2013年02月08日

国会同意人事報道の裏

 国会同意人事で民主党が先祖返りしたと大不評です。
http://bit.ly/VKTXAm(毎日新聞)
http://bit.ly/XYSf8B(読売新聞社説)

 

 いわゆる3条委員会の委員長人事や日銀総裁人事などは、衆参両院の議決が必要で、かつこれには衆議員の優越は適用されません。先の選挙の結果で、現在衆議院は自民・公明の与党が圧倒的多数を擁していますが、参議院第一党は野党民主党という『ねじれ国会』であることはご存じのとおりです。それゆえ、民主党が参議院で人事案に反対すればこの人事は通らないという、民主圧倒的有利な状況となっています。

 

 その上、この国会同意人事には、「事前報道ルール」という厄介な取り決めがあります。事前にメディアで報道された人事案の提示は受け入れられないというもので、このルールが作られた当時の参院議院運営委員長、西岡武夫の名前をとって、「西岡ルール」とも言われています。政権交代直前の2008年には日銀総裁人事を巡って民主党がこのルールを連発。審議を拒否し、結果日銀総裁の椅子が一か月にわたって空席となったことまでありました。いわば、「決められない政治」の象徴の一つとなっていたこの「西岡ルール」。安倍内閣発足前後には、このルールの撤廃を与野党で協議することになっていました。


 しかし、昨日、公正取引委員長の人事を読売新聞が報道したことを受け、民主党の輿石参院議員会長が人事提示を拒否。そこで、前掲のようにメディア各社はこぞって民主党の姿勢を批判しています。他の野党幹部は、「与党ボケがようやく直った」(みんなの党・渡辺代表)という評価ですが、実は民主党のこの対応、与党時代のしがらみを断ち切れずにいる対応とみる向きもあります。
 ある野党議員は、「公取委員長のポストは財務省の次官クラスの定番天下りポスト。今回提示されたのも、杉本和行元財務次官だ。この人事は実は野田政権時代にも提示しようとしていた人事だし、そもそも民主党政権は財務省にアタマが上がらなかったんだから、この人事案は反対のしようがない。ただ、野党が目玉人事で政府案においそれと賛成することもできない。そこで、西岡ルールを持ち出したのだ。」
 さらに、別の議員は、新聞がこの民主党の姿勢をこぞって叩く訳を解説します。
「公取委は独占禁止法を差配するポスト。新聞各社にとって生命線の再販制度を独禁法違反の例外として運用することを認める機関だ。そこに何をするかもわからない人物を据えられるのは困る。さらに、来たる消費増税では軽減税率を認めてもらいたいから、財務省へは貸しを作らなくてはならない。二つのメリットで財務省OBの杉本氏を押し込む人事を支持したいが、国民の批判が多い天下りなので表立っての支持はしづらい。そこで、西岡ルール・民主党の対応へと問題をすり替えれば、杉本氏の人物像にスポットが当たらず、まさしく"渡りに船"なのだ。」

 

 はたして、民主党はそんなマスコミの懐事情を知っているのでしょうか?政権にいたころは、こういった情報は財務省を通して逐一把握していたんでしょうが...。

書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

■Twitter
「飯田浩司そこまで言うか!」

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