していて、大手企業を中心に業績が大幅に上方修正されたりと明るいニュースが続いています。

 

 しかしながら、得した人がいれば損した人が同じ数だけいるというのが勝負の世界の掟。円が安くなるにしたがって、そのデメリットを強調するような報道が増えてきました。
『アベノミクスと「値上げの春」』(読売新聞 http://bit.ly/X9jcNk
『値上げの春、円安進行で 食品、光熱、ブランド品 家計、消費に逆風』(産経新聞 http://on-msn.com/X9jlAA

 私は、日本経済全体で見れば円安メリットがデメリットを上回っているので気にすべきではないとあまり真剣に読んでいなかったんですが、年度末ということもあって最近こういう記事がどっと出てきているのです。輸入商品や、原料を輸入に頼る電気・ガス、ブランド品などが4月から値上げになり、
それが引き金となってインフレが起こるという『コストプッシュ型インフレ』が心配されてもいます。日本国債がデフォルトの危機に陥って暴落し、利率が上がってインフレになる!と言っていたような人たちが、そっくり『コストプッシュ型インフレ』に乗り換えているようにも見えます。

 

 しかしながら、この円安。もともと1ドル78円なんていう超円高があったからこそこの円安なわけで、一昔前なら1ドル95円でも十分に円高で、円高不況だという見出しが躍っていたはずです。したがって、この目の前の値上げだけを見ていてはいけません。ポイントは、直近の円高局面では適切に値下げをしていたのか?ということ。それもなくただただ値上げするのでは、ただの便乗値上げにすぎません。

 

 たとえば、電力。原発を動かせないという特殊事情を考えれば、円安での値上げもやむなしなんて甘いこと言っちゃいけません。なにしろ、円高のピークは野田政権末期。原発に関しては当時と今では条件は変わっていませんので。
 そこで、円高当時の値下げを見てみると...
『1月の電気・ガス料金、全社値下げ...円高で』(2011年11月29日 読売新聞 http://bit.ly/X9l1tU
「東京電力の平均料金は26円下がって6871円となる。」
 ところが今回の値上げは、
『円安 家計を直撃 輸入価格上昇、4月から』(2013年2月28日 東京新聞 http://bit.ly/X9lg85
「特に、東京はモデル世帯の料金で百三十一円、中部は百二円と、LNGの利用比率が高い電力会社の値上げ幅が大きかった。」
これ、4月分での値上げです。
さらに5月には...
『電力・ガス各社、5月値上げ 円安で原燃料高騰』
(2013年3月22日 日本経済新聞 http://s.nikkei.com/11GqbLO
「東京電力の標準家庭の料金は前月比220円程度高い7635円程度と、4月に続く上げで、料金計算が現行方式となった2009年5月以降で最高値となる見通し」
値下げ幅と値上げ幅では1ケタ違います。
では、その上げ幅分ぐらい原油価格が高騰しているのかというと、
2011年11月 1バレル=108.52ドル
2013年2月  1バレル=111.22ドル(参照 http://bit.ly/X9mQa5
この間多少は上がっていますが、中間コストを差し引いても、2か月連続で200円近く値上げするほどのレベルなんでしょうか?
私にはそうは思えません。便乗値上げではないでしょうか?

 

 他にも、円高局面ではこんなことを言っていたブランド商品。
『ユーロ安の恩恵広がらず 欧州製品、ブランド維持』(2012年6月11日 共同通信 http://bit.ly/11GvgUf
「欧州危機の再燃で歴史的なユーロ安が続くが、国内の百貨店やスーパーなどで欧州からの輸入品の値下げはあまり広がっていない。欧州製品は"高級ブランド"が多く、急激な価格変動によって築き上げたイメージを崩したくない思いがメーカー側に強いためだ」
『欧州車 なぜ円高還元しない? ブランド価値維持 原料高騰』(2011年12月27日 東京新聞 http://bit.ly/11GlcdT
「業界関係者は「メーカーにはブランド価値を維持する責任もある」と強調。これは、値下げすれば下取り価格も下がり「消費者のためにならない」との説明だ」
 ブランド価値を守るために値下げは出来ないの一点張り。ったく、ブランドってのはお高くとまっているなぁと思ったもんです。
 それが、ここへきての円安で、値上げ一辺倒。
『ヴィトン、ティファニー:相次ぎ値上げ-円安でブランド乗り換えも』(2013年3月12日 ブルームバーグニュース http://bit.ly/X9o9FU
 これも完全な便乗値上げですよね。

 デフレ脱却なんだから、少しぐらいの値上げは仕方ないなんて意見もありますが、そんなことはありません。これからもゾロゾロ出てくるであろう便乗値上げの数々。値札の一つ一つ、見出しの一つ一つをより一層厳しい目で見ていかなくてはいけません。

プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

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