2012年12月11日

政治家の選び方

 世論調査での獲得議席数予想をみるまでもなく、政権与党・民主党の不振は明らかです。先日、ある選挙区を取材して、陣営の苦しい胸の内を聞いてきました。この候補は民主党政権で閣僚も経験し、知名度もある方ですが、自民党の候補を懸命に追いかける立場に置かれています。朝の街頭演説の様子を一時間ほどじっと見ていたんですが、彼はただの一度も「民主党」という言葉を発しませんでした。ただただ、自分の名前を繰り返し、個別の政策を少し話し、握手をし、ビラを配る。支援者も、揃いの赤いジャンパーを着ていますが、しかしながらその背中には何も書いてありません。3年半前なら、そこに誇らしげに「民主党」というマークが踊っていたでしょうに。

 

 演説が一段落したとき、思い切って聞いてみました。
「民主党って、一言もいいませんね?」
すると彼は、
「いや、私は自分のやってきたこと、政策をアピールするだけですから」
と、毅然と言いました。よくよく見ると、彼の選挙カーの看板も、「民主党」とは一つも書かれていませんでした。苦しい選挙です。

 

 さて、看板と言えば、今回の選挙、政党の看板をいとも簡単に架け替える候補が続出するかもしれません。今日、みんなの党の江田幹事長がこんな発言をしていました。
『みんなの党の江田憲司幹事長は11日夜、都内で街頭演説し、日本維新の会との関係に関し「(旧太陽の党の議員と)離婚すればいい。そうしたらみんなの党と再婚できるかもしれない」と述べ、旧太陽との決別を条件に衆院選後の合流協議に意欲を示した。江田氏は「維新は太陽と一緒になって政策がぶれた」と指摘し、「(維新の政策を)元に戻させる。投開票日(16日)に橋下(徹代表代行)さんと話したい」と語った。』
 最近、政界関係者の方々と話すとみんな言うのが、「選挙が終わった後に、さらなる合従連衡がある」ということ。選挙直前に無理やりくっついた政党が、軒並みバラバラになる可能性があるということです。
 一つには、このまま自公政権になったとしても参院で少数与党となるので、このねじれ国会を見越しての合従連衡。
 もう一つは、公示日を前に続出した合併政党が、年末を締め切りとしてくっついたり離れたりを続けるということです。というのも、政党助成金は、1月1日時点での議員の所属人数によって金額が決まります。ですから、そこを目がけて気の合う、政策の合う者同士で再編する引力が働くわけです。でなければ、選挙の真っただ中に、政党の幹事長からライバル政党へ合流のオファーなどありはしません。敵に塩を送るような行為をわざわざするわけですから。

 

 こんなことを選挙期間中にすること自体が政党政治への冒涜だと私は思いますが、現に起きてしまっているので、我々有権者としてはどう対処すればいいか?今週それを考えて、『その一票を無駄にするな!ダブル選挙!メディアに流されない投票術』という特集をお送りしています。コメンテーターの方々の話を聞いていて思ったのは、やっぱり人物本位で投票する以外にはないということ。シンプルですが、本人に会いに行って話をききましょう。それが無理なら、ネットなどで過去の言動を探しましょう。こちらも勉強しないまま文句だけ言うことから卒業する必要があるのかもしれません。

書籍
プロフィール

飯田浩司(いいだ・こうじ)

1981年12月5日生まれ。
神奈川県横須賀市出身。O型。
2004年、横浜国立大学経営学部国際経営学科卒業。
現在、ニッポン放送アナウンサー。
ニュース番組のパーソナリティとして政治経済から国際問題まで取材活動を行い、ラジオでは「議論は戦わせるものではなく、深めるもの」をモットーに情報発信をしている。
趣味は野球観戦(阪神タイガースファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書。

■出演番組
≪現在≫
「飯田浩司のOK!COZY UP!」

≪過去≫
「ザ・ボイス そこまで言うか」
「辛坊治郎ズーム そこまで言うか」

■Twitter
「飯田浩司そこまで言うか!」

■会員制ファンクラブ(CAMPFIREファンクラブ)
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